【為替本日の注目点】7月ADP雇用者数、予想を大幅に下回る

ドル円は108円台から急伸。経済指標は強弱まちまちだったが、長期金利の上昇にドル円は109円68銭まで反発。ユーロドルはこの日も1.18台半ばから後半でもみ合い、膠着感が強まる。株式市場は前日と真逆の動きとなり、ダウは323ドル下げ、ナスダックは小幅に上昇。債券は反落。クラリダFRB副議長の発言に反応し、長期金利は1.18%台に上昇。金は小幅に反発。原油は3日続落し68ドル台に。
7月ADP雇用者数 → 33.0万人
7月ISM非製造業景況指数 → 64.1
7月マークイットサービス業PMI(改定値) → 59.9
7月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 59.9
ドル/円 108.73 ~ 109.68
ユーロ/ドル 1.1833 ~ 1.1899
ユーロ/円 129.13 ~ 129.82
NYダウ -323.73 → 34,792.67ドル
GOLD +0.40 → 1,814.50ドル
WTI -2.41 → 68.15ドル
米10年国債 +0.010 → 1.182%
【本日の注目イベント】
豪 豪6月貿易収支
独 独6月製造業新規受注
英 BOE金融政策発表
英 BOE議事録
欧 ECB経済報告
米 新規失業保険申請件数
米 6月貿易収支
加 カナダ6月貿易収支
7月のADP雇用者数は予想外のサプライズでした。結果は「33.0万人」と、市場予想の半分以下で今年1月以来となる低い水準でした。雇用増加ぺースの鈍化は、労働市場の完全な回復を達成する上で困難がなお残っていることを浮き彫りにした格好です。ADPのチーフエコノミストは、「7月のデータは、雇用の伸びが第2四半期(4-6月)のペースから顕著に減速したことを示した。採用面でのボトルネックにより、雇用の伸びが加速できない状況が続いている。特に新型コロナウイルスの変異株の感染に伴う懸念が影響している」と説明しています。(ブルームバーグ)
ADP雇用者数は前月6月分も下方修正されており、今週末の雇用統計にも下振れ懸念が浮上しています。労働市場の行方は、FRBのテーパリング開始時期を占う上でのカギとなっていることから、週末の雇用統計の結果と共に注目が集まっています。ドル円はこの発表直後ドル売りが先行し、108円73銭まで売られましたが、その後急反発し109円台半ばまで買い戻されています。
そのきっかけを与えたのがクラリダFRB副議長の講演でした。クラリダ氏は、当局が債券購入のテーパリングについて年内に発表し、2023年には利上げを開始するといった「タカ派的」な見通しを示しました。クラリダ氏はピーターソン国際経済研究所が主催したウェビナーで講演し、「FF金利の目標レンジの引き上げに必要な条件は、2022年の終わりまでに達成されているだろう」と述べ、「23年には利上げを開始するだろう」と語っています。23年に利上げ始まるという自身の予想については、「インフレ率が期間平均で2%になるという当局が昨年採用した目標と整合しているほか、拡張的な財政政策の結果、家計の余剰貯蓄が2兆ドルを超えて積み上がっている現状を考慮したものだ」と説明しています。労働市場の回復の遅れを理由に、利上げには慎重な姿勢を見せるFRB執行部でしたが、その一人が「2023年の利上げ開始」を口にしたことと、家計の余剰貯蓄にも言及したことはやや想定外でした。ただ、クラリダ氏も足もとで急拡大しているデルタ変異株については、「明らかに見通しに下方向のリスクになっている」と述べています。
クラリダFRB副議長の発言は、今後の米景気に対する自信の表れだろうと思いますが、イエレン財務長官は、そのカギを握るのはバイデン大統領のアジェンダにおける住宅や育児、教育を対象とした他の部分も米国を支える「重要な要素だ」と語っています。イエレン氏は、「われわれは世界で傑出した経済大国としての米国に慣れて育ってきた。その地位にとどまる運命にあるとは限らないが、こうした投資を伴うことで、私はそうなると確信する。米経済の壊れた基盤を修復する機会が今訪れている。そして何より、これまでよりも公正かつ強力なものを築く機会が訪れている」と主張しています。
WTI原油価格は3日続落し、68ドル台前半まで下げてきました。この間の下げ幅は6ドル(約7.8%)に迫る大幅な下げとなっています。昨日は米エネルギー情報局が発表した在庫が予想外に増えていたといった理由もありましたが、2ドルを超える大幅な下落でした。うがち過ぎかもしれませんが、ここに米景気のピークアウトを先取りする動きがあるかもしれません。景気の鈍化は製造業などの石油消費の減少につながることから、商品市況は早くもその動きを示唆しているとも考えられます。
本日のドル円は109円20銭~109円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は108円台から急伸。経済指標は強弱まちまちだったが、長期金利の上昇にドル円は109円68銭まで反発。ユーロドルはこの日も1.18台半ばから後半でもみ合い、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-08-05 10:15