【為替本日の注目点】ユーロ圏8月CPIは3%に上昇

ドル円は軟調な経済指標に、朝方は109円59銭まで売られたがその後110円台を回復。米長期金利の上昇がドルを押し上げる。ユーロドルは水準を切り上げ1.1839まで上昇。8月のCPIが予想を上回る3%だったことでユーロを買い戻す動きにつながる。株式市場は3指数とも下げる。ただ、いずれも下げ幅は小さく上昇基調は変わらずとの声も。債券は反落。長期金利は1.30%台を回復。金は反発し、原油は反落。
6月ケース・シラ-住宅価格指数 → 19.1%
6月FHFA住宅価格指数 → 1.6%
8月シカゴ購買部協会景気指数 → 66.8
8月消費者信頼感指数 → 113.8
ドル/円 109.59 ~ 110.08
ユーロ/ドル 1.1797 ~ 1.1839
ユーロ/円 129.59 ~ 130.06
NYダウ -39.11 → 35,360.73ドル
GOLD +5.90 → 1,818.10ドル
WTI -0.71 → 68.50ドル
米10年国債 +0.030 → 1.309%
【本日の注目イベント】
豪 豪4-6月期GDP
中 8月財新製造業PMI
独 独8月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏8月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏7月失業率
英 英8月製造業PMI(改定値)
米 8月ADP雇用者数
米 8月ISM製造業景況指数
米 8月マークイット製造業PMI(改定値)
米 8月自動車販売台数
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントで質疑応答に参加
米 ケリー大統領特使、訪中(3日まで)
今日から9月です。
コロナに翻弄された8月だったという印象ですが、ドル円の8月の値幅は2円強と、7月よりも縮小しています。ここ3カ月は多くても2円50銭程度の値幅で推移し、さらに110円を中心としたもみ合いが続いています。特に8月は、事前に大きく盛り上がったジャクソンホールがありましたが、「大山鳴動して鼠一匹」といった状況でした。今月は21-22日にFOMCが開催され、政策変更はないとしても、テーパリングに関する言及があるかもしれないとの観測もあります。また、今週末の雇用統計が非常に注目されていることもあり、今月はもう少し値幅を伴って動いて欲しいものです。少なくとも110円中心の動きから脱却し、次への期待が持てる値動きを希求したいところです。
バイデン大統領は31日演説を行い、アフガニスタンでの20年に及ぶ米軍の軍事活動の終了を宣言しました。「私はこの長い戦争を延長するつもりはなく、長い撤収を先延ばしするつもりもなかった」と述べ、さらに「この戦争を終わらせる時だった」と強調しました。米軍は撤退期限の最終段階でISの自爆テロにより13人の兵士を失っており、国民の一部からは批判の声も上がり、支持率も低下しています。バイデン氏は、「歴史上、このようなことを過去に成し遂げた国はない」と反論していました。
6月のケース・シラー住宅価格指数は主要20都市で「19.1%」(前年同月比)と、過去最大の伸びを見せました。全米ベースでも「18.6%」の上昇で、データがさかのぼれる1988年以降で最大だとブルームバーグは報じています。個別に20都市を見ると、全ての都市で20~40%ほど上昇していますが、特にアリゾナ州の州都であるフェニクスは「52.5%」と、20都市では最大の伸びを示しています。
ハイテク企業の多いカリフォルニア州からの企業や人口の流入が続いているようです。コロナ禍の影響によりリモートワークが主流になったことや、低金利の住宅ローンを背景に購入希望者が多く、人気が集まっているようです。また株価の上昇による資産効果の影響も大きいと見られます。ただこれほど価格が高騰すると、一般的な市民には手が届かないことになり、「格差の拡大」がさらに進むことにもなります。
一方で消費者の先行きに対する心理は悪化しています。
コンファレンスボードが発表した8月の消費者マインドは、6カ月ぶりの低水準となる「113.8」でした。
7月分も下方修正され、特に現況指数の「147.3」は4月以来の低水準でした。先月13日に発表されたミシガン大学消費者マインド速報値でも、市場予想を大きく下回る10年ぶりの低水準であったことが市場にインパクトを与えました。同指数は調査対象人数が300人と限られることから、全体的な趨勢を推し量るにはやや「難」もありましたが、今回のコンファレンスボードの同指数は対象人数も5000人規模と言われており、それなりに精度に信頼性があります。デルタ変異株の感染拡大が人々の行動様式や消費行動に悪影響を与えていると考えられます。すでにレストランの予約や航空旅行、ホテル稼働率などにも影響が出ており、加えて「ガソリンや食品価格の上昇が消費者心理を一段と悪化させている可能性がある」(ブルームバーグ)と分析されています。
ユーロ圏でも物価上昇が続いています。
8月のCPIは「3.0%」と、10年ぶりの高水準でした。
フランスでも8月は「2.4%」,ドイツは「3.4%」と、いずれも市場予想を上回る上昇率です。
米国と同様にエネルギーや食品の価格が上昇しており、半導体などの世界的な供給不足もコストを押し上げているようです。
ECBの政策メンバーであるクノットオランダ中銀総裁は、「来週開かれる政策決定会合でパンデミック緊急債券購入プログラム(PEPP)の3月終了と矛盾しないか決定がなされると見込んでいる」と述べ、「つまり、購入ペースの減速を意味する」と続けています。ホルツマン・オーストリア中銀総裁も「9月会合で危機対応措置の縮小議論をすべきだ」と述べており、ECBもFRBの背中を追っている状況が鮮明になってきました。
本日のドル円は109円60銭~110円30銭程度と見ています。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は軟調な経済指標に、朝方は109円59銭まで売られたがその後110円台を回復。米長期金利の上昇がドルを押し上げる。ユーロドルは水準を切り上げ1.1839まで上昇。8月のCPIが予想を上回る3%だったことでユーロを買い戻す動きにつながる。株式市場は3指数とも下げる。ただ、いずれも下げ幅は小さく上昇基調は変わらずとの声も。債券は反落。長期金利は1.30%台を回復。金は反発し、原油は反落。
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2021-09-01 10:00