【為替本日の注目点】WTI原油価格6日続落

東京市場昼頃に110円23銭前後まで買われたドル円はその後軟調な展開となり、欧州市場では109円台半ばまで下落。NYではやや買い戻されたものの、従来のレンジを抜け切れない展開が続く。ユーロドルは続落。1.1673までユーロ安が進む場面もあり、前日の安値を更新。株式市場はまちまち。ダウは3日続落したものの、ナスダックとS&P500は反発。債券相場は続伸。長期金利は1.24%台へと低下。金は3日続落。原油はさらに売られ63ドル台で引ける。
新規失業保険申請件数 → 34.8万件
8月フィラデルフィア連銀景況指数 → 19.4
7月景気先行指標総合指数 → 0.9%
ドル/円 109.52 ~ 109.83
ユーロ/ドル 1.1673 ~ 1.1704
ユーロ/円 128.14 ~ 128.45
NYダウ -66.57 → 34,894.12ドル
GOLD -1.30 → 1,783.10ドル
WTI -1.77 → 63.69ドル
米10年国債 -0.015 → 1.243%
【本日の注目イベント】
日 7月消費者物価指数
独 独7月生産者物価指数
英 英7月小売売上高
加 カナダ7月小売売上高
米 カプラン・ダラス連銀総裁講演
昨日の東京市場の午前中は底堅い動きを見せたドル円でしたが、欧州時間の朝方には再び109円台半ばまで売られ、109円~110円台後半の「岩盤レンジ」は今回も機能しています。東京時間には110円23銭前後まで上昇する場面もあり、やや上昇機運が高まったものの、結局押し戻されています。一方ユーロドルでは「ドル高・ユーロ安」の流れが継続しており、昨日のNYでは1.1673までユーロ安が進みました。こちらはやはり、「1.1704」というこれまで機能していた強いサポートを割り込んだという事実が、市場心理をさらにユーロ安に傾けた結果ではないかと思います。ドル円で円が買い戻され、ユーロドルでユーロが売られたことで、ユーロ円は128円台前半まで下げ、約半年ぶりの安値を記録しています。
WTI原油価格の下げ基調が続いています。昨日も一時は62ドル台まで売られ、引け値では63ドル台でしたが、前日比1ドル77セント安、率にして2.7%も下げました。6月には77ドル台まで買われた原油でしたが、デルタ変異株の感染が世界中で拡大しており、景気の減速から原油需要が減るといった見方が主因です。ただテクニカルでもこの77ドル前後という水準は、これまでにも「天井」を付けてきた経緯があります。2018年4月と10月にはいずれも、75-77ドルの水準を抜けずに反落し、今回で3度目となります。原油や金(きん)も通貨と同様、投資対象になるため、足元では原油と金が売られ、ドルが買われている状況とも言えます。
発表された新規失業保険申請件数は4週連続の減少でした。「34.8万件」と、前週比2万9000件の減少で、景気回復に伴い、労働市場の状況が改善しつつあることを示唆しています。また失業保険の継続受給者数も280万人に減少し、コロナ禍の最低水準になっています。失業保険申請件数の減少の理由の一つである、手厚い「上乗せ給付金」に関してバイデン大統領は、予定通り失効させることが「適切」だと指摘し、その上で新型コロナウイルスのデルタ変異株が広がっている状況を踏まえて、同給付金の失効後も州・地方政府がコロナア関連の救済資金を活用して支援を続けることは可能だとの見解を示しています。(ブルームバーグ)
7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を大きく上回り100万人に近い増加を見せました。ウオラー・FRB理事は先の講演で、「6日発表の雇用統計、翌月の雇用統計はいずれも非常に高い数字が出ると強く期待している」と述べ、「明日の雇用統計で100万人規模の数字が出て、9月発表の統計で100万人近い数字が出れば、1年半に失われた雇用の85%を取り戻したことになる」と質疑応答で答えています。その上で、「他の人が考えているよりも早期に、緩和的な金融政策を巻き戻せるようになるかもしれない」と話していました。最近発表される経済指標は予想を下振れするケースが多く、テーパリング開始を懸念する声もありますが、テーパリングの最大の足かせとなっている「雇用」に明確な改善が見られれば、FRBがテーパリング開始をためらう理由は多くありません。その意味では、8月の雇用統計が非常に重要で、今から注目度は高いと言えます。
アフガニスタンを掌握したタリバンについて、バイデン大統領は、「国際舞台における役割という面では、存在に関する危機に面している」との認識を示し、「タリバンが方向性を抜本的に変えたとは考えていない」と述べています。またアフガニスタンからの米軍撤退期限である8月31日を過ぎても、全ての米国民が退避できるまで同国に米軍を駐留させる考えを表明しています。オンライン形式で行われた「G7」外相会合でも、タリバンと国際社会との関係は「タリバンの行動次第」との見解で一致しています。
109円~110円台半ばから後半のレンジを抜け切れない展開が続いていますが、それでも値動きはあることから、小刻みに利益を確定していくしかありません。大局的に見れば、FRBによるテーパリング開始はそう遠くない時期に実施され、コロナ関連では日本の対応の遅れが鮮明であり、ドルが買われて円が売られる公算が高いと予想していますが、最大の懸念材料はデルタ変異株の感染拡大です。米長期金利の動きがその辺りを感じ取っているのでしょうか?無いとは思いますが、これが制御不能になるようだと、シナリオは異なってきますが、仮にそのような状況になったとしても日本が米国よりも優位な立場に立てるとは思えません。
本日のドル円は109円40銭~110円20銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京市場昼頃に110円23銭前後まで買われたドル円はその後軟調な展開となり、欧州市場では109円台半ばまで下落。NYではやや買い戻されたものの、従来のレンジを抜け切れない展開が続く。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-08-20 10:00