モーニングスター、14年3月期決算は30%増収増益で過去最高更新

 モーニングスター <4765> は2014年4月23日、2014年3月期通期決算を発表した。売上高は39億20百万円(前年同期比31.2%増)、経常利益11億7百万円(同29.5%増)、当期純利益6億83百万円(同34.3%増)と大幅な増収増益を達成し、利益項目の全てにおいて過去最高を更新した。同日に決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「1998年の創業から15周年を迎えたことを機に、“第2創業期”を掲げて臨んだ初年度において、過去最高の業績を残すことができた。引き続き、緩むことなく増収増益を堅持していきたい」と語った。(写真は決算説明会に臨むモーニングスター代表取締役社長、朝倉智也氏。サーチナ撮影)  14年3月期の売上高の内訳は、IR支援事業が前年比86%増と大幅に伸びた他、ウェブ広告、資産運用セミナーが30%増などが際立って増収となった。唯一、ウェブコンサルティング部門が20%減収と振るわなかったものの、その他事業は総じて増収になった。特に、モーニングスター単体で営業利益が28.7%増益となり、従業員1人当たり営業利益が13年3月期と比較すると41.7%増と大幅に伸びたことが業績の底上げにつながった。  このモーニングスター単体の業績伸長の要因について朝倉氏は、「モーニングスターのウェブサイト、また、スマホアプリなどのメディア価値の向上によってウェブ広告の売上高が30%増になった。さらに、ファンドデータの提供で注力している金融機関向けタブレットアプリが14年3月末現在で1万台の大台を突破して順調に伸びている」とポイントに挙げた。タブレットアプリを通じたファンドデータの売上高は前年同期比32.8%増収になっている。  一方、大幅に伸びたIR支援事業は、上場企業のIR説明会、IR支援に活用される対談動画などが、企業の積極的なIRニーズを背景に売上を伸ばした。15年3月期には、5月31日にSBI証券と共催で大規模なIRカンファレンスを開催するなど新しい展開を開始。また、事業会社や信託銀行向けに世界のファンドの組入銘柄データを活用した「株主判明調査」、さらに、海外機関投資家向けのセミナーのアレンジなどにサービス範囲を拡大している。  15年3月期については、朝倉氏は(1)タブレットアプリを通じたファンドデータの提供の拡大、(2)きめ細かくターゲティングされたウェブ広告の価値の発揮、(3)確定拠出年金(DC)事業の着実な進展などを背景に、「増収増益の基調を維持できる」と見通している。特に、純増しているタブレットアプリを背景としてファンドデータ提供の売上高は一段と拡大する見通しにある他、「タブレットアプリは大手金融機関向けにはフリートライアルを設けるなど、将来の売上貢献を見込んだ仕込みも実施する。2年内に3万台という目標に向かって着実に浸透を図りたい」と語った。  また、14年3月期に減収となったウェブコンサルティング事業については、2014年4月末にリリースするウェブ関連サービス・ツール比較サイトの創設、また、ウェブサイト評価ランキングの調査・公表の拡大等を通じて、より幅広い業界に向けたソリューション提案を実施。スマートフォン向けのサービスへの引き合いが増えていることなども手がかりに、「今期は増収増益への転換が期待できる」としている。  なお、同社のビジネスが寄って立つ日本の投資信託市場の残高については、「スタートしたNISA(少額投資非課税制度)、また、加入者数が純増して2014年1月末に483万人にまで拡大してきたDCなどを通じて、現在82兆円程度の投信残高は150兆円程度にまで近い将来に拡大するという期待は十分に持てる」と見通していた。そして、「貯蓄から投資への進展によって、“投資家主権の確立”をめざして、マルチデバイス対応で投資情報を提供しているモーニングスターの優位性が一段と際立ってこよう」と、成長への自信をのぞかせていた。(取材・編集担当:徳永浩)
モーニングスターの2014年3月期通期決算は、大幅な増収増益を達成し、利益項目の全てにおいて過去最高を更新した。(写真は決算説明会に臨むモーニングスター代表取締役社長、朝倉智也氏。サーチナ撮影)
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2014-04-23 19:00