【為替本日の注目点】WTI原油価格はさらに上昇し79ドル台に

 ドル円は反発し、111円台半ばまで買われる。  米長期金利が1週間ぶりに1.53%近辺まで上昇したことでドルを買い戻す動きに。NYでは111円56銭までドル高が進む。  ユーロドルでもドルを買う動きが強まり、ユーロは再び1.16台を割りこみ、1.1581まで下落。  株式市場は3指数とも揃って反発。債務上限問題などが依然くすぶるなか、ISM非製造業景況指数が予想を上回ったことなどが好感されダウは311ドル高。  債券は続落し、長期金利は1.53%前後まで上昇。  金は4日ぶりに反落。原油はさらに買われ、一時は79ドル台半ばまで続伸。 8月貿易収支                   → -73.3b 9月マークイットサービス業PMI(改定値)    →  54.9 9月マークイットコンポジットPMI(改定値)   →  55.0 9月ISM非製造業景況指数            →  61.9 ドル/円    111.14 ~ 111.56 ユーロ/ドル  1.1581 ~ 1.1613 ユーロ/円   128.92 ~ 129.38 NYダウ   +311.75 → 34,314.67ドル GOLD    -6.70 → 1,760.90ドル WTI      +1.31 → 78.93ドル  米10年国債  +0.047 → 1.526% 【本日の注目イベント】 独   独8月製造業新規受注 欧   ユーロ圏8月小売売上高 米   9月ADP雇用者数 米   ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演  米供給管理協会(ISM)が発表した9月の非製造業景況指数は、市場予想を上回る「61.9」でした。デルタ変異株の感染拡大がやや鈍化してきてはいるものの、今後再拡大の脅威はなくなっていません。そんななかでも、人々が外食や旅行といったサービスへの支出を継続していることが示唆されています。  ISM非製造業景況調査委員会のニエベス委員長は、「サービス部門の力強い拡大期が継続した。一方で、労働資源やロジスティクス、資材を巡る課題はなおあり、供給の継続性に影響している」と説明しています。  同指標が上振れしたことで、軟調な動きが続いている株式市場では株価が買い戻され、リスク回避の流れが後退したことから債券が売られ金利が上昇しました。この流れを受け、ドルが全面高の展開となり、ドル円は111円56銭まで上昇。同様に、ユーロドルでも1.1581までドル高が進んでいます。  ただこの流れが今後継続するかどうかは依然不透明です。テーパリング開始が近いこともあり、上昇が見込まれる米金利が重荷となって、アマゾンやアップルなどのハイテク銘柄に軟調な動きが続いています。足元のインフレは簡単には終わらず、原油高の影響もあり今後一段と上昇する可能性も指摘さています。  資産運用会社最大手の米ブラックロック副会長で元スイス中銀総裁のフィリップ・ヒルデブラント氏は、「(インフレは)過去20年とは全く違った時代に入ろうとしていると確信している。インフレ率は今後、これまでより高い水準で落ち着くだろう」と述べ、「市場はそれに慣れなければならないということだ」と語っていました。  年初から相当買われた来たGAFA株を手放し利益を確定するのかどうか、運用担当者は悩んでいることでしょう。  来年2月に任期が切れることから、間もなくバイデン大統領は次期FRB議長の指名を行うものと思われますが、パウエル議長は、上院銀行委員会に所属する共和党議員の過半数から支持を獲得したとブルームバーグは報じています。  クラポ共和党上院議員は5日、バイデン大統領がパウエル氏をFRB議長に再指名した場合は、賛成票を投じると述べています。上院銀行委員会に所属する共和党議員12人のうち、パウエル氏への支持を表明したのはクラポ議員で7人目となり、同議員は上院財政委員会で、筆頭理事を務めていることもあり、他の委員への影響力もあるようです。  一方パウエル氏の再任には真っ向から反対しているウォーレン民主党上院議員は演説で、「米金融当局者が市場で積極的に取引を行えば、利益相反とインサイダー取引という当然の疑問が生じる。これら当局者の判断は控えめに言っても極めて悪い」と批判しています。  ボストン連銀のローゼングレン総裁とダラス連銀のカプラン総裁が金融取り引きを行ったことを阻止できなかったことを理由に、「パウエル氏はリーダーとして失格」と手厳しい言葉で再任に反対しています。  連邦債務上限を巡る問題は依然先行きが読めない状況です。  イエレン財務長官はCNBCの番組で、連邦債務が上限に達すればリセッションを引き起こす恐れがあると警告していますが、いまだに解決の兆しは見えません。  米下院では9月29日に、法定上限の適用を2022年12月まで停止する法案を可決していますが、上院ではマコネル院内総務が採決阻止に動く構えのようです。  バイデン大統領は同氏を厳しく非難していますが、米国史上初めてのデフォルトが近づきつつあるとして、その「Xデー」に備えるべきとの意見もあるようです。  中国の大手不動産開発会社、花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)は4日が期限だった社債2億570万ドル(約230億円)相当を償還できなかったようです。これを受け、格付け会社S&Pグローバル・レーティングは同社の格付けを「選択的デフォルト」に引き下げ、フィッチ・レーティングも「RD(一部債務不履行)」に引き下げました。S&Pは発表文で、「花年様が十分な手元資金があると報告しているにもかかわらず支払いができなかったのは、資金繰りの逼迫を浮き彫りにする。一方で資産の処分は予想以上に遅く、期限内に流動性を確保することができなかった」との見方を示しました。  債務上限を巡る米国や中国の不動産バブルなど、リスクは隣合わせです。  万が一にもないとは思いますが、もし米国がデフォルトに陥った場合、ドル円はどのように動くのでしょうか?基軸通貨ドルへの信認が急低下することから「ドル売り円買い」となり、円高に振れると見られますが、一方で米国売り、債券売りが活発になることから米金利が急騰することも予想されます。金利高からドル高という流れも想定されなくはありませんが、これまでに誰も経験していないだけに難しい判断になります。これ以上考えるのは止めることにします。  本日のドル円は111円10銭~111円80銭程度を予想します。 (執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は反発し、111円台半ばまで買われる。米長期金利が1週間ぶりに1.53%近辺まで上昇したことでドルを買い戻す動きに。NYでは111円56銭までドル高が進む。ユーロドルでもドルを買う動きが強まり、ユーロは再び1.16台を割りこみ、1.1581まで下落。
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2021-10-06 09:45