【為替本日の注目点】ジャクソンホールを控え、タカ派発言相次ぐ

ドル円は110円台前半で底堅く推移しながらも神経質な展開に。ジャクソンホールを控え、FOMCメンバーからはタカ派寄りの発言が相次いだこともドルの支えに。ユーロドルは1.17台半ばを中心に小動き。株式市場は3指数が揃って反落。このところ上昇が続いたが、アフガニスタンでの爆発を受け利益確定の売りが優勢となる。債券相場は小幅に続落。長期金利は1.35%近辺まで上昇。金は反発し、原油は反落。 新規失業保険申請件数   → 35.3万件 4-6月GDP(改定値) → 6.6%   ドル/円    109.94 ~ 110.22 ユーロ/ドル  1.1746 ~ 1.1775 ユーロ/円   129.23 ~ 129.63 NYダウ  -192.38  → 35,213.12ドル GOLD     +4.20 → 1,795.20ドル WTI     -0.94  → 67.42ドル 米10年国債  +0.010 → 1.349% 【本日の注目イベント】 豪   豪7月小売売上高 日   8月東京都区部消費者物価指数 中   中国7月工業生産 米   7月個人所得 米   7月個人支出 米   7月PCEコアデフレータ 米   8月ミシガン大学消費者マインド(確定値) 米   カンザスシティー連銀主催年次シンポジュウムで      パウル議長が講演  パウエル議長は、カンザスシティー連銀主催の年次シンポジュウムで昨年に続きオンライン形式で日本時間午後11時に講演を行います。物価上昇が続き、懸念材料であった労働市場にも改善傾向の兆しが見える中、テーパリング開始が適切かどうかについてメッセージを送ってくるものと思われますが、一方で足元ではデルタ変異株の感染拡大が急速に高まっており、今後長引くようだと景気への影響も予想されます。どのような判断を下すのか世界中が注目しています。ブルームバーグは「年内のテーパリング開始が恐らく適切となるであろうとのメッセージを補強するものと見込まれる」と、今朝の配信で報じています。  パウエル議長の講演を前に、テーパリングの早期開始を主張する発言が相次ぎました。「超タカ派」と見られる、セントルイス連銀のブラード総裁はCNBCとのインタビューで、「米国は好景気に沸いており、現時点での一段の刺激策は恐らく必要ない」と発言し、「テーパリングを着手する必要がある」と述べました。その上で、来年第1四半期(1-3月)末までのテーパリング終了を支持するとあらためて表明し、それによってゼロからの金利引き上げを決定する時期に関して「選択制」が広がると主張しています。またダラス連銀のカプラン総裁も同じくCNBCとのインタビューで、「現時点で把握できる状況に基づき、この見通しを大きく変更せざるを得ないような事象は見受けられない」と発言。「9月会合までの数週間、このことを注視し続ける。9月会合の時点で資産購入を調整する計画を発表する状況が十分に整い、10月かそのすぐ後に実行に移せるとみているが、これからの注視後にこの見解は変わりないだろう」と述べました。さらにカンザスシティー連銀のジョージ総裁は、「新型コロナウイルスのデルタ変異株が米経済見通しと雇用の拡大にとってリスクだとしても、政策当局者は資産購入ペースを落とす行動の『スタートを切る』必要がある」との認識を示しました。そして、「われわれがこれまで目にした進捗を考えれば、そのような調整に着手する時期だという私自身の計算が変わるとは考えない」と語っています。  昨日はFOMCメンバー以外からも発言があり、世界最大のヘッジファンドである米ブリッジウォーター・アソシエーツのジェンセン共同最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「経済が金融当局に行動を迫るだろう。インフレは当局の目標を大きく上回っている状況だ。当局が行動しないなら、インフレは加速を続けると考えている」と述べています。このように、テーパリング開始が適切との発言が相次ぎ、パウエル議長も「外堀が埋められた」ような状況になってきましたが、特にジョージ総裁の発言は、デルタ変異株の感染拡大が続いていることを認識しながらも、それでもテーパリング開始が適切と述べている点が印象的です。やや注意が必要なのは、上記3地区連銀総裁はいずれも本年度のFOMCでの投票権は持っていません。  アフガニスタンの首都カブールの国際空港近くで2回の爆発があり、米兵12人とアフガニスタン人少なくとも60人が死亡し、多数の負傷者がでました。米国防総省は恐らく過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行との見解を示しています。バイデン大統領はホワイトハウスで演説を行い、「この攻撃を実行した者と米国の不幸を願う者にこう告げる。われわれは許さないし、忘れない。必ず見つけ出し、報いを受けさせる」と語り、この爆発はIS系組織「イスラム国コラサン(ISIS-K)」の過激派の仕業である可能性が高いと情報機関が結論を下したと説明しました。  米株価が下げ、長期金利はじわじわと上昇傾向を見せ、さらにドル円は110円台前後で推移しています。上でも述べたように、テーパリング開始が適切との発言がパウエル議長からも出て来ることを想定したような動きを感じさせますが、慎重なパウエル氏がどのような言い回しをするのか、この夏最後の重要イベントです。パウエル氏自身、この難局を混乱なく政策変更へと移行できれば、来年2月の任期満了以降も、「再任」という形で評価されるはずです。  本日のドル円はややワイドに、109円50銭~110円50銭程度としたいと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は110円台前半で底堅く推移しながらも神経質な展開に。ジャクソンホールを控え、FOMCメンバーからはタカ派寄りの発言が相次いだこともドルの支えに。
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2021-08-27 10:00