【為替本日の注目点】ベージュブック、米景気を下方修正

東京時間では日本株の上昇にドル円は110円45銭を付けたがNYではリスク回避の流れから110円台前半まで下落。ユーロドルは続落。1.1802までユーロ安が進む。株式市場では3指数が揃って下落。ダウは68ドル安で3日続落。ナスダックは朝方上昇していたが、利益確定の売りに押され4日ぶりに反落。債券は反発。長期金利は1.33%台へと低下。金は続落し、原油は反発。
7月消費者信用残高 → 170.00億ドル
ドル/円 110.15 ~ 110.39
ユーロ/ドル 1.1802 ~ 1.1830
ユーロ/円 130.22 ~ 130.42
NYダウ -68.93 → 35,031.07ドル
GOLD -5.00 → 1,793.50ドル
WTI +0.95 → 69.30ドル
米10年国債 -0.036 → 1.338%
【本日の注目イベント】
中 中国8月消費者物価指数
中 中国8月生産者物価指数
独 独7月貿易収支
独 独7経常収支
欧 ECB政策金利発表
欧 ラガルド・ECB総裁記者会見
米 新規失業保険申請件数
米 地区連銀(NY,ダラス、ミネアポリス、ボストン)総裁、人種差別関連イベントで講演
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論に参加
米 ボウマン・FRB理事講演
日経平均株価が連日の上昇で、昨日は引け値で3万の大台を回復し、3万181円で引けました。昨日も述べたように、株価の上昇がリスクオンにつながり、低金利の円が売られる展開となり、ドル円は午後には110円45銭まで上昇しました、このため、今朝の日足では「三角保ち合い」(さんかくもちあい)を上方に抜けた形になってきました。まだ明確に抜けたかどうかの判断には迷うところですが、過去の経験則からすれば、ドルが上昇する可能性が出て来たかもしれません。一応、注意する必要があります。
公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)によると、米国の経済成長は7月初旬から8月末にかけて緩やかなペースへと若干、下方へシフトしたと報告されています。ベージュブックは、「経済活動が減速した主たる理由は、大半の地区での外食や移動、観光分野の後退にある。新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染増加による安全性への懸念を反映した動きだ」と指摘しています。さらに、先週末に発表された8月の雇用統計の結果を裏付けるように、「労働者の需要は引き続き強まっているが、全ての地区が広範に及ぶ労働力の不足を訴えた。労働力不足が雇用を制約し、多くの場合、事業活動の妨げになっている」と記されていました。
8月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の3分の1以下という衝撃的な結果でしたが、FOMCメンバーのインフレに対する警戒感は相当なもので、テーパリングに踏み出すことへの考えはぶれていないようです。タカ派の最右翼に位置するセントルイス連銀のブラード総裁はフィナンシャル・タイムズとのインタビューで、8月の雇用者数の伸びの弱さにもかかわらず、新型コロナウイルス対策の大規模な債券購入を段階的にする計画を進めるべきだと述べています。ブラード氏は、「労働者への需要は強く、失業者よりも求人の方が多い」と指摘し、早期のテーパリング開始が必要なもう一つの理由に、「金融政策が生じつつある『住宅バブル』をあおる一因となる可能性があることだ」と述べています。
また、12地区連銀の中では別格で、FRB執行部の一員と見られているNY連銀のウイリアムズ総裁も、テーパリング開始が適切との姿勢を見せています。総裁は、「私が想定する通りに米経済の改善が続くならば、年内に資産購入ペースを落とし始めることは適切となり得よう」と話し、「今後入って来る労働市場のデータや、それが経済見通しにどのような意味を持つのかを慎重に判断していく。デルタ変異株の影響をはじめとするリスクも見極めていく」と説明しています。(ブルームバーグ)これまでどちらかと言えば早期のテーパリング開始には慎重な姿勢を示していた同総裁が、増加ペースが大きく鈍化した雇用統計を受けた後にもかかわらず、このような発言を行った意味は決して小さくはないと、個人的には感じています。ウイリアムズ総裁は、サンフランシスコ連銀総裁からNY連銀総裁に「昇格」した人物で、いずれはFRB議長、あるいはその先には財務長官にも就任する可能性があると見ています。
最近の経済ニュースで、中国の「中国恒大集団」の話題がにぎわっています。同社は中国の不動産開発大手で、このところ財務内容が急激に悪化していることが報じられています。昨日の香港株式市場では同社の株価が大きく下げ、格付け会社ムーディーズは今年6月以降で同社の格下げを3度発表しています。「中国恒大集団」は3000億ドル(約33兆1200億円)の負債を抱えており、仮に同社が破綻すれば、貸し手である金融機関など、多くの関係企業に影響が出ると見られます。同社のドル建て債券の多くが額面1ドルに対して、すでに30セントを下回っていると報じられています。今後大きな中国リスクにつながるのか、注意は必要です。
本日のドル円は109円90銭~110円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間では日本株の上昇にドル円は110円45銭を付けたがNYではリスク回避の流れから110円台前半まで下落。ユーロドルは続落。1.1802までユーロ安が進む。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-09-09 14:45