【為替本日の注目点】NY株大幅反発

ドル円はやや値を戻し110円手前まで上昇。前日のNYで109円目前まで売られたが、109円台を割り込まなかったことで安心感も。ユーロドルは水準を切り下げ、1.1755まで下落。ドルが反発した流れから、4月以来となるユーロ安を示現。株式市場は大幅に反発。前日大きく売り込まれた反動と見られるが、荒っぽい動きが続く。ダウは549ドル上昇し前日の下げの8割ほどを埋める。債券は反落。長期金利はやや上昇し1.22%台に。金は3日ぶりに反発し、原油も買われる。
6月住宅着工件数 → 164.3万戸
6月建設許可件数 → 159.8万件
ドル/円 109.36 ~ 109.96
ユーロ/ドル 1.1755 ~ 1.1788
ユーロ/円 128.59 ~ 129.48
NYダウ +549.95 → 34,511.99ドル
GOLD +2.20 → 1,811.40ドル
WTI +1.00 → 67.42ドル
米10年国債 +0.033 → 1.222%
【本日の注目イベント】
豪 豪6月小売売上高
日 6月貿易収支
米 企業決算 → J&J、コカ・コーラ、ベライゾン
NY株が大幅な反発を見せたことでドル円は110円手前までドル高に振れています。前日のNYでは109円07銭まで売られたドル円でしたが、昨日のレポートでも指摘したように、109円前後には一目均衡表の「日足の雲の下限」があり、ここを下抜けするとトレンド転換の可能性も浮上することから、非常に重要な水準でした。昨日の東京時間でも日経平均株価が大きく売られましたが、それでも109円台半ばで推移し、底堅い動きを見せていたことと、何よりも109円台を維持できたことが安心感につながったと見られます。NY株が反発し、長期金利も小幅ではありましたが上昇したことで、円を売り戻す流れとなり、クロス円全般が買い戻された格好になりました。
「米景気ピークアウト論」・・・・・。前日のNY債券市場で債券が買われ、長期金利が一時1.17%台まで急低下した動きについて、米国のエコノミストの間では、米景気はすでにピークを過ぎているのではないかといった見方が広がっています。その動きを織り込んだのが長期金利の1.2%割れだという論拠です。確かに、今後景気が下り坂になるとすれば、期間の長い長期債が買われ、金利が低下するのが一般的です。20日にはさらに長い30年債でも大幅に金利が低下し、イールドカーブの「フラットニング化」が進みました。景気後退は企業の収益低下にもつながり、そのため前日は好業績の大型株が軒並み売られたとの指摘もあります。長期金利の大幅低下だけで米景気のピークアウトを決めつけるのはやや乱暴ですが、1.2%を割り込んだ長期金利が「何を示唆しているのか」疑問は残ります。仮に「米景気ピークアウト論」が正しいとすれば、FRBによる政策金利の引き上げなど論外で、テーパリング開始時期を巡る議論も急速にしぼむはずです。この点についても来週のFOMCで、メンバーの考え方や議論の内容がますます注目されることになります。
6月の住宅着工件数は予想以上の増加を見せました。市場予想の「159万戸」に対して「164.3万戸」と、前月比6.3%増加し、3カ月ぶりの高水準でした。一戸建ての着工件数は6.3%増、集合住宅の着工件数も6.2%増と、いずれも好調でした。一方、着工件数の先行指標となる建設許可件数は159.8万件に留まり、昨年10月以来の低水準で、今後数カ月は住宅建設の伸びが減速することを示しています。専門家は、「住宅建設業者が建築資材と労働力を確保するのに苦慮していることが浮き彫りになった」と説明しています。(ブルームバーグ)
世界の目が再びコロナの感染状況に向けられてきました。米国では、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長が20日の上院公聴会で、米国では新型コロナウイルス新規感染症例の83%を「デルタ変異株」が占めていると証言しています。遺伝子配列の解析で明らかになったもので、7月初旬時点の50%から大幅に増加しています。NY市では新規感染者数が増える中、1日あたりのワクチン接種回数が、4月中旬の10万回から、1万5000回未満に減少していると報告されています。またシンガポールでは感染拡大により規制が強化され、オーストラリアでもビクトリア州は5回目のロックダウンを延長しています。日本でも東京都を中心に感染拡大が止まりません。昨日の専門家の意見では、これまで「今後2000人を超える可能性がある」と述べていたものが、「3000人を超える可能性」に変わっていました。週末にはオリンピックが開催され、さらなる感染拡大が危惧されています。世界の歴史の中でも初めての「コロナ禍でのオリンピック開催」ということになります。コロナに打ち勝つのか、あるいはコロナの勢いに負けるのか、ここでも注目されることになります。
本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はやや値を戻し110円手前まで上昇。前日のNYで109円目前まで売られたが、109円台を割り込まなかったことで安心感も。ユーロドルは水準を切り下げ、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-07-21 10:15