【為替本日の注目点】米8月のPPIは0.7%

米長期金利が上昇したものの、ドル円は109円台後半で膠着が続く。ユーロドルも前日と同じ水準で推移。値幅も30ポイント前後と小動き。株式市場は続落。特にダウは271ドル下げ、これで5日続落となる。債券は反落。長期金利は1.34%台に上昇。金は反落し、原油は反発。 8月生産者物価指数    → 0.7% ドル/円   109.78 ~ 109.95 ユーロ/ドル 1.1810 ~ 1.1841 ユーロ/円  129.76 ~ 130.06 NYダウ  -271.66 → 34,607.72ドル GOLD    -7.90 → 1,792.10ドル WTI     +1.58 →  69.72ドル 米10年国債 +0.044 → 1.341% 【本日の注目イベント】 米    8月財政収支 欧    OPEC月報  ドル円だけではなく、ユーロドルも1.18台前半から半ばでの膠着状態が続いています。米経済指標にやや変調の兆しが見え、デルタ変異株の感染拡大が懸念される中、FRBがそれでも年内にテーパリング開始を決めるのかが大きな焦点になっていますが、それには今後1、2回の雇用統計を見極める必要があることが、目下コンセンサスとなっているところです。  これまでFOMCメンバーの多くがテーパリング開始を支持する発言を行っています。先週金曜日も、クリーブランド連銀のメスター総裁は講演で、「一段と顕著な進展を遂げたいという私の見解は、8月の雇用統計後も変わっていないと考える」と述べ、「年内のテーパリング開始を望む」と発言しています。また急激な物価上昇に警告を発し続けているサマーズ元財務長官はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「2桁のインフレ率というカーター政権時代のような状況に近いとは思わないが、60年代と70年代初めに犯したほとんど全ての過ちを繰り返すという非常に深刻な危機にさらされていると考える」と述べ、当時との類似性を警戒すべきと発言しています。  8月の生産者物価指数は前月比「0.7%」増と、市場予想を超え、総合指数では前年比「8.4%」上昇し、伸び率は統計開始後の最大を更新しています。原料不足や輸送面でのボトルネック、労働コストの上昇など、生産面のあらゆる過程で厳しい状況が続いているようです。企業の多くはここ数カ月、こうしたコスト上昇分を「値上げ」という形で消費者に転嫁しており、インフレを加速させていると見られます。NY株式市場はこうした物価上昇を警戒するかのように、先週は軟調な展開でした。  ダウは5日続落で、この間の下げ幅は760ドル余りとなっており、恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」も約3週間ぶりに警戒レベルの「20」を超えて来ました。実際にはまだそれほど警戒する状況ではないと考えますが、先行性のある株式市場の動きには注意が必要です。  先週末には米中の対立が一段と強まる中、バイデン大統領と習近平国家主席との電話会談が突如実現しました。ホワイトハウスは、「両首脳は広範囲の戦略的な話し合いを持ち、それぞれの利益が一致する分野と、利益と価値、視点が異なる分野について意見を交わした」と発表しましたが、バイデン大統領は、中国側に対話への真剣さが見られないことへの不満を伝え、習主席は、両国関係に対し「米国の対中政策が時には深刻な問題を引き起こした」とバイデン氏に伝えたと報じられています。また、この会談はバイデン大統領が呼び掛けたということのようです。NY株式市場は、米中首脳による電話会談の効果もなく、大きく下げました。  FOMCまで1週間余りとなりました。上でも述べたように、これまでのFOMCメンバーの発言からすると、年内のテーパリング開始の可能性は高いようですが、来週のFOMCでの決定はなさそうです。好調だったNY株式市場にもやや変化が見られ、早すぎるテーパリング開始は景気を後退させることにもなります。「物価上昇」、「デルタ変異株の感染拡大」、さらに「株価の動向」などを睨みながらFRBは厳しい判断を迫られます。  本日のドル円は109円50銭~110円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
米長期金利が上昇したものの、ドル円は109円台後半で膠着が続く。ユーロドルも前日と同じ水準で推移。値幅も30ポイント前後と小動き。株式市場は続落。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-09-13 10:00