【為替本日の注目点】米長期金利の上昇を受けドル円111円台半ばへ

 ドル円は前日に続き米長期金利の上昇を手掛かりに続伸。朝方には111円64銭までドル高が進んだが、その後はもみ合いに終始。ユーロドルは小幅に続落。1.1668まで売られ、約1カ月ぶりの安値に並ぶ。  株式市場は3指数が大きく下げる。債務上限を巡る交渉が進展しないことや、消費者マインドの結果が予想を下回ったことが背景。ナスダックは423ポイント下げ、今年2番目となる大幅下落に。  債券は続落し長期金利は一時1.565%台まで上昇。  金は反落。原油も小幅に売られる。 7月ケース・シラ-住宅価格指数      →  19.95% 7月FHFA住宅価格指数         →  1.4% 9月消費者信頼感指数           →  109.3 9月リッチモンド連銀製造景況業指数    →  86.6 ドル/円   111.24 ~ 111.64 ユーロ/ドル 1.1668 ~ 1.1701 ユーロ/円  129.95 ~ 130.37 NYダウ  -569.38 → 34,299.99ドル GOLD -14.50 → 1,737.50ドル WTI  -0.16 → 75.29ドル  米10年国債 +0.050 → 1.537% 【本日の注目イベント】 日   自民党総裁選 欧   ユーロ圏9月消費者信頼感(確定値) 欧   ユーロ圏9月景況感指数 欧   ECBフォーラム(最終日)、日銀総裁、BOE総裁、ECB総裁、FRB議長がパネル討論に参加 英   英8月消費者信用残高 米   8月中古住宅販売成約件数 米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン会議で講演 米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンラインイベントで講演 米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演  前日に続き米長期金利の上昇が止まらず、米債券市場では債券が売られています。  10年債利回りは一時1.565%台まで上昇し、約2カ月半ぶりの高水準を付けました。昨日のNY金融市場では株が売られ、債券や金(きん)も売られ、さらに原油も売られています。金利上昇によりドルが買われ、ドル円は111円64銭までドル高が進みました。この水準で一旦上昇が止まったのも、7月に記録したドルの直近高値である111円66銭が意識されたからであって、ほぼ同水準で上昇にブレイキがかかったことになります。その意味ではテクニカル通りの動きとも言えます。  パウエル議長とイエレン財務長官は28日上院公聴会でそろって証言を行い、債務上限が引き上げられず、そのため米国がデフォルトに陥れば壊滅的な影響が及ぶと警告しました。  上院では債務上限引き上げを目指す民主党の動きを共和党が妨害しており、米財務省では連邦政府のデフォルト回避に回す資金が、約3週間後に尽きる可能性があるとブルームバーグは伝えています。  イエレン財務長官も「10月18日前後に手元資金が尽きる」と警告を発しています。この問題が嫌気され、上述のように株式や債券が売られましたが、この債務上限問題は今に始まったことではなく、ある意味毎年この時期に繰り返される「年中行事」のようなものです。理論的には米国のデフォルトもあり得ますが、最後の最後には議会がソフトランディングに持って行ったのが、これまでの歴史です。  これまでにも財政の壁(フィスカリ・クリフ)問題が現実に起き、連邦政府の職員が自宅待機を余儀なくされ、通関や入国審査など連邦政府の業務が停止されたこともあります。  楽観視し過ぎることは避けなければなりませんが、個人的には最後に解消すると見ています。ただそれでも昨日のNY株の下げは大きく、債務上限問題だけでは説明がつかないような気もします。  パウエル議長は議会証言に臨みましたが、その席でパウエル氏のFRB議長再任を巡る動きもありました。民主党のウォーレン上院議員は公聴会で、パウエル氏のFRB議長再任を支持しない意向を示しました。ウォーレン氏は、「あなたの実績は私に大きな懸念を抱かせる」と発言し、「あなたは米国の銀行システムの安全性を低下させる行動を取っているため、金融当局を率いる人物としては『危険』であり、私が再任に反対する理由はここにある」と述べています。パウエル議長の任期は来年2月ですが、現時点では再任される可能性が高いとみられています。ただウォーレン氏はご存知のように、2020年の民主党大統領候補の1人として、バイデン氏とも争った大物議員であり、彼女の強硬な意見はバイデン大統領の判断にも影響を及ぼすかもしれません。パウエル氏の後任にはすでにブレイナードFRB理事の名前も取りざたされており、同氏はウォール街の規制に関してはパウエル議長と異なった意見を持っています。  イングランド銀行の金融政策委員会(MPC)メンバーのマン委員は28日、英国の現在のインフレ加速は一時的なものであり、厄介な問題ではないと述べ、急いで対処する必要はないとの姿勢を見せました。英国の直近コアCPIは3.1%と、2011年1月以来となる高水準に達しており、一部には利上げ観測も出ている状況ですが、マン委員は景気はコロナ禍前には戻っていないことを理由に挙げています。この発言をきっかけにポンドは対ドルで100ポイントを超えて大きく売られています。  引き続きNY株が大きく下げたことから「リスクオフ」の流れが主流かと思いますが、債券も売られているため、金利差から円が買われる展開にはなっていません。  本日は日経平均も場合によっては500円を超えるような大幅な下げが見込まれますが、自民党総裁選挙があり、誰が選ばれるのかによって多少影響があるかもしれません。東京時間ではここからのドルの上値は重いとみており、予想は111円10銭~111円80銭程度といったところでしょうか。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は前日に続き米長期金利の上昇を手掛かりに続伸。朝方には111円64銭までドル高が進んだが、その後はもみ合いに終始。ユーロドルは小幅に続落。1.1668まで売られ、約1カ月ぶりの安値に並ぶ。 株式市場は3指数が大きく下げる。
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2021-09-29 09:45