【為替本日の注目点】ドル円続落し109円台前半に

 欧州時間からじり安が続いたドル円は、NYの朝方にはこの日の安値となる109円11銭を付ける。その後は米経済指標の結果にドルが小幅に上昇。ユーロドルは横ばいの動きが続き、これで3日間連続して1.18台前半から半ばで推移。株式市場は3指数が揃って反発。ナスダックは6日ぶりに123ポイント上昇。エネルギー株が上昇をけん引しダウも236ドル高債券は小幅に反落。長期金利は1.3%近辺まで上昇。金は反落。原油は2ドルを超える上昇で72ドル台に。ハリーケーン「アイダ」の影響が残り、在庫が予想以上に減少していたことが手掛かりに。 9月NY連銀製造景況業指数     →  34.3 8月輸入物価指数          →  -0.3% 8月鉱工業生産           →  0.4%  8月設備稼働率           →  76.4 ドル/円  109.11 ~ 109.45 ユーロ/ドル 1.1804 ~ 1.1832 ユーロ/円  129.05 ~ 129.14 NYダウ  +236.82  → 34,814.39ドル GOLD -12.30 → 1,794.80ドル WTI  +2.15 →  72.61ドル  米10年国債 +0.015 → 1.299% 【本日の注目イベント】 豪   豪8月雇用統計 日   8月貿易収支 欧   ユーロ圏7月貿易収支 欧   ラガルド・ECB総裁講演(パリ) 米   新規失業保険申請件数 米   8月小売売上高 米   9月フィラデルフィア連銀景況指数 加   カナダ8月住宅着工件数  ドル円はNY市場の朝方、約1カ月ぶりのドル安水準となる109円11銭まで売られました。欧州市場から続いたドル安の流れがNY市場にも伝播した形でしたが、その直後に9月のNY連銀製造業景況指数が発表され、ドル円は109円を割り込むことなく反発しました。同指数は予想の「17.0」に対して「34.3」と急伸し、新規受注と出荷が持ち直したほか、販売価格は過去最高を更新していました。同指数は「ゼロ」が活動の拡大と縮小の境目となっており、市場予想を大きく超えたことで製造業を中心に活動が活発になったことを示唆していますが、経済指標全体を見渡すと強弱まちまちとなっており、米景気のピークアウト観測を払拭するには至っていません。  先週10日、唐突に米中首脳による電話会談があったことは本欄でも述べましたが、その際にバイデン大統領は習主席に対して、対面での首脳会談を提案し、習氏はこれに同意しなかったことが判明しました。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙が報じたところによると、バイデン氏は習氏に向こう数カ月のある時点で会談することを提案したようです。ただバイデン氏はホワイトハウスで「習氏が対面での会談を望んでいないことに失望したか」との記者からの質問に、「真実ではない」と述べています。10月にはイタリアでG20首脳会議が開催される予定ですが、この席で米中首脳会談が行われるのか、米中関係が悪化しており関係修復の糸口がつかめない中、注目されます。  新聞紙上でも「中国恒大集団」に関する記事が増えてきました。格付け会社米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、同社の長期格付けを「CC」(ダブルC)と、これまでの「CCC」(トリプルC)から引き下げました。「流動性と資金アクセスが急激に縮小している」ことが引き下げの理由としていますが、一般的には「BB」(ダブルB)以上が「適格」とされており、「CC」は最も低い格付けとなり、最も「投機的」とされます。S&Pは同社の格付け見直しは引き続き「ネガティブ(弱含み)」としており、「極めて高い支払不能リスクがある」としており、今後債務返済と利払いを期日に行えない恐れがあり、その場合はデフォルト(債務不履行)のシナリオにつながります。中国当局は同社の主要債権銀行に、今月20日が期限の支払いを同社が行わない見込みだと伝えたと、事情に詳しい関係者の話としてブルームバーグは報じ、「国内最大級の債務再編が一歩近づいた」と伝えています。香港株式市場に上場している同社株は、今月初めには4.38HKドルでしたが、昨日は2.81HKドル(35.8%安)まで売られています。同社がデフォルトに陥れば、中国景気にも影響を与えるのではとの懸念も出始めている状況です。  ファイザーは独ビオンテックと共同開発した新型コロナワクチンについて、時間の経過につれ効果が低下することが米国とイスラエルのデータから示されたと発表しました。その上で、ブースター(追加免疫)接種は安全であり、変異株にも効果的であることが示されたと説明しています。英国では来週、50歳以上の住民と優先接種の対象者に新型コロナワクチンのブースター接種を開始することを決定しています。今後、冬に向い感染者が急増するリスクが高まることが予想され、新規感染者数がようやく減少傾向を示している日本でも、昨日は専門家から「第6波」への対策を早急に講じるべきだとの意見が出ていました。  ドル円は結局「三角保ち合い」(さんかくもちあい)を下抜けしてきました。セオリーから行くと、目先は下値を試す可能性が高いと見られますが、先ずは109円を維持できるかどうかで、仮に109円を明確に割り込んだら、8月4日に付けた108円72銭近辺が意識されそうです。これまで通り、今回もここで底値を付けて再び110円台に押し戻されるのか、多いに注目される局面です。 本日のドル円は108円90銭~109円70銭程度を予想します。 明日のアナリストレポートは都合によりお休みとさせていただきます。読者の皆様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
欧州時間からじり安が続いたドル円は、NYの朝方にはこの日の安値となる109円11銭を付ける。その後は米経済指標の結果にドルが小幅に上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-09-16 09:45