【為替本日の注目点】ユーロドル1年9カ月ぶりに1.16台に

ドル円は底堅い動きを見せ、NYの午後には110円台を回復したが、110円台維持はならず押し戻される。FOMC議事録で年内のテーパリング開始予想が明らかになったことがやや重荷に。ユーロドルは続落し、節目の1.17台を割り込む。一時は1.1694までユーロ安が進み、2020年11月4日以来となる水準を示現。株式市場は3指数が揃って続落。堅調に推移していた株価はFOMC議事録公開を境に売りが加速。ダウは382ドル安で、3万5000ドルを割り込む。債券相場は小動きが続き、長期金利は1.125%台とやや低下。金は続落。原油は5日続落し、65ドル台まで売られる。デルタ変異株の感染拡大が続いており、世界需要が減少するとの見立てから売りが優勢に。
7月住宅着工件数 → 153.4万件
7月建設許可件数 → 163.5万件
ドル/円 109.72~ 110.07
ユーロ/ドル 1.1694 ~ 1.1743
ユーロ/円 128.52 ~ 128.95
NYダウ -382.59 → 34,960.69ドル
GOLD -3.40 → 1,784.40ドル
WTI -1.13 → 65.46ドル
米10年国債 -0.003 → 1.258%
【本日の注目イベント】
豪 豪7月雇用統計
欧 ユーロ圏6月経常収支
米 新規失業保険申請件数
米 8月フィラデルフィア連銀景況指数
米 7月景気先行指標総合指数
先月の27-28日に開催されたFOMCの議事録が公開されました。公開された議事要旨によれば、大半のメンバーが年内に債券購入ペースの減速を開始し得るとの見解で一致していたことが明らかになりました。「経済・金融環境に基づくと、向こう数カ月に縮小が正当化される可能性が高いと一部の参加者が言及した」とあり、また「他の幾人かは、資産購入ペースの減速は来年の早い時期に適切となる公算がより大きいとの認識を示した」とも記されていました。(ブルームバーグ)一方インフレについては、「幾人かの参加者は、インフレ率が再びパンデミック前に見られた2%目標を下回るトレンドに戻るのではないかとなお懸念している」とし、インフレ加速がどの程度続くのか、見解が分かれていました。労働市場に関しては進展が見られたとの認識でしたが、パンデミックに関連した雇用の混乱を踏まえ、短期と中期の両方でのスラック(たるみ)を巡る不透明感が示されています。
この議事録が公開されたことで、テーパリング開始時期がそれほど遠くないとの見方が強まり、110円台に上昇していたドル円は株価の急落を受け、110円台を維持できずに109円80銭近辺まで押し戻されています。連日最高値を更新していたダウは引けにかけて大きく下げましたが、「何をいまさら」といった気もします。本リポートでも度々述べてきたように、今月に入ってから講演を行ったFOMCメンバーの多くがテーパリング開始は適切との見解を見せており、FOMC会合ではタカ派的な議論が高まっていたことを示唆していました。それでも株価の方は連日最高値を更新し、ダウとS&P500は5日連続で最高値更新でした。FOMCメンバーの発言と株価の上昇に、違和感を感じていたのは筆者だけではなかったのでは思います。タカ派寄りの発言の象徴がセントルイス連銀のブラード総裁でした。同総裁は昨日もオンラインのイベントで講演を行い、米経済について、「金融当局の雇用と物価安定に関する目標の達成に向けて、大きな進展を遂げた」と述べ、その上で、テーパリングに関して、「2022年1-3月までに終わらせることが望ましい」とし、「それにより、多くの選択肢が生まれる」との考えを示しました。また利上げ開始時期についても、「22年10-12月が利上げを開始する上で、理にかなった時期だ」(ブルームバーグ)と、具体的な時期についても言及しています。
アフガニスタンを制圧したタリバンの広報官の記者会見が昨日テレビでも放映されていましたが、会見では女性の権利や自由が保証されていることや、これまでの破壊的なタリバンとは異なる点を主張しているように受け止めました。大混乱に陥っていた空港はやや落ち着きを取り戻したようですが、タリバンが空港を包囲している状況は続いているようです。国外脱出を図ったカニ大統領は、アラブ首長国連邦(UAE)に家族と共にいることが確認されています。また今朝の報道では、米国はタリバンに利用されないよう、アフガニスタン中央銀行が米国内に持つ資産約95億ドル(約1兆400億円)を凍結し、本国への現金輸送を停止したと発表しています。タリバンの目指す「アフガニスタン・イスラム首長国」樹立に向け、まだまだ紆余曲折がありそうです。
引き続きNY株の動きから目が離せません。今のところ、米長期金利に大きな動きは動きはなく、FOMC議事録が公開された割りには冷静さを見せています。もっとも、債券は来週のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を前に動けないのかもしれません。
本日のドル円は109円50銭~110円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は底堅い動きを見せ、NYの午後には110円台を回復したが、110円台維持はならず押し戻される。FOMC議事録で年内のテーパリング開始予想が明らかになったことがやや重荷に。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-08-19 09:30