【為替本日の注目点】FOMC、今月よりテーパリング開始を決定

113円77銭前後で推移していたドル円は、パウエル議長の会見をきっかけに上昇。114円21銭まで買い戻される。ユーロドルは引き続き1.16を挟みもみ合う。株式市場は軟調な展開だったが、パウエル議長の会見を境に上昇。結局主要3指数は揃って4日連続で最高値を更新。債券は売られ、長期金利は1.60台%を回復。金は大幅に続落。原油は在庫が予想以上に増加していたことや、米国の原油生産もハリケーン「アイダ」以前の水準を回復したことで3ドルを超える大幅な下落に。
10月ADP雇用者数 → 57.1万人
10月ISM非製造業景況指数 → 66.7
9月製造業受注 → 0.2%
10月マークイットサービス業PMI(改定値) → 58.7
10月マークイットコンポジットPMI(改定値) → 57,6
ドル/円 113.73 ~ 114.21
ユーロ/ドル 1.1563 ~ 1.1616
ユーロ/円 131.75 ~ 132.41
NYダウ +104.95 → 36,157.58ドル
GOLD -25.50 → 1,763.90ドル
WTI -3.05 → 80.86ドル
米10年国債 +0.055 → 1.603%
本日の注目イベント
豪 豪9月貿易収支
独 独9月製造業新規受注
欧 ユーロ圏9月生産者物価指数
英 BOE金融政策発表
英 BOE議事録
米 新規失業保険申請件数
米 9月貿易収支
加 カナダ9月貿易収支
今朝方発表されたFOMCでは市場予想通り、今月からテーパリングを開始し、その規模も月額150億ドル、さらにその内訳も国債100億ドル、MBS50億ドルと、全て想定された通りの結果でした。その後のパウエル議長の記者会見から市場は大きく動き始めています。パウエル氏は、特にテーパリング開始が利上げを意味するものではない点を強調し、「われわれは辛抱強くなれると考えている。対応が必要な状況になれば、ちゅうちょしない」と述べ、「現在は利上げに適した時期とは考えていない。労働市場の一段の回復を目にしたいからだ」と説明しています。注目していた「一過性」(transitory)という言葉が削除されたかどうかについては、「インフレは高水準にあり、これは主として一過性と予想される要因を反映している」と語っています。微妙な言い方でしたが、これまで「一過性」と見ていたものが、想定以上に長く続き、最早「一過性」とは言えなくなったことを認めたと、個人的には受け止めています。結局、今回のFOMCでは想定以上にタカ派的はなく、テーパリングの規模も想定内であったことから株価の上昇につながったと思われます。
10月のADP雇用者数は市場予想を超え、「57万1千人」でした。これは、ここ4カ月で最大の伸びとなり、雇用主による採用状況が改善しつつあることを示唆しているものと受け止めることができます。特にサービス部門の伸びが大きく、明日の雇用統計本番にも今回は期待が出来ると、筆者は予想しています。また10月のISM非製造業景況指数も好調でした。市場予想の「62」に対して「66.7」と、同指数の統計が始まって以来の最高を更新しています。新規受注と景況指数が特に高水準で、新型コロナウイルスのデルタ変異株による脅威が薄れてきたことに伴い、需要が活発になってきたようです。
昨日米バージニア州で行われた知事選で民主党候補が敗れ、共和党候補のヤンキン氏が勝利したと報じられています。同州は、昨年の大統領選の際にバイデン氏が勝利した州です。バイデン政権への失望の表れなのか、来年11月の中間選挙にも影響が出る可能性も浮上しています。バイデン大統領としても、早急に経済計画を実行に移し、評価をあげたいところです。ペロシ下院議長は、バイデン氏の掲げる2つの法案について、今週中の採決を実施することを表明しており、法案に反対している穏健派のマンチン上院議員の動向が注目されています。
ドル円は113円台前半では底堅さを見せるものの、114円台半ばが壁になりつつあります。FOMCではテーパリング開始は決まったものの、利上げはまだ先の事だとけん制を行っていましたが、早ければ来年後半の利上げ開始を予想する専門家も徐々に増えているように思えます。115円台に乗せることが出来るかどうかが当面の大きな課題と言えます。
本日のドル円は113円70銭~114円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
113円77銭前後で推移していたドル円は、パウエル議長の会見をきっかけに上昇。114円21銭まで買い戻される。ユーロドルは引き続き1.16を挟みもみ合う。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-04 09:45