【為替本日の注目点】ドル円1年7カ月ぶりに112円台に

ドル円は続伸し、1年7カ月ぶりとなる112円乗せを示現。7月2日の直近高値を抜け、112円05銭までドル高が進む。ユーロドルも続落。1.1590までドルが買われ、こちらは2020年7月以来の水準に。株式市場はまちまち。ダウとS&P500は上昇したものの、ハイテク銘柄の多いナスダックは4日続落。債券は反発。長期金利は1.51%台に低下。金は続落し1722ドル台に。原油も小幅ながら続落。
8月中古住宅販売成約件数 → 8.1%
ドル/円 111.39 ~ 112.05
ユーロ/ドル 1.1590 ~ 1.1658
ユーロ/円 129.74 ~ 130.04
NYダウ +90.73 → 34,390.72ドル
GOLD -14.60 → 1,722.90ドル
WTI -0.46 → 74.83ドル
米10年国債 -0.021 → 1.517%
【本日の注目イベント】
豪 豪8月住宅建設許可件数
日 8月鉱工業生産
中 9月財新製造業PMI
中 9月中国サービス業PMI
中 9月中国製造業PMI
中 9月中国財新製造業業PMI
独 独9月消費者物価指数(速報値)
独 独9月雇用統計
英 英4-6月期GDP(改定値)
英 英4-6月期経常収支
欧 ユーロ圏8月失業率
米 新規失業保険申請件数
米 4-6月GDP(確定値)
米 9月シカゴ購買部協会景気指数
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、ウェビナーで開会の辞
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントで講演
米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米 ブラード・セントルイス連銀総裁、イベントで開会の辞
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論に参加
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
ドル円は昨日の海外市場でも続伸し、NYでは2020年2月17日以来となる112円台を示現しています。ドルの直近高値である111円66銭近辺が、意識されるレジスタンス・ゾーンと見ていましたが、やはりその水準を抜けるとストップロスなども発動され上昇に弾みが付いた可能性があります。昨日はドル円の支えである米長期金利が低下したにも拘わらずドル高が進み、ドルは主要通貨に対してほぼ「全面高」の様相でした。
この先のレジスタンスを一応確認しておきたいと思いますが、2020年2月にはこの上に112円23銭という高値があることから、目先はこの辺りでしょうか。仮にこの水準をけると2018年まで遡らなければなりません。この年の12月には113円台がありますが、ここまでドルがさらに上昇するにはまだ時間がかかるとみています。重要なのはやはり、米長期金利がどこまで上昇するかという点です。早ければ年内にもテーパリングが開始される可能性はありますが、ここからさらにドルが買われて115円方向を目指すには「利上げ」が不可欠になろうかと思います。金融正常化への第一歩は踏み出すものの、そこから利上げにはまだ時間を要します。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も講演で、「テーパリングをゆっくり、かつ整然と、率直に言えば退屈なやり方で開始する時期が近く訪れると考えるグループに私は属する」と述べ、緩やかな資産購入縮小ペースをイメージしています。また利上げについても、「資産購入のテーパリングを開始した後、フェデラル・ファンド(FF)金利の引き上げについて考え始めることが出来る。ただ私としては、来年遅く、ないし2023年早期まで利上げは見込んでいない」と語っています。(ブルームバーグ)
債務上限問題を巡って米下院は29日、連邦政府債務の法廷上限の適用を2022年12月まで停止する法案を賛成多数で可決しました。ただ、共和党が同法案に反対していることから、上院は通過しない見通しです。連邦政府資金は余裕がなく、このままでは10月18日前後に資金が枯渇することになると、イエレン財務長官は警告していますが、議会共和党がどの段階で妥協してくるのかが注目されます。現時点ではデフォルトのリスクはほぼ無視されており、市場ではドルが買われています。
前日民主党のウォーレン上院議員がパウエル氏を「金融当局を率いる人物としては危険だ」として再任を支持しない意向を示しましたが、共和党のクレーマー上院議員は29日、「パウエル氏に代わる人物は、パウエル氏より優れてはいないだろう」と述べ、パウエル氏の再任を支持する考えを示しています。ブルームバーグによると、上院銀行委員会の共和党12人のうち、パウエル氏の再任を支持するメンバーはクレーマー議員で6人目となったようです。
昨日の自民党総裁選挙で岸田氏が総裁に選ばれ、順当にいけば次期首相になります。岸田氏は昨日の会見では、「数十兆円規模の経済対策を年内に策定する」と述べ、「成長なくして分配なし」、「分配なくして、次の成長なし」と述べ、国民の所得を引き上げる政策を実施していく考えを示しました。為替にはほとんど影響はありませんが、今日の東京株式市場がどのような反応を見せるのか、注目されます。
早朝のドル円は112円を少し割り込んだ水準で推移しています。東京時間ではここから大きく上昇する可能性は低く、はやり主戦場はNYでしょう。ただ、111円に乗せてからのドルの上昇はややピッチが速いと感じます。一方でここまでくれば、輸出筋は余裕でしょう。ドルが緩やかに上昇するにしても、一旦上昇が止まる展開もあると予想しています。「MACD」と「シグナル」の差である「マックDオシレーター」は既に下降し始めています。
本日のドル円は111円50銭~112円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続伸し、1年7カ月ぶりとなる112円乗せを示現。7月2日の直近高値を抜け、112円05銭までドル高が進む。ユーロドルも続落。1.1590までドルが買われ、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-09-30 09:45