【為替本日の注目点】米9月のADP予想を上回る

ドル円はアジア時間に111円79銭前後まで上昇したものの続かず、NYでは上値の重い展開となる。株価の下落もあり111円20銭まで売られる場面も。ユーロドルは続落し、2020年7月20日以来となる1.1533までユーロ安が進行。株式は日中マイナス圏で推移したものの、マコネル上院院内総務が債務上限引き上げで合意するとの報道を受け急伸。3指数ともプラス圏に戻して取引を終える。債券は3日ぶりに小幅に反発。長期金利はほぼ横ばいの1.52%台で推移。金は反発し、原油は大幅に反落。
9月ADP雇用者数 → 56.8万人
ドル/円 111.20 ~ 111.50
ユーロ/ドル 1.1533 ~ 1.1559
ユーロ/円 128.33 ~ 128.80
NYダウ +102.32 → 34,416.99ドル
GOLD +0.90 → 1,761.80ドル
WTI -1.50 → 77.43ドル
米10年国債 -0.005 → 1.521%
【本日の注目イベント】
日 8月景気先行指数(CI)(速報値)
日 10月日銀地域経済報告(さくらリポート)
中 中国9月外貨準備高
独 独8月鉱工業生産
欧 ECB議事要旨(9月会合)
米 新規失業保険申請件数
米 8月消費者信用残高
米 メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論に参加
明日は9月の雇用統計が発表されますが、その前哨戦とも言えるADP雇用者数は事前予想の「43万人」を上回る「56.8万人」の増加でした。7月、8月分はともに予想を大きく下回る結果に驚かされましたが、今回は6月以来の高水準でした。ただ、7月分はさらに下方修正されています。今回の雇用者数の増加は、9月6日に連邦政府による失業保険の上乗せ措置が終了したことで、企業の人材確保がそれまでより進んだとみられます。内訳では、サービス部門で46万6000人増加し、娯楽・ホスピタリティ分野で26万6000人増えたことが寄与しており、前日に発表されたISM非製造業景況指数の結果と整合するものです。明日の雇用統計でも50万人の増加が予想され、8月の23.5万人から大幅な増加が見込まれています。仮に予想通りであるか、予想を上回るようであれば、市場はポジティブな反応を見せると予想されます。
債務上限問題を巡る混乱が続いている米議会で、マコネル共和党上院院内総務は民主党に対し、11月末までの債務上限引き上げで合意する案を明らかにしました。これにより米国が直ちにデフォルトに陥るリスクは後退しています。ただブルームバーグは、「マコネル氏の提案で合意すれば、債務上限問題を巡る民主・共和両党の対立は一旦落ち着くものの、根本的な解決に至るわけではなく、12月になるまで財務省がやりくりするのに十分な額だけを引き上げることになるだけだ」と伝えています。この件に関して、民主党のウォーレン上院議員は、マコネル氏は民主党に「屈服」したと指摘し、短期引き上げでの合意がまとまれば民主党の勝利だと述べています。
米国と中国との間で緊張が高まるなか、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と中国の外交を統括する楊潔チ共産党政治局員は6日、スイスのチューリッヒで会談し、両国関係のほか、利益を共有する国際的および地域的な問題を巡り意見交換しました。その結果、バイデン大統領と習近平国家主席が年内にオンラインで会談する計画であることが発表されています。これまでにもバイデン大統領は中国側に会談の申し入れを行ったことがありましたが、断られており、実現すれば初の米中首脳会談となります。中国は、オーストラリア、英国、米国の軍事同盟(AUKAS)に不快感を示すとともに、台湾の航空識別圏への進入を繰り返し、台湾海峡でも偶発的な武力衝突の危険性が高まっています。アジア、太平洋地域にとっても、米中首脳会談の早期実現が待たれます。
中国の不動産開発大手の花様年控股集団(ファンタジア・ホールディングス・グループ)が、4日が期限だった社債2億570万ドル(約230億円)相当を償還できなかったことを受け、5日に同社を「一部デフォルト」に格下げる動きが相次ぎましたが、投資家は10月15日に注目しているとブルームバーグは報じています。同日には他の大手不動産開発会社のドル建て債2億2900万ドル相当の償還が控えており、すでにフィッチ・レーティングは同社の格付けを「CCC」(トリプルC)に1段階引き下げています。11月にも同じように他の不動産開発会社のドル建て社債の償還が来ますが、まずは10月15日がヤマ場になるといった見方が強まっているようです。
本日のドル円は111円~111円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はアジア時間に111円79銭前後まで上昇したものの続かず、NYでは上値の重い展開となる。株価の下落もあり111円20銭まで売られる場面も。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-10-07 09:30