【為替本日の注目点】米主要3指数が揃って最高値を更新

ドル円は続落し113円26銭まで売られる。ユーロドルでドル安が進んだ影響もあり、米金利が上昇したにもかかわらず上値の重い1日だった。ECB政策会合後、利上げ観測がやや早まったことからユーロドルは上昇。約1カ月ぶりとなる1.1692までユーロ高ドル安に振れる。株式市場では主要3指数が揃って最高値を更新。キャタピラーなど、企業の好決算が相場を押し上げ、アマゾンや、テスラなども買われた。債券は反落。長期金利は1.58%台へ上昇。金と原油はともに買われる。
7-9月GDP(速報値) → 2.0%
新規失業保険申請件数 → 28.1万件
9月中古住宅販売成約件数 → -2.3%
ドル/円 113.26 ~ 113.72
ユーロ/ドル 1.1587 ~ 1.1692
ユーロ/円 131.55 ~ 132.64
NYダウ +239.79 → 35,730.48ドル
GOLD +3.80 → 1,802.60ドル
WTI +0.15 → 82.81ドル
米10年国債 +0.039 → 1.580%
【本日の注目イベント】
豪 豪9月小売売上高
豪 豪第3四半期生産者物価指数
日 9月失業率
日 9月消費者物価指数
日 10月東京都区部消費者物価指数
日 9月鉱工業生産
独 独7-9月期GDP(速報値)
欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏7-9月期GDP(速報値)
欧 G20財務・保健相合同会合(ローマ)
英 英9月消費者信用残高
米 9月個人所得
米 9月個人支出
米 9月PCEコアデフレータ
米 10月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 7-9月雇用コスト指数
上値が重くなってきたドル円は昨日のNYでは113円26銭まで売られました。米長期金利が上昇し、株式市場でも主要3指数が揃って最高値を更新するなど、「リスクオン」が強まったにもかかわらずドル売りが優勢でした。これはユーロドルでドルが売られ、ユーロが買われたことに影響されたものと見られます。
ECBは金融政策会合で、市場予想通り政策金利を据え置きましたが、ラガルド総裁は会見で、インフレは「当初の想定よりも長く続く見込みだ」との見方を示したことで市場の利上げ観測が高まったことが、ユーロ買いにつながったものです。ただラガルド氏は続けて、「来年中には低下すると考えている」と述べ、「市場が利上げを想定している時点、あるいはその時点から近い将来においても、ECBのフォワードガイダンスの条件が満たされることをわれわれの分析は全く支持していない」と続け、市場の利上げ観測を打ち消しています。また今回の会合で政策委員会は、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を少なくとも2022年3月末まで継続することも確認しています。
米国の第3四半期GDP速報値は「2.0%」と、第2四半期の「6.7%」から急激に減速しました。個人消費の減速が最大の要因です第2四半期には「12.0%」だった個人消費が「1.6%」まで減速したことが、全体の足を引っ張った格好です。「この先を展望すると、サプライチェーンの混乱と原材料不足に伴う下振れリスクで、向こう数カ月は経済の拡大が抑制される可能性がある。しかし、10-12月は家計支出の回復を受けて、成長ペースがより強いものになるだろう」との見方を、ブルームバーグは紹介しています。
このような状況の中、早期の経済対策の実施が望まれますが、バイデン大統領は28日、税制・支出計画について当初の規模を大幅に縮小し、1兆7500億ドル(約200兆円)規模の枠組を発表しました。子育てと医療、気候変動対策における連邦支援を拡大する内容で、法人税の15%最低税率課税や自社株買いへの課税、1000万ドルを超える年間所得に対する新たな課税などで財源を確保する計画です。バイデン氏はこの日議会を訪れ、下院民主党に対し、同枠組みとは別のインフラ法案を早期に可決させ、署名のため送付するよう呼び掛けています。
余り注目されなくなった日銀の政策決定会合でしたが、会合後の記者会見で黒田総裁は、現状の為替水準は「若干の円安」と認識しながらも、「ファンダメンタルズの範囲内」とし、「現時点の円安は日本経済にプラスなのは確実」との見方を示しました。また米国が量的緩和の縮小を進めることについて問われると、「米国の金融当局自体が言っているが、金利引き上げではない。そのため直接的に金利や為替に影響が出て来ることは想定されない」と答えていました。
やや上値の重い展開が続いているドル円ですが、この間のドルの下落幅は大きくありません。金融政策の違いは明確で、今後も円が売られる展開は想定しやすいと考えます。
本日のドル円は113円20銭~114円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は続落し113円26銭まで売られる。ユーロドルでドル安が進んだ影響もあり、米金利が上昇したにもかかわらず上値の重い1日だった。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-10-29 10:00