テレワーク進展など社会の変化が追い風、ブロードバンドセキュリティが強気の見通し

 ブロードバンドセキュリティ <4398> は9月17日、第22回定時株主総会を開催し、剰余金の処分や取締役に選任などについて決議した。総会後に経営近況報告会を開催し、同社代表取締役CEOの滝澤貴志氏は、「過去10年で海外からのセキュリティ攻撃が45倍に増加し、情報セキュリティへの対策は、企業や行政機関にとっても、重要な施策・対策として、より一層、認識される状況となっており、当社のサービスへの期待とニーズが高まっているものと考えている」と現状認識を語った。そして、21年7月にモーニングスターから承継したゴメス・コンサルティング事業の主要な取引先である金融機関や大企業向けにセキュリティ支援サービスを提供していくことで、一段の事業成長につなげたいと語った。  同社の21年6月期決算は、3つのサービス区分(セキュリティ監査・コンサルティング/脆弱性診断/情報漏えいIT対策)の中で、特に売り上げ規模が大きい「情報漏えいIT対策事業」が22億4000万円と前年比7%超の成長となり業績をけん引した。同事業は、売上の4分の3程度が年間契約や複数年契約による継続サービスで、解約がない限り売上高が増加していく事業だ。年間契約の売上高は前期末に前年比月額600万円(年7200万円)増となっており、22年6月期にも継続的な成長が見込まれている。中でも、情報漏えい事故のフォレンジックサービス(事故調査と証拠保全、分析、その報告)が前年比2.5倍増と大きく伸びているという。  22年6月期は、ゴメス事業の上乗せによって、「セキュリティ監査・コンサルティング事業」が21年6月期比で67.6%の増収を見込んでいる。「脆弱性診断」や「情報漏えいIT対策事業」も順調に伸びる見通しにあることから、年間売上高は15.1%増の50億円を予想している。この大幅な増収によって、営業利益は89.9%増の4億円、当期純利益は2.2倍の2.68億円と大幅な増益を見込んでいる。  ゴメス・コンサルティング事業は、主に事業会社のWebサイトを中心としたシステムのユーザーデータを分析し、サイトの評価・開発と運用サポートを行っているが、新たにセキュリティ領域を拡張し、ITサービス全体の管理、改善のソリューションを展開するようになっている。金融機関や不動産、旅行交通、ECなどにサービス提供しているが、特に、主要顧客である金融業界においては、セキュリティ支援サービスの需要が大きいと考えられ、シナジー効果が高いといえる。同社は、従前よりクレジットカード業界へのセキュリティ評価・監査サービスで実績を積んでおり、前期は地銀向けのサービス展開を積極的に行った結果、前期末時点で地銀28行とコンサルティング契約を締結した。  一方、コロナ禍で広がったテレワークの活用やクラウドサービス利用の拡大は、情報セキュリティのニーズにつながっている。同社では、「情報セキュリティリスクアセスメント for ゼロトラスト」を掲げ、「ゼロトラスト」というまったく新しい概念でのネットワーク設計やセキュリティ対策を提案するコンサルティングサービスやセキュリティ対策サービスを提供している。このような世の中の変化が、同社の業績を押し上げる力として働いていると強調した。(グラフは、ブロードバンドセキュリティのサービス区分別売上高推移。2018年6月期~21年6月期)
ブロードバンドセキュリティ代表取締役CEOの滝澤貴志氏は、「過去10年で海外からのセキュリティ攻撃が45倍に増加し、当社のサービスへの期待とニーズが高まっている」と現状認識を語った。(グラフは、ブロードバンドセキュリティのサービス区分別売上高推移。2018年6月期~21年6月期)
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2021-09-17 15:00