【為替本日の注目点】ドル円113円目前まで下落

ドル円は113円08銭まで下落。クラリダFRB副議長の発言に反応したものだが、格好のドル売り材料にされた面も。ユーロドルは小幅に反発。ドル売りの流れに1.1595までユ-ロが買われる。株式市場は小幅ながら3指数が揃って最高値を更新。下院でインフラ法案が可決したことを好感し、ダウは104ドル高。ナスダックとS&P500は8営業日連続で最高値を更新。債券は3日ぶりに反落。長期金利は1.49%台に上昇。金は続伸し1828ドル台に。原油も続伸。 ドル/円  113.08 ~ 113.42 ユーロ/ドル 1.1564 ~ 1.1595 ユーロ/円  130.90 ~ 131.34 NYダウ  +104.27 → 36,432.22ドル GOLD +11.20  →  1,828.00ドル WTI  +0.66  →  81.93ドル   米10年国債 +0.038 → 1.490% 本日の注目イベント 豪 10月NAB企業景況感指数 日 10月景気ウオッチャー調査 日 9月貿易収支 日 9月国際収支 独 9月貿易収支 独 9経常収支 独 11月ZEW景気期待指数 英 ベイリー・BOE総裁らパネル討論に参加 米 10月生産者物価指数 米 パウエル・FRB議長、会議冒頭で挨拶 米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、質疑応答に参加 米 ブラード・セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加 米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論に参加  依然として金融緩和の影響が色濃く残っているせいなのか、昨日のNYでは株価が3指数とも揃って最高値を更新。一時マイナスに沈んだナスダック指数は、S&P500とともに、これで、8営業日連続で史上最高値を更新しました。さらに昨日は、金(きん)と原油も買われ、金は一時1828ドル台を付け、約2カ月ぶりの高値を付け、原油も82ドルに迫る水準まで上昇しています。大量の待機資金が各市場で闊歩している状況が続いているようですがFRBは8日、半期に一度の金融安定報告を発表し、その中で、リスクの高い資産価格が上昇を続けており、経済情勢が悪化すれば危険な急落の恐れがあると警告しています。一方ドル円は113円台ぎりぎりの水準まで売られ、このところのレンジの下限までドル安が進んできました。先週から指摘しているように、ドル先高感は依然として維持されてはいるものの、やや利益確定のドル売りが優勢となり、上値を重くしています。  先週のFOMC後の会見でパウエル議長は利上げに対しては慎重な姿勢を維持し、「まだ利上げの時期ではない」と、利上げに対して前のめりになる市場を牽制していましたが、クラリダFRB副議長は8日、政策金利を引き上げる「必要条件」が恐らく来年末までに満たされるだろうと述べています。クラリダ氏は金融政策に関するシンポジウムで、「利上げを検討するのはまだずっと先だということは明らかだ」としつつも、「フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を引き上げるために必要な3条件は、2022年末までに達成されていると確信する」と語っています。またインフレ圧力については、「今年のインフレは現時点で、長期目標の2%を『適度に』上回るというものを著しく上回っていると自分には見受けられる。来年も同様の状況となるなら、政策として成功とは見なさない」と述べています。(ブルームバーグ)この発言は、これまで通り2023年の利上げに向けた道筋に沿ったもので、パウエル議長の発言と異なるものではありません。  これに対して「タカ派」の代表格であるセントルイス連銀のブラード総裁はFOXテレビとのインタビューで、「必要に応じてテーパリングを幾分か早期に終了することは可能だ」と述べ、「来年に2回の利上げを予想している」と発言し、タカ派の代表格としての本領発揮といった発言を行いました。さらにブラード氏は、「米金融当局は政策を一段とタカ派方向に動かすために多くのことをやってきた。もっとできるが、それはデータ次第になる。今後のデータがどうなるか見極めなければならない」と語っています。筆者の知る限り、現時点で最も早い利上げを予想しているのはゴールドマンで、2022年7月と予想していますが、ブラード総裁は2022年に2回と予想していました。その最初の利上げ時期には言及していませんが、第1回目は7月である可能性もありそうです。2022年のFOMCは1月と、3、4、6、7月に予定されていますが、1、3、4は考えにくく、6月か7月の可能性が高いということになります。  またこの日はフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も講演を行っており、ハーカー氏は「テーパリング完了前にFF金利誘導目標を引き上げることはないだろう。しかしわれわれはインフレ動向を非常に注意深く監視しており、適切な状況となれば行動を取る用意がある」と、こちらはパウエル議長と同様な考えに終始していました。  FRBによる利上げが2023年よりも早まるのかどうかは、今後の物価上昇や労働市場の動向がカギになります。引き続き注意深く見ていきたいと思います。 本日のドル円は112円90銭~113円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は113円08銭まで下落。クラリダFRB副議長の発言に反応したものだが、格好のドル売り材料にされた面も。ユーロドルは小幅に反発。ドル売りの流れに1.1595までユ-ロが買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-09 11:45