【為替本日の注目点】米第1四半期GDP予想を下回る

 109円台後半で小動きだったドル円はNYで売られる。GDPなど経済指標が軟調だったことで109円43銭までドル安に。  ユーロドルは反発。ユーロ圏の7月景況感が過去最高の結果を示したことなどを手掛かりに1.1893まで買われ、約1カ月ぶりのユーロ高を示現。  株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは153ドル上げ、3万5000ドル台を回復。債券は反落。長期金利は1.27%近辺まで上昇。金は大幅に上昇。原油も買われ73ドル台に。 4-6月GDP(速報値)   → 6.5% 新規失業保険申請件数     → 40.0万件 6月中古住宅販売成約件数   → -1.9% ドル/円    109.43 ~ 109.92 ユーロ/ドル  1.1871 ~ 1.1893 ユーロ/円   130.08 ~ 130.56 NYダウ   +153.60 → 35,084.53ドル GOLD   +31.20  → 1,835.80ドル WTI    +1.23   → 73.62ドル 米10年国債 +0.037  → 1.269% 【本日の注目イベント】 豪  豪第2四半期生産者物価指数 日  6月失業率 日  6月鉱工業生産 独  独4-6月期GDP(速報値) 欧  ユーロ圏4-6月期GDP(速報値) 欧  ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値) 欧  ユーロ圏6月失業率 米  4-6月雇用コスト指数 米  6月個人所得 米  6月個人支出 米  6月PCEコアデフレータ 米  7月ミシガン大学消費者マインド(確定値) 米  7月シカゴ購買部協会景気指数 米  ブレイナード・FRB理事講演 米  ブラード・セントルイス連銀総裁講演 米  企業決算 → キャタピラー、P&G、エクソンモービル  FOMCを終え、やや材料難からまったりとした相場展開を予想していましたが、昨日のNYではGDPなどの経済指標が予想を下回ったことから、「金融正常化への道のりはまだ遠い」との見方が広がり、ドルが売られました。ドル円は109円50銭を下抜けしたものの109円43銭で下げ止まり、ここからもう一段下げるのか、テクニカル的には重要な水準に差し掛かってきました。  米国でも感染力の強いデルタ変異株による感染拡大が続き、今後さらに勢いを増すようだと、改善傾向にある雇用情勢にも再び悪影響を与える可能性が指摘されています。  バイデン大統領は連邦政府職員に対して新型コロナウイルスワクチン接種証明を義務付け、未接種の職員にはマスク着用と頻繁なコロナ検査を義務化すると述べています。また、家賃を払えない借り手の立ち退きを猶予する措置を延長するよう議会に求めています。同措置は7月31日で失効するようです。さらにバイデン政権は州や地方自治体に対して、ワクチン接種者に100ドルを贈呈することも求めています。  米4-6月期のGDP速報値は「6.5%」と、市場予想の「8.4%」を大きく下回りましたが、GDPの額ではコロナウイルスがパンデミックとなる前のピークを上回っています。GDPの70%以上を占めると言われている個人消費では、前期比11.8%増加し、パンデミック禍でも依然として消費が好調であることを示しています。一方で、住宅在庫と住宅投資はそれぞれマイナスに沈んでいます。ワクチン接種が進み経済活動が再開したことに伴い、消費者は政府支援もある中で、外食などサービス支出を増やしていますが、今後は連邦政府の支援も徐々に縮小するため、先行きは不透明だと見られています。今後のデルタ変異株の感染をどこでくい止めることが出来るかがカギを握っています。  日本でも感染は止まるどころか急拡大しており、専門家の予想を遥かに超えるスピードで感染が広がっています。昨日は東京都で3865人の新規感染者が確認されこれで、2日連続で過去最多を更新し、全国の感染者数も1万人を超えてきました。  昨日の専門家の予想では、このままのペースでは9月には東京都だけで1日1万人を超えるといった衝撃的な意見もありました。コロナ感染拡大が株式市場にも暗い影を落とし、日本株の上昇を抑えています。このセンチメントがリスク回避につながり、ドル円も上値が抑えられている部分もあります。政府は本日にも東京と沖縄に加え、首都圏3県と大阪を「緊急事態宣言」に切り替える予定です。またその期限も8月末の見込みです。  「どうやら2021年末でも、コロナの感染拡大を明確に阻止できないのでは」といった悲観的な見方も漂い始めました。金メダルラッシュに沸く日本と、コロナの第5波に苦しむ日本の明暗が連日テレビで放映されています。  米長期金利が低位で安定していることからドル円もやや上値を重くし、足元では重要な「日足の雲の下限」をうかがう気配です。  現在109円30銭にある雲の下限を割り込むようだと、その下にある「120日移動平均線」が次のターゲットになりそうです。  ここを割り込むようだと、市場センチメントも徐々に変わってくる可能性があり、注意が必要です。また「MACD」を見ても、トレンドの転換を示唆する「ゼロの軸」に差し掛かっています。まだ上昇トレンドが終わったとは判断できませんが、テクニカル指標には目配りが必要かと思います。  本日のドル円は109円~109円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
109円台後半で小動きだったドル円はNYで売られる。GDPなど経済指標が軟調だったことで109円43銭までドル安に。
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2021-07-30 09:45