【為替本日の注目点】WTI原油価格7年ぶりの高値に

NY株が続落し、リスク回避の流れからドル円は小幅に続落。110円82銭まで売られたが、その後は前日の水準に戻し、111円を下回るレベルで推移。ユーロドルは反発。この日は終始1.16台で推移し、1.1640まで上昇する場面も。債務上限問題を巡る不透明感やインフレ懸念から株式市場は大幅に下落。ダウは323ドル下げ、ナスダックは2%を超える下落。債券は反落。長期金利は1.48%近辺まで上昇。金は続伸。原油も大きく買われ、一時は78ドル台半ばまで上昇し、2014年11月以来の高値を記録。    8月製造業受注 →  1.2% ドル/円  110.82 ~ 111.23 ユーロ/ドル 1.1616 ~ 1.1640 ユーロ/円  128.81 ~ 129.35 NYダウ  -323.54  → 34,002.92ドル GOLD +9.20  →  1,767.60ドル WTI  +1.74 →  77.62ドル  米10年国債 +0017 → 1.479% 【本日の注目イベント】 豪   豪8月貿易収支 豪   RBA、キャッシュターゲット 日   9月東京都区部消費者物価指数 独   独9月サービス業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏8月生産者物価指数 欧   ラガルド・ECB総裁講演 米   8月貿易収支 米   9月マークイットサービス業PMI(改定値) 米   9月マークイットコンポジットPMI(改定値) 米   9月ISM非製造業景況指数 加   カナダ8月貿易収支  米国のインフレ懸念がさら強まってきました。OPECプラスは原油の供給量を月ごとに斬新的に増やすことで合意し、これを受けてNY原油先物市場では原油価格が上昇。一時は2014年11月以来となる78ドル38セントまで上昇し、実に7年ぶりの高値を付けました。原油価格の上昇は、ガソリン価格の上昇を通じて物流コストや家庭のガソリン代など移動コストの上昇につながり、足元の物価上昇を一段と押し上げる可能性が高くなります。加えて、人手不足やサプライチェーンの混乱で物価上昇圧力は続いており、企業が上昇分を価格に転嫁する動きも既に確認されています。  セントルイス連銀のブラード総裁は経済フォーラムでの講演で、米国のインフレ率は数十年来の高水準になっていると指摘し、上昇ペースが落ち着くには予想以上の時間を要するリスクがあるとの見方を示しています。総裁は、「リスクは上向きで、2022年にかけてインフレはさらに高進するだろう。来年の個人消費支出(PEC)コア価格指数は2.8%上昇すると予想している」と述べています。また資産運用会社最大手の米ブラックロック副会長のフィリップ・ヒルデブラント氏は、1日のブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「(インフレは)過去20年とは全く違った時代に入ろうとしていると確信している。インフレ率は今後、これまでより高い水準で落ち着くだろう」と述べ、「市場はそれに慣れなければならないということだ」と語っていました。足元の高水準のインフレ率については、もはや「一時的」という言い方は出来ないようです。  インフレ懸念の高まりからNY株式市場ではハイテク銘柄など、ナスダック指数が大きく下げ、エネルギー関連銘柄以外はほぼ売られる展開でした。リスク回避の流れが強まり、円が買われる場面もありましたが、米長期金利の上昇が円高を抑制した効果があったようで、ドル円は110円後半でとどまっています。また中国恒大問題が市場のセンチメントを悪化させている状況は続いており、昨日は香港市場で同社の株式が売買停止になっています。新たに、中国の不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が4日、満期だった社債2億570万ドル(約229億円)相当を償還できなかったことも明らかになっています。  債務上限問題で揺れている米国では、バイデン大統領がホワイトハウスで、「このような状況に米国を追い込んだのは共和党のマコネル上院院内総務だ」と非難しました。大統領は、米政府が債務上限を超えないことを保証できるかと問われ、「いや、できない」と回答し、「それはマコネル氏次第だ」と述べました。さらに「共和党は非常に向こう見ずで危険なことをしている。米経済に隕石が衝突しようとしている。それを回避するため民主党はあらゆる手を尽くす決意だ。共和党は妨害しなければよいだけの話だ」と語っています。(ブルームバーグ)バイデン大統領は債務上限問題だけではなく、インフラ投資を巡っても下院民主党の進歩派との調整が難航しており、苦境に立たされています。  今朝のドル円は前日と同水準で推移しています。本日も日本株の下落が予想され、昨日発足した「岸田新内閣」へのご祝儀相場の可能性は低いと見られます。「新資本主義の実現」、「成長と分配の好循環」など、綺麗な言葉が並んでいましたが果たしてそれらを実現して、世界に「リーダーシップ」を示すことができるのか、はなはだ疑問です。 本日のドル円は110円70銭~111円40銭程度予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
NY株が続落し、リスク回避の流れからドル円は小幅に続落。110円82銭まで売られたが、その後は前日の水準に戻し、111円を下回るレベルで推移。ユーロドルは反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-10-05 09:45