【為替本日の注目点】ドル円110円台後半に

ドル円は続伸。110円79銭まで買われ、8月11日以来となるドル高水準を付ける。米長期金利の上昇と地区連銀総裁の発言が支えに。ユーロドルは小動きの中、1.17台割れを試す展開。1.1701まで下落したものの、1.17台は堅持。株式市場はまちまちの展開.ダウとS&P500は3日続伸したが、ナスダックは小幅安。債券は続落。地区連総裁の発言もあり、売り優勢の展開から長期金利も1.46%台半ばまで上昇。金は小幅に反発。原油は一時74ドル台まで買われ、73ドル台後半で引ける。 8月新築住宅販売件数  → 74.0万戸  ドル/円   110.48 ~ 110.79 ユーロ/ドル 1.1701 ~ 1.1725 ユーロ/円  129.38 ~ 129.81 NYダウ  +33.18  → 34,798.00ドル GOLD    +1.90 → 1,751.70ドル WTI     +0.68 →  73.98ドル 米10年国債 +0.021 → 1.451% 【本日の注目イベント】 日   7月景気先行指数(CI)(改定値) 欧   ユーロ圏8月マネーサプライ 欧   ラガルド・ECB総裁、欧州議会の公聴会に出席 英   ベイリー・BOE総裁講演 米   8月耐久財受注 米   ウィリアムズ・NY連銀総裁講演 米   エバンス・シカゴ連銀総裁講 米   ブレイナード・FRB理事講演  先週金曜日の本欄で、「ひょっとしたら?」ドル高が進むのではないかとのコメントを残しましたが、NYでは110円79銭までドル高が進み、8月11日以来の水準を付けています。もちろんこれで、これまでのレンジを抜け上昇トレンドに入ったとは判断できませんが、金融正常化への「第一歩」であるテーパリングが早晩開始されることは確実であり、「日米金融政策の違い」が意識される展開から、大きな流れはドル高方向に進む可能性が徐々に高まって来るように思います。  クリーブランド連銀のメスター総裁は24日、米経済は金融当局が11月の資産購入のテーパリングを開始するための条件を満たしており、来年末までには利上げの条件も整う公算が大きいとのと見方を示しました。総裁は、「景気回復が続けば労働市場の改善が継続し、来年末までにフェデラル・ファンド(FF)金利引き上げの条件も整うと見ている」と述べています。(ブルームバーグ)またカンザスシティー連銀のジョージ総裁も、「私が考えるに、一段と顕著な進展という基準は満たされた。こうした状況下で、資産保有高を毎月増やし続ける理由は薄れてきており、資産購入の終了について近く検討すると示唆することは適切だ」と述べ、テーパリング開始に前向きな発言を行っています。  先週のFOMCではパウエル議長もテーパリングが11月にも開始されることを示唆しており、デルタ変異株の感染拡大と、中国不動産バブルという国内外のリスクは残っているものの、利上げに向けての工程は維持されるようです。この発言を受け、米長期金利は1.464%台まで上昇し、ドル円上昇に足場を与えています。  米長期金利はご存知のように、今年3月には1.77%台まで急騰しました。ただその後は米債券への需要の拡大に伴い1.22%台まで低下し、8月からは一進一退の展開が続いていました。先週のFOMCの結果から、テーパリング開始の確実性と利上げ開始時期の前倒し観測から金利上昇が鮮明となり、週末に1.46%台まで上昇しました。約2カ月半ぶりの高水準を記録したことで、米長期金利は緩やかな上昇傾向に入った公算が高いと見ています。そのため、米金利との相関が強いドル円は金利上昇に引っ張られる形で上昇すると見ていますが、どうでしょうか?もっとも、7月に記録した111円66銭を抜くのは、これまでの動きからするとそう簡単ではないのかもしれませんが、「日足の雲」は完全に上に抜け切っており、チャート的にもドルロング有利の状況に見えます。ただ、今回のフェーズでも再び上値を重くし109円台半ばを割り込むようだと、これまでの109-111円のレンジを当面抜けるのは厳しいと言わざるを得ません。  26日開票のドイツ連邦議会選挙では中道左派の社会民主党(SPD)と保守のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の2大勢力の獲得票が拮抗しており、まだどちらが勝利するのか判断できない状況です。いずれの政党も単独過半数には届ないと見られ、今後連立政権樹立に向けた動きが活発になることが予想されます。ブルームバーグは、上記政党は環境保護政党の「緑の党」と、中道の「自由民主党」(FDP)を取り込んで連立を組む必要があるため、「これは複雑な交渉となりそうだ」と報じています  本日のドル円は110円30銭~111円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸。110円79銭まで買われ、8月11日以来となるドル高水準を付ける。米長期金利の上昇と地区連銀総裁の発言が支えに。ユーロドルは小動きの中、1.17台割れを試す展開。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-09-27 10:00