【為替本日の注目点】米長期金利1.32%台へ上昇

 ドル円は先週の雇用統計後に110円台を回復。この日は110円35銭まで買われたが、米国内でのコロナ感染拡大で円を買う動きもあり、小幅な値動きの中もみ合う。ユーロドルは続落し、1.1735までユーロ安が進む。株式市場はまちまち。ダウは反落し、ナスダックは小幅に上昇。債券は続落し、長期金利は約3週間ぶりに1.32%台まで上昇。金は大きく売られ1726ドル前後に。原油も下げ66ドル台に。 ドル/円  110.03 ~ 110.35 ユーロ/ドル 1.1735 ~ 1.1769 ユーロ/円  129.39 ~ 129.58 NYダウ  -106.66  → 35,101.85ドル GOLD -36.60 → 1,726.50ドル WTI  -1.80   → 66.48ドル   米10年国債 +0.027 → 1.324% 本日の注目イベント 豪 7月NAB企業景況感指数 日 6月貿易収支 日 6月国際収支 日 7月景気ウオッチャー調査 独 8月ZEW景気期待指数 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演  先週末に発表された7月の雇用統計について触れておかなければなりません。非農業部門雇用者数は「94.3万人」と、市場予想を上回り、6月分も「85万人」から「93.8万人」に上方修正され、2カ月連続で高水準の雇用増が確認されました。また7月の失業率も「5.4%」と、前月から大幅に改善され、平均時給も前年比で「4.0%増」と、コロナワクチン接種が進みと経済活動が再開された効果がはっきりと映し出された格好です。申し分のないの結果だっといえます。  先週木曜日の講演でウオラーFRB理事は、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」と語りその上で、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」と話していました。ウオラーFRB理事の期待した「100万人」には届かなかったものの、一旦後退したテーパリング開始の可能性が再び高まってきました。アトランタ連銀のポスティック総裁も9日、7月の非農業部門雇用者数が94万3000人の増加になったことが、「かなり心強いのは確かだ。これが次の1-2カ月続けば目標に向けて『顕著な進展』があったことになり、新たな政策姿勢をどうするか考えるべきだろうというのが私の感触だ」と語り、上記ウオラーFRB理事と同様の考えを示しました。またリッチモンド連銀のバーキン総裁は依然として慎重な姿勢を見せながらも、「米経済が米金融当局の目標に向って前進していると言って、差支えないと」と述べ、「労働市場には前進の余地がまだあると思う」と語っています。今回のデータでも労働参加率は「61.7%」と、依然として伸びていないことに着目した発言かと思われます。また同総裁は「インフレ期待は目を見張るほど安定している」とも語っています。(ブルームバーグ)  雇用統計の発表を受け、長期金利の上昇がドル円を再び110円台に押し上げています。上記2名の総裁発言を聞くまでもなく、物価上昇が続く中、テーパリング開始へのボトルネックになっているのが労働市場の停滞です。この部分が解消に向かえば、FOMC会合内でもテーパリング開始を支持する委員が増えてくるのは明らかでしょう。9月には失業保険給付金への手厚い上乗せ加算も終了すると見られています。また9月は米国では新学期が始まり、学校に通う子供を持つ親が、仕事を見つけ外に出易い状況にもなります。働き手への需要は強く、「ケンタッキー州にあるレストランでは時給16ドル(約1800円)を提示しても応募者がゼロだった(セントルイス地区連銀)」といった報告もあると日経新聞は伝えています。こうなると次のハードルになるのは、デルタ変異株の感染状況だと言えます。米国では感染力の強いデルタ変異株の感染拡大が続いており、新規感染者数も1日で2万4000人を超え、2月以来の高水準になっています。  ドル円は今回も109円台を割りこむことなく110円台を回復してきました。米長期金利の上昇が支えとなっていますが、日本を含む世界的なデルタ変異株の感染拡大もあり、このままドルが買われる展開でもありません。ただ、FRBによるテーパリング開始の議論はさらに進むと見られ、個人的にはまだネガティブですが、今月26-28日のジャクソンホールでのテーパリング示唆も可能性としては再び浮上してきそうです。本日のドル円は110円~110円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は先週の雇用統計後に110円台を回復。この日は110円35銭まで買われたが、米国内でのコロナ感染拡大で円を買う動きもあり、小幅な値動きの中もみ合う。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-08-10 10:15