【為替本日の注目点】BOE政策金利を据え置く

ドル円は東京市場での114円台前半から急落。BOEが政策金利を据え置いたことに伴い、米長期金利も急低下し、ドル売りが活発に。113円51銭まで下げる。ユーロドルは下落。1.1528まで下げ、このところ続いていたレンジを下抜けした可能性も。株式市場ではダウが下げたものの、ナスダックとS&P500は最高値を更新。ナスダックはこれで10連騰を記録。債券価格は急騰。長期金利は前日の1.6%台から1.52%台に急低下。金は大幅に反発。原油は大きく続落し、78ドル台に。
新規失業保険申請件数 → 26.9万件
9月貿易収支 → -800.9億ドル
ドル/円 113.51 ~ 114.02
ユーロ/ドル 1.1528 ~ 1.1573
ユーロ/円 131.01 ~ 131.79
NYダウ -33.35 → 36,124.23ドル
GOLD +29.60 → 1,793.50ドル
WTI -2.05 → 78.81ドル
米10年国債 -0.077 → 1.526%
【本日の注目イベント】
豪 RBA四半期金融政策報告
独 独9月貿易収支
独 独9月鉱工業生産
欧 ユーロ圏9月小売売上高
米 9月消費者信用残高
米 10月雇用統計
加 カナダ10月就業者数
加 カナダ10月失業率
BOEは4日、市場予想に反して政策金利の据え置きを決めました。金融政策委員会(MPC)は政策金利を0.1%に据え置くことを7対2で決定しています。市場は利上げを見込んでいたため、この決定が「サプライズ」として受け止められ、発表後にポンド円は156円前後から153円台前半まで急落しました。ベイリー総裁は記者会見で、「インフレ率を将来的に目標以下に引き下げる公算が大きいであろう規模の利上げ予想に対しては警告する」と述べ、利上げを行うことでインフレ率が目標の2%を下回り、経済成長が減速する懸念を考慮した形となりました。
この影響もありNY市場でも長期金利が急低下し、ドル円は113円51銭まで売られました。FOMCではテーパリング開始を決めたものの、利上げには慎重な姿勢を維持し、これが株式市場に好感されるなど、今回の政策変更では市場の混乱を回避し、見事にソフトランディングさせたFRBでした。米金利の上昇にドル円も昨日の東京市場では114円28銭まで買われ、再び114円台半ばを試すのではないかといった期待も膨らんでいましたが、今回も失敗に終わっています。金融正常化へ第一歩を踏み出した米国では、余程の事態の急変がない限りいずれ利上げへと歩みを進めることになるわけで、金利の上昇に伴ってドル円も上昇する公算が高いと予想していますが、114円台半ばから上方の水準がなかなか突破できないのも事実です。現時点では113円台前半が底堅く見えますが、ドル高予想を維持しながらも、想定外のドル安にも注意が必要かもしれません。
原油価格も大きく動いています。「OPECプラス」は4日の会合で、減産計画を徐々に解除する従来方針を維持することを決め、増産加速を求めていたバイデン大統領の圧力には屈しない姿勢を見せました。4日の会合は早々に終了し、12月に生産を日量40万バレル引き上げる計画を承認しました。米国は、このペースでは多くの石油消費国が需要を満たせないとして、最大2倍のペースで増産を求めていました。「OPECプラス」の決定に対してホワイトハウスは直ちに反応し、「経済を守るためにあらゆる手段を検討する」とあらためて表明しています。(ブルームバーグ)この一連の動きを受けWTI原油価格は前日の3ドルを超える下落に続き、2ドルを超える下げとなり、一気に78ドル台まで下落しました。WTI原油価格は先月25日には85ド台半ばまで上昇し、7年ぶりの高値を記録しましたが、ここ数日はロングの利益確定を誘発した模様です。原油価格が再び85ドル台まで上昇するようだと、バイデン政権は戦略石油備蓄(SPR)の放出も検討するようです。
9月の米貿易収支が発表されましたが、過去最悪となる「80億ドルの赤字」でした。ただ、米国は景気が好調である時には貿易赤字が拡大する傾向が以前からあり、このことはコロナ禍からの米景気の立ち直りを現しているのかもしれません。9月の収支では、輸入が前月比0.6%増加していたことに対し、輸出は3%の減少でした。事実、感染拡大が減少傾向をみせ経済活動が再開した5月以降、輸入は確実に増加していることが確認できます。また、米国の輸入額の増加は、日本や中国などの輸出額の増加を意味し、ドル需要が増すことにもつながります。
本日は雇用統計です。今回の発表は日本時間21時30分ですが、サマータイムの終了に伴い来月からは22時30分となり投資家にとっても時間的に厳しい環境に変わります。非農業部門雇用者数は「45万人の増加」と予想されていますが、今回は予想を上振れする可能性の方が高いと個人的には考えています。昨日発表された新規失業保険申請件数も「26.9万件」と、パンデミック以降の最少を更新しており、人々が徐々に仕事に就いていることを示唆していると考えるからです。また前日発表されたISM非製造業景況指数でも、サービス業の伸びが見られます。予想を上回れば利上げのタイミングが前倒しになり、反対に下回った場合には利上げが先延ばしとなり、ドルが売られる可能性が高いと考えられます。
本日のドル円は113円30銭~114円50銭と、ややワイドレンジを予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は東京市場での114円台前半から急落。BOEが政策金利を据え置いたことに伴い、米長期金利も急低下し、ドル売りが活発に。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-05 10:15