【為替本日の注目点】ドル円米金利低下で一時113円台半ばを割り込む

ドル円は米長期金利の低下を受け、朝方には113円39銭まで売られる。その後は上昇に転じ113円80銭台で取引を終える。ユーロドルは膠着感を強め、依然として1.16を挟む展開が続く。株式市場はナスダックが小幅に続伸したものの、ダウとS&P500は反落。前日最高値を更新したダウは266ドルの大幅安。債券は続伸し、長期金利は1.54%台まで低下。金は反発し、原油は2ドルに迫る大幅安。 9月耐久財受注      →  -0.4% ドル/円  113.39 ~ 113.89 ユーロ/ドル 1.1588 ~ 1.1626 ユーロ/円  131.74 ~ 132.20 NYダウ  -266.19 → 35,490.67ドル GOLD +5.40  →  1,798.80ドル WTI  -1.99  →  82.66ドル 米10年国債 -0.067 → 1.541% 【本日の注目イベント】 豪   豪7-9月四半期輸入物価指数 日   日銀金融政策決定会合 日   黒田日銀総裁記者会見 独   独10月雇用統計 独   独10月消費者物価指数(速報値) 欧   ユーロ圏10月消費者信頼感(確定値) 欧   ユーロ圏10月景況感指数 欧   ECB政策金利発表 欧   ラガルド・ECB総裁記者会見 米   7-9月GDP(速報値) 米   新規失業保険申請件数 米   9月中古住宅販売成約件数 米   企業決算 → キャタピラー、アップル、アマゾン  やや上値は重いと感じていたドル円でしたが、NYの朝方には米長期金利が大きく低下したことを受け、113円39銭までドル売りが進みました。先週末に記録した113円42銭のドル安値をわずかですが下回りましたが、見方を変えれば113円40銭前後が底堅いとも言えそうです。ドル円の上値がやや重くなった背景は、先週木曜日には1.7%台まで急伸した米長期金利が1.54%台まで低下し、低下傾向を強めてきたことが主因です。  ただ世界的にインフレ傾向が強まり、多くの国で利上げのタイミングを探っている状況の中、米長期金利の低下も限定的かと思われます。オーストラリアの10年債利回が1.82%台まで急騰し、約7カ月半ぶりの高水準を付けました。第3四半期のCPIトリムが前年比で2.1%まで上昇したことで利上げ観測が高まり、債券が売られた結果でした。RBAは2024年まで利上げを行わないというシナリオを維持していますが、前倒しになるとの観測が強まってきました。また昨日はブラジル中銀が政策金利を150bp引き上げ、7.75%にしました。さらにカナダ中銀も量的緩和を終了すると発表しています。同中銀は声明で、「インフレ高進を伴わない経済成長の余地が供給面の制約によって限定されていることから、早ければ4月にも政策金利の翌日物貸し出し金利を引き上げる用意がある」としています。このような状況の中、日銀は依然として量的緩和を継続しており、ゼロ金利政策を維持する意向です。今後日銀だけが「蚊帳の外」というわけにはいかないとは思いますが、依然として出口が見えないのは事実です。日本の9月の生鮮食品とエネルギーを除くコア・コアCPIは「-0.5%」でしたが、米国の同指数は「4.0%」でした。  週内にも合意すると見られているバイデン大統領の提唱する経済対策案ですが、民主党穏健派のマンチン上院議員は、その原資の一部となる増税案には賛同しないとしています。同氏はバイデン大統領が、富裕層が保有する含み益を標的にした増税案は「複雑だ」として高所得者に対する15%の最低課税率を設ける案を主張しており、これを「愛国税」と呼んでいるようです。また下院歳入委員会のニール委員長は27日、富裕層「ビリオネア」の資産への課税案について、年収1000万ドル(約11億4000万円)超の富裕層に対し、最高税率に加え3%の付加税を課す案を下院は協議していると語り、バイデン大統領の経済施策の週内合意に黄信号が灯りはじめています。  昨日この欄で「中国当局は、中国恒大集団の債務危機を緩和するため同社創業者で富豪の許家印氏に対し、個人資産をなげうつよう指示した」との報道内容を掲載しましたが、ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、許氏の資産は76億ドル(約8664億円)と、2017年のピーク時の420億ドルから大きく減少していると推計されるとのことです。これは、許氏が保有する中国恒大集団の株価が今年に入り80%以上減少したことによるものですが、一方で2009年に同社が上場して以来、70億ドル以上の配当を受け取っている資金の再投資先は不明のようです。「中国恒大集団の債務3000億ドルに対してわずかな額である可能性は高いが、それでも中国のクレジット市場を混乱させ、不動産セクターの信頼を揺るがせている危機の深刻度を決定付けるかもしれない」と、ブルームバーグは報じています。  本日はECBが政策金利を発表します。政策金利は据え置きかと思いますが、ラガルド総裁のコメントが注目されます。足元のインフレを一時的と考えているラガルド氏の認識に変化があるのかどうかで、来年3月まで予定されているPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)後の政策にも影響を与えそうです。 本日のドル円は113円30銭~114円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米長期金利の低下を受け、朝方には113円39銭まで売られる。その後は上昇に転じ113円80銭台で取引を終える。ユーロドルは膠着感を強め、依然として1.16を挟む展開が続く。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-10-28 10:30