【為替本日の注目点】NYダウ、S&P500、6日ぶりに反落

ドル円は反発。経済指標の悪化に株価が大きく下げたことから、「リスク回避のドル買い」といった動きとなりドル円は上昇。109円65銭までドル高が進み、109円割れは今回もお預け。ユーロドルでもドル高が進み、一時は1.1707まで下落。今年3月31日に記録した安値に接近。株式市場は3指数が揃って下落。ダウとS&P500は6日ぶりに大きく売られる。債券相場は横ばい。長期金利は1.26%台と変わらず。金は反落し、原油は4日続落。
7月小売売上高 → -1.1%
7月鉱工業生産 → 0.9%
7月設備稼働率 → 76.1%
8月NAHB住宅市場指数 → 75
ドル/円 109.19~ 109.65
ユーロ/ドル 1.1707 ~ 1.1769
ユーロ/円 128.27 ~ 128.69
NYダウ -282.12 → 35,343.28ドル
GOLD -2.00 → 1,787.80ドル
WTI -0.70 → 66.59ドル
米10年国債 -0.003 → 1.262%
【本日の注目イベント】
日 7月貿易収支
欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(改定値)
英 英7月消費者物価指数
米 7月住宅着工件数
米 7月建設許可件数
米 FOMC議事録(7月27-28日分)
米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
加 カナダ7月消費者物価指数
アフガニスタン全土を制圧した「タリバン」は17日、報道官が記者会見を開き、「国際社会、特に米国や近隣国への攻撃にアフガニスタンが利用されることはないと保証する」と述べました。また懸念されている女性の権利や自由についても、「イスラム法の範囲内で女性を守る」とし、今後樹立が見込まれる新政権にも、一定の条件下で女性が加わることも認めると説明しました。さらに報道官は、米国や旧アフガン政権に協力、あるいはそのために戦った人々は「全員、罪を許された」として、「タリバン」によりアフガニスタン・イスラム首長国はこうした人々への報復を目指さないとも言明。銃が大量に流通している全土で兵器を回収し、アヘンの生産を取り締まる意向も明らかにしています。(ブルームバーグ)しかし、国際社会は「タリバン」がこれらの公約を実際に実行するかどうかについては依然懐疑的と見られ、新政権樹立後の行動を注視している状況です。
NY株式市場が久しぶりに大きく下げました。ダウとS&P500が5日連続で最高値を更新していたことを想えば、当然の下げと見ていますが、気になるのはその下落のトリガーです。7月の小売売上高は市場予想の「-0.3%」から大きく乖離し、「-1.1%」と、大幅な減少でした。13分野のうち8分野で売上高が減少し、減少した分野はかなり広範囲に及んでいました。特に、自動車ディーラーやネットでの売上高が落ち込んでいます。すでに発表された、ミシガン大学消費者マインド、NY連銀製造業景況感指数、そして今回の小売売上高と、軒並み下振れ結果が続出しています。さらに言えば、この日発表された8月のNAHB市場市指数も「75」と、予想を下回り3カ月連続で下げています。
米国でもデルタ変異株の感染拡大が続いており、企業経営者の心理だけではなく、消費者の心理も先行きに対して慎重になっていることを表していると思われます。これらのデータが来週のジャクソンホールでのパウエル議長の発言や、9月のFOMCに微妙な影響を及ぼす可能性もありそうです。そのパウエル議長は昨日、教育者や学生とのオンライン対話集会で発言しましたが、金融政策や経済成長への言及はなく、新型コロナウイルスの感染に触れるのみでした。議長は、コロナ禍について、「いまは異例の時代であり、これが結果的に並外れた世代を生み出すと思う。この世代の世界の見方は従来と異なる。人生にとって何が真に重要か、他の人々より早く考えざるを得なかったためだ」(ブルームバーグ)と説明したにとどまっています。
小売売上高の大幅な下振れを受け、NY株は大きく下げました。ダウは282ドル安で取引を終えましたが、一時は500ドルほど下げ、リスク回避の流れが強まりました。ドル円は109円台前半から109円台半ばを超える水準まで反発しましたが、今回は「リスク回避の円買い」ではなく、「リスク回避のドル買い」だったようです。この辺りが個人投資家にとっても判断が難しい所で、リスクが急激に高まった時にはどのように対応すべきか迷う部分です。言えることは、これまでのような「リスクが高まったら安全通貨の円を買え」ということではないということです。コロナに対する対応に象徴されるように、「安全通貨の円」は最早神話になりつつあります。
それにしても、110円台半ばから後半が抜け切れないのと同じように、109円前後が明確に抜け切れません。今回の「タリバン」によるアフガン制圧をきっかけにドルが下値を試すと予想していましたが、どうも緩慢な値動きからは抜け出せません。ただ、来週のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を始め、雇用統計、FOMCと来月に向けては「材料が豊富」です。まだ気を緩めるわけにはいきません。
本日のドル円は109円10銭~109円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は反発。経済指標の悪化に株価が大きく下げたことから、「リスク回避のドル買い」といった動きとなりドル円は上昇。109円65銭までドル高が進み、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-08-18 09:45