【為替本日の注目点】米長期金利1.15%台に低下

ドル円は売られ、109円19銭までドル安が進む。米景気の鈍化懸念が再燃し、長期金利が低下したことでドル売りが優勢となった。ユーロドルはドル安の流れにも水準を変えず。上昇は1.1890で止まり、1.19台には届かず。株式市場はISM製造業景況指数が予想を下回ったことで景気敏感株を中心に売られる。ダウは97ドル下げ、ナスダックは金利が低下したことから小幅高。債券相場は景気ピークアウト懸念から上昇。長期金利は再び1.12台を割りこみ、一時1.15%台まで低下。金は反発。景気減速懸念から原油は大幅に下落。 7月ISM製造業景況指数        →  59.5 7月マークイット製造業PMI(改定値) →  63.4 ドル/円    109.19  ~ 109.54 ユーロ/ドル  1.1866  ~ 1.1890 ユーロ/円   129.60  ~ 130.20 NYダウ    -97.31  → 34,838.16ドル GOLD     +5.00  → 1,822.20ドル WTI      -2.69  → 71.26ドル  米10年国債   -0.045 → 1.177% 【本日の注目イベント】 日    7月東京都区部消費者物価指数 豪    豪6月住宅建設許可件数 豪    RBA、キャッシュターゲット 日    7月マネタリーベース トルコ  トルコ7月消費者物価指数 欧    ユーロ圏6月生産者物価指数 米    6月製造業受注 米    7月自動車販売台数  「火のない所に煙はたたない」とでも言うんでしょうか・・・。先月下旬には「米景気ピークアウト論」が浮上し、長期金利が急低下しました。前日には1.3%を下回る水準で推移していた長期金利が一時1.12%台まで急低下し、景気減速懸念からNYダウはこの日を含めて1000ドル近く売られたことは記憶に新しいところですが、昨日のNYの動きもややそれに似たものでした。  7月のISM製造業景況指数は市場予想を下回る「59.5」でした。これで2カ月連続で予想を下回り、今年1月以来の低水準でした。項目別では、在庫の取り崩しを反映し、「顧客在庫」が過去最低を記録したことが特徴的です。発表元は、「企業と供給業者は引き続き、需要の拡大に応えるのに苦慮している」と説明し、「発注から納品までにかかる時間が過去最長に近いことや、必須基本材料の不足が続いていること、商品価格の高騰、さらに製品輸送面の問題が、全セグメントに影響を及ぼした」と分析しています。(ブルームバーグ)また先に発表されていた中国のPMIが予想を下回り、好不況の分岐点である「50」に近づいていたことも景気後退をより連想させた面もあったようです。中国の7月の財新製造業PMIは「50.3」でした。  ISM製造業景況指数が予想を下回ったことで、株式市場では景気敏感株を中心に下げに転じ、債券市場では債券が買われ、長期金利は一時1.15%近辺まで低下する場面もありました。ドル円は金利低下に沿う形で売りが優勢となり、先月19日以来となる109円台前半までドル安が進みました。新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大が続くことも景気の先行きに影を落としており、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、デルタ変異株の感染拡大で労働者の労働意欲が抑制され、ひいては景気回復を損ねる恐れがあると講演で指摘しています。明日4日には7月のISM非製造業景況指数が発表されますが、このまま低水準が続くようだと、FOMCでのテーパリング開始議論にも一石を投じる可能性があります。今週末の雇用統計も含めて、さらに経済データには目配りが必要となります。  FRBのウオラー理事は2日CNBCとのインタビューで、次の2回の雇用統計で労働市場の改善が続けば、債券購入の段階的縮小を近く発表することを支持できるだろうと述べています。ウオラー理事は、「9月までに発表する準備は整い得ると考えている」と述べ、「それは次の2回の雇用統計次第だ。前回のように強い数字が出れば、必要な進展が遂げられたと考える。そうでなければ、あと2カ月ほど先送りする必要が生じるだろう」との見方を示しています。この発言は、先月30日の講演でのブレイナード理事と歩調を合わせるもので、FRB執行部の考えを代弁していると理解してもいいいと思います。足元の物価上昇の勢いからすればテーパリング開始のタイミングだとは理解するものの、雇用の回復が遅れており、この局面での「拙速」を避ける意味でも、次の2回の雇用統計の内容を確認したいという意向のようです。ただ、上記ISM製造業景況指数のように雇用が改善傾向を示したとしても、今後発表される経済データが低調に推移するようだと、テーパリング開始の可能性は微妙となり、市場は判断に迷うことになります。デルタ変異株の感染状況、労働市場の推移、さらには経済データと、これからは注目すべき材料が多くなります。  本日の注目点は言うまでもなく、ドル円が109円台を維持できるかどうかです。NYでのドル安値圏では一目均衡表の雲の下限(日足)は一旦抜けていますが、現在はちょうどその下限近辺で推移しています。仮に抜け切るとトレンドの転換も示唆されますが、その下方の108円90-95銭近辺には、これも重要なサポートである「120日移動平均線」があることから、注意が必要です。 本日のドル円は108円90銭~109円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は売られ、109円19銭までドル安が進む。米景気の鈍化懸念が再燃し、長期金利が低下したことでドル売りが優勢となった。ユーロドルはドル安の流れにも水準を変えず。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-08-03 10:00