【為替本日の注目点】ドル円約1カ月ぶりに112円台後半に

ドル円は昨日の東京時間に113円を割り込み、一時は112円73銭近辺まで売られたが、NYでは113円台を回復する場面も。ただ米長期金利の低下もあり上値が重い展開から112円90銭前後で取引を終える。
ドル安の流れからユーロドルは1.1608までユーロの買戻しが進む。
株式市場は3指数が揃って反落。ダウは112ドル下げたが、それでも大きな下げにはつながらず、想定内の動きといった声も。
債券は反発。長期金利は1.43%台へ低下。
金と原油は続伸。
10月生産者物価指数 → 0.6%
ドル/円 112.75 ~ 113.11
ユーロ/ドル 1.1570 ~ 1.1608
ユーロ/円 130.70 ~ 130.98
NYダウ -112.24 → 36,319.98ドル
GOLD +2.80 → 1,830.80ドル
WTI +2.22 → 84.15ドル
米10年国債 ―0.054 → 1.436%
本日の注目イベント
豪 11月ウエストパック消費者信頼感指数
中 10月消費者物価指数
中 10月生産者物価指数
独 10月消費者物価指数(改定値)
米 10月消費者物価指数
米 10月財政収支
米 パウエル・FRB議長、会議冒頭で挨拶
米 ブラード・セントルイス連銀総裁、パネル討論に参加
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、質疑応答に参加
徐々に上値を重くしているドル円は、昨日の東京時間の昼前に約1カ月ぶりとなる113円台を割込み、午後もその流れが続き112円73銭近辺までドル売りが進みました。NYでも米長期金利が低下したこともありドルの上値は重い展開が続き、113円台を回復する場面もありましたが、112円90銭前後で戻ってきました。この欄でも指摘したように、米金融政策の正常化を睨んだドル高観測を背景に、記録的なドル買ポジションが積み上がり、その割には114円台半ばが抜け切れない展開が続いていました。短期的なドルの下値のメドである113円台前半を抜けたことから、ドルの見切り売りが出たことで112円台後半まで下げたものと見ています。NYではもう一段の下げも予想していましたが、昨日の東京時間に記録したドルの安値を更新することはなく、本日発表される米10月のCPIの結果を待つ状況になっています。金と原油は揃って続伸し、原油は引け値で再び84ドル台まで上昇してきました。
NY株式市場では久しぶりに株価が下落しています。株価の支援材料が特段無かった上、利益確定の売りに押された格好でしたが、EV専門メーカー「テスラ」のイーロン・マスク氏が保有している自社の株10%を売却する可能性のあることが重しになった他、マスク氏の弟で同社の取締役であるキンバル・マスク氏が11月5日にテスラ株8万8500株(約123億円)を売却していたことも悪材料になったようです。テスラ株は昨日の市場で大きく売られ、約8カ月ぶりの大幅安になっています。FRBも報告書でリスク資産の高騰に警告を発していましたが、好調な米株式市場がこのまま終わるとも思えません。高値警戒感があるのは事実ですが、行くとこまで行かないと収まらないような気もします。
忘れてはならないのが、中国恒大集団が最大の正念場を迎えていることです。同社は3本のドル建て債のクーポン1億4810万ドル(約167億円)を期日に支払わず、デフォルト宣言されるまでの30日間の猶予期間が本日、10日に終了します。ブルームバーグによると、支払ができない場合はクロスデフォルト条項が発動される可能性があるようです。こちらの情報にも引き続き注意が必要です。
ブラックアウト期間が解禁になったことで、FOMCメンバーの講演も活発です。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、短期的なインフレ期待が押し上げられているものの、長期的なインフレ期待はまだ上昇していないと指摘しています。インフレについては、「2022年夏にはある程度の明確さが得られるだろう」とも述べており、同総裁も物価の上昇は一過性と認識しており、来年の夏以降には正常に向かうとみています。一方ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、物価高が予想より長期に及んでいるとの見解を示し、「長期のインフレ期待の水準や長期の米国債借り入れコストを見ると、いずれも極めて低く、かなり抑制されている。しかし、何か変化があれば、米国債や行政府の資金調達にどんな意味があるかにかかわらず、米金融当局は2つの債務を果たすため適切に対応すると大いに確信している」と語っています。
ドル円の昨日の下げは「一目均衡表」で言えば、日足の基準線近辺で抑えられたことになっています。目先の下値のメドは112円台半ば近辺と見ています。「フィボナッチ・リトレースメント」で見た場合、今回の上昇が9月22日の109円12銭を大底として始まったと考え、高値は10月20日に114円70銭を付けています。この間の上昇幅「5円58銭」の38.1%戻しが、112円57銭になります。一応、目先のサポートと見たいと思います。
本日のドル円は112円50銭~113円30銭程度と予想します。
(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は昨日の東京時間に113円を割り込み、一時は112円73銭近辺まで売られたが、NYでは113円台を回復する場面も。ただ米長期金利の低下もあり上値が重い展開から112円90銭前後で取引を終える。ドル安の流れからユーロドルは1.1608までユーロの買戻しが進む。
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2021-11-10 10:00