【為替本日の注目点】米長期金利5カ月ぶりに1.64%台に

ドル円は東京時間の夕方114円台を割りこみ、113円88銭近辺まで売られたが、その後切り返しNYでは114円40銭まで上昇。米長期金利の上昇がドル円を押し上げる。
ユーロドルではドル安・ユーロ高が進み、1.1658まで続伸。
株式市場は3指数が揃って上昇。ナスダックとS&P500は5日続伸。インフレ懸念が残る中、ネットフリックスやJ&Jなどの好決算が相場全体を押し上げる。
債券は続落し、長期金利は一時1.643%まで上昇。約5カ月ぶりの高水準を付ける。
金と原油はともに上昇。
9月住宅着工件数 → 155.5万件
9月建設許可件数 → 158.9万件
ドル/円 114.18 ~ 114.40
ユーロ/ドル 1.1629 ~ 1.1658
ユーロ/円 132.88 ~ 133.19
NYダウ +198.70 → 35,457.31ドル
GOLD +4.80 → 1,770.50ドル
WTI +0.52 → 82.96ドル
米10年国債 +0.037 → 1.637%
【本日の注目イベント】
日 9月貿易収支
独 独9月生産者物価指数
欧 ユーロ圏8月経常収支
欧 ユーロ圏9月消費者物価指数(改定値)
英 英9月消費者物価指数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 クオールズ・FRB副議長講演
米 企業決算 → バイオジェン、ベライゾン、IBM、テスラ
加 カナダ9月消費者物価指数
昨日のコメントでドル円は、上値は114円50銭を明確に上抜けできるかどうか、下値は114円を割り込むかどうかに注目し、どちらかと言えば後者の可能性が高いと予想しました。
東京時間の夕方、ドルはジリジリと値を下げ114円を割り込み、113円88銭前後まで売られました。ただその後は反発し、NYでは米長期金利の上昇という「助っ人」もあり、114円40銭まで買われ、結局元の鞘に戻った形です。主要通貨全般の動きでは、明らかに「ドル安」が進み、ユーロドルでは約3週間ぶりに1.16台半ばまで「ユーロ高・ドル安」が進み、対豪ドルでは約3カ月ぶりに0.7485近辺まで「ドル安」が進んでいます。ドル円だけが上昇した格好となり、ドル円がいかに米金利との相関が強
いかを如実に表した格好です。ドル円では「円安」が進み、他の主要通貨では「ドル高」が進行したことから、クロス円は軒並み上昇し、「円の独歩安」の展開が続いています。
米債券が売られ、長期金利はついに1.64%台まで上昇し、これがドル円を動かした直接の要因でしたが、その背景にはウォラーFRB理事の発言があったようです。
ウォラー理事は19日の講演で、高インフレ率が続くようなら2022年にも利上げを行うことを支持すると述べました。
ウォラー氏はスタンフォード大学経済政策研究所が主催したオンライン形式のイベントで、「金融当局の責務のうち、雇用に関してはなお改善の余地があるものの、十分な前進を遂げたため、資産購入のテーパリングを2週間後のFOMCの後に始めるべきだと私は考える」と述べ、2カ月連続で市場予想を大きく下回った雇用統計の結果がテーパリングを引き延ばす要因にはならないとの考えを示しました。
さらに2023年初旬と見られている「利上げ」についても、「2022年に入ってもインフレ率が2%をかなり上回って、私の上振れリスクが現実化した場合は、現在の予想よりも早い利上げを支持するだろう」とも述べています。
また同理事は、「政策の方向性を決める上で、家計調査と金融市場の双方をベースとするインフレ期待指標をモニターすることが重要になる」と指摘しています。(ブルームバーグ)FRB執行部の一人がかなり「タカ派寄り」の発言を行ったことが注目されます。
11月2~3日のFOMCでは、すでにテーパリング開始が決定されることは織り込み済みと思われ、市場の関心は「いつ利上げが開始されるのか」という点に移っています。
ウォラー理事の「2022年にも利上げ」といった発言はまだ少数派に属しますが、今後足元の高インフレ率が続くようだと、多数派に属してくる可能性があり、ウォラー理事がその先陣を切ったようです。
テーパリング開始を織り込む形で、米長期金利がジワジワと上昇していますが、一方でNY株式市場では株価が堅調に推移し、金利上昇に弱いとされるナスダック指数は5日続伸しています。企業の好決算が投資家を強気にさせているようです。
先週は大手米銀が軒並み好決算を発表したことで、軟調だった株式市場が大きく反発しましたが、昨日の主役は「ネットフリックス」だったようです。韓国の大ヒットドラマ「イカゲーム」の人気が追い風となり、7-9月期の会員数は438万人の純増となり市場予想を上回っていました。同社株は時間外取引で3.8%上昇しているようです。
民主党のシューマー上院院内総務は、バイデン大統領の経済課題について議会民主党が今週中の合意を目指していると述べ、党の進歩派と穏健派がそれぞれ、バイデン氏とハリス副大統領、イエレン財務長官と会談することになっています。
合意できれば、増税や気候変動対策、育児と教育、医療向けの連邦支援の拡大などの他、上院ですでに可決し下院での採決が待たれる5500億ドル(約62兆9150億円)の公共事業計画も進められるとのことです。
米長期金利の上昇を手掛かりに底堅い動きを見せるドル円ですが、本日は米株高と円安が続いていることから日本株も上昇する公算が高いとみられます。リスクオンが進み、再び円が売られ易い状況になりそうな雰囲気もあります。
本日のドル円は114円10銭~114円90銭程度を予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京時間の夕方114円台を割りこみ、113円88銭近辺まで売られたが、その後切り返しNYでは114円40銭まで上昇。米長期金利の上昇がドル円を押し上げる。ユーロドルではドル安・ユーロ高が進み、1.1658まで続伸。
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2021-10-20 10:00