【為替本日の注目点】ドル円続伸し113円台半ばに

NY債券市場が休場であったが、ドル円はジリジリと買われた。欧州市場で113円台に乗せ、NYでは113円41銭までドル高に。ユーロドルではややユーロ高ドル安が進み、1.1584までユーロが買い戻される。ユーロ買い、円売りも出た模様で、ユーロ円は131円台前半まで上昇。株式市場は3指数が揃って下落。特段材料はなかったものの、原油価格が大幅に続伸し、インフレが加速するとの観測が重荷に。金は3日続落。原油は上昇が加速し、一時82ドル台に乗せる。アジアや欧州で電力危機が拡大する中、冬季を控えて原油需要が高まったとの見方。
ドル/円 112.89 ~ 113.41
ユーロ/ドル 1.1549 ~ 1.1584
ユーロ/円 130.60 ~ 131.22
NYダウ -250.19 → 34,496.06ドル
GOLD -1.70 → 1,755.70ドル
WTI +1.70 → 80.52ドル
米10年国債 ------- → 1.612%
【本日の注目イベント】
豪 豪9月NAB企業景況感指数
独 独10月ZEW景気期待指数
英 英9月失業率
欧 EUウクライナ・サミット(キエフ)
米 IMF世界経済見通し
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁講演(オンライン)
米 クラリダ・FRB副議長、国際金融協会(IIF)年次会合でオンライン討論に参加
『このところのドルの上昇はピッチが速く、当然調整局面があろうかと思いますが、113円台に乗せるようだと、思った以上に上昇に弾みが付く可能性を意識して置いた方がいいかもしれません。』昨日の「ウィークリー・レポート」でこのように書きましたが、ドル円は欧州市場で113円をワンタッチした後、NYでは債券市場が休場で米長期金利の影響はなかったものの、113円41銭までドル高が進みました。正確に言えば、ドル高ではなく「円安」が一段と進んだということになります。
「ウィークリー・レポート」ではさらにその理由として、『米国では早ければ11月のFOMCでテーパリング開始の決定がなされる可能性もあり、金利が上昇しています。すでに韓国では8月に利上げを決め、ノルウェーでも9月に利上げを行っています。先週にはニュージーランドも政策金利を引き上げ、これに米国や英国、あるいはユーロ圏も方向的には同じような政策変更圧力を受けていることは明らかです。一方わが国では、先日の日銀総裁の会見でも述べられていたように、「必要とあれば、さらなる金融緩和も辞さない」スタンスが維持され、異次元緩和の出口は依然として見えてきません。つまり、金利差から円が売られ易い傾向はまだ当面続くと考えられます。』といった内容を挙げておきました。
また、昨日の東京時間でもドルが買われた背景は、岸田首相の金融所得課税を巡る発言が大きく影響し、日経平均株価が500円を超える上昇を見せたことと無関係ではありません。岸田首相は日曜日10日のテレビ番組で、「(金融所得課税を)当面は触ることは考えていない。まずやるべきことをやってからでないとおかしなことになってしまう」と述べ、「誤解が広がっている」とした上で、「しっかり解消しないと関係者に余計な不安を与えてしまう」と述べていました。さらに昨日の国会での所信表明でも、金融所得課税については「選択肢の一つとしてあげてきた」と、トーンダウンし、自民党の総裁選で勝利して以来、約2000円も下げた株式市場に配慮した言い回しに終始していました。マイナスで始まった昨日の日経平均株価はこの発言を境に大きく上昇し、円売りが進んだと見られます。
実際に、昨日の海外市場では主要通貨に対する円売りが活発となり、ユ-ロ円は7月6日以来、約3カ月ぶりの高水準まで上昇し、オージー円も同様に83円台半ばまで円安が進んでいます。ドル円はいよいよ2018年9月から12月にかけてもみ合った、113円台半ば~114円台半ばの「重要なレジスタンス・ゾーン」に入ってきました。ここを抜くには米長期金利のさらなる上昇が必要かと思いますが、WTI原油価格が一時82ドル台まで急騰するなど、インフレを加速させる材料は着々と整っている状況です。シティーグループの担当者は、足元では85ドル台まで急騰した北海ブレントは「この冬一時90ドルに達する可能性がある」と述べています。
11月のFOMCは2~3日の予定で開催されます。ここから3週間、9月のCPIの結果などを睨みながらの展開になります。9月の雇用統計では雇用者数の増加傾向に一抹の不安は感じましたが、それでもテーパリング開始時期を大きく先延ばしする程のものではないと考えます。上記113円台半ばから114円台半ばは何度もトライして抜け切れなかった水準です。この水準が抜けるかどうかが、これから年末、あるいは2022年初頭のドル円相場にとって大きな意味を持つと見ています。上昇ピッチが早いことから注意は必要ですが、先週末あたりから多くの市場参加者がドル高観測に大きく傾斜してきたものと想像できます。個人的にはここから115円の間では、ゆっくりと一部利益を確定するチャンスを探るスタンスが有利ではないかと思いますが、どうでしょう。
本日のドル円は112円90銭~113円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
NY債券市場が休場であったが、ドル円はジリジリと買われた。欧州市場で113円台に乗せ、NYでは113円41銭までドル高に。ユーロドルではややユーロ高ドル安が進み、(イメージ写真提供:123RF)
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2021-10-12 09:45