【為替本日の注目点】米10月CPIは0.9%上昇

東京時間には112円台後半で推移していたドル円は米CPIの発表を受け急騰。金利上昇から114円台に乗せる場面もあり、再び元の鞘に。ドル高の流れからユーロドルも大幅に続落。1.1476までユーロ安が進み、2020年7月以来の水準に。株式市場は3指数とも続落。CPIが市場予想を大きく上回ったことで利益確定の売りが株価を押し下げた。ダウは240ドル安。債券は大幅に反落。長期金利は1.55%台へと急騰。金は続伸し、1848ドル台に。原油は大幅に反落。政府による備蓄分の放出観測が広がる。 10月消費者物価指数     →  0.9% 10月財政収支        →  -165.1b 新規失業保険申請件数     →  26.7万件 ドル/円  113.05 ~ 114.02 ユーロ/ドル 1.1476 ~ 1.1574 ユーロ/円  130.38 ~ 131.42 NYダウ  -240.04 → 36,079.94ドル GOLD +17.50  →  1,848.30ドル WTI  -2.81  →  81.34ドル   米10年国債 +0.10 → 1.551% 本日の注目イベント 豪   豪10月雇用統計 中   中国「独身の日」 英   英7-9月期GDP(速報値) 英   英9月鉱工業生産 英   英9月貿易収支 米   NY市場休場(ベテランズデー)  10月の米CPIは前月比「0.9%」上昇し、前年比では実に1990年以来の高い伸びとなる「6.2%」の上昇でした。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIでも、前月比「0.6%」上昇し、前年比では「4.6%」と、こちらは1991年以来の高水準でした。賃金は上がっているものの、企業はコスト上昇分を価格に転嫁しており、幅広い分野で物価が上昇しています。項目別で見ると、エネルギーが30%、輸送費が18.7%、光熱費は10.4%(いずれも前年比)が目立っており、サマーズ元財務長官は10日の講演で、「市場が織り込んでいるとみられるのは、長期的なスタグネーション(停滞)への逆戻り、つまり日本化だ」と述べています。(ブルームバーグ)サマーズ氏はこれまでにも足元の物価上昇は一過性のものではないと、FRBの見解に真っ向から異議を唱え、早期に対応すべきだと警告してきました。「極端に低い金利はレバレッジ拡大やゾンビ企業の延命化、金融バブル永続化への土台を作る」とも述べており、「投機的なリスクの兆候が多く見られる。極端に低い金利やマイナス実質金利には問題がある」と説明しています。また、かつて「債券王」と称されたエラリアン氏は、「インフレを一過性と軽視することが経済的にも社会政治的にも真の問題になりつつある」と警告しています。  市場予想を大きく上回ったCPIを受け、債券が売られ長期金利は1.55%台へと急騰しました。金利上昇から東京市場では112円台後半で推移していたドル円も急上昇し、NY市場では一時114円台に乗せる場面もありました。ユーロドルでもドル高が進み1.1476前後まで売られ、こちらは2020年7月以来、約1年4カ月ぶりのユーロ安を付けています。また金(きん)も5日続伸し、1870ドル台を付ける場面がありました。このまま物価上昇が続くかどうかは不透明ですが、人々の意識の中で、物価は今後も上昇するといった見方が定着すると、それがさらに物価を押し上げることにつながる可能性もあり、FRBが早期の利上げを迫られることも考えられます。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はCPIの発表を受けて、目を見張るインフレに注視しているとしながらも、「利上げに関するわれわれの計算式を変更し始めるのは、まだ時期尚早だろう」と述べています。  10日に利払いができるかどうかが注目されていた中国不動産開発大手の「中国恒大集団」が、デフォルトを再び回避できる模様だと報じられています。国際証券決済機関クリアストームの広報が明らかにしたところでは、同機関の複数の顧客が恒大の支払期日を過ぎていたドル建て債3本の利払いを受け取ったことを確認したとし、また同債の2本を保有する投資家2人も支払いを受けたことを確認したとしています。  来年2月に任期を終えるパウエルFRB議長ですが、再任されるのか、あるいは他の候補が新しい議長に就任するのか、バイデン大統領が決断する日が近いようです。多くの市場関係者はパウエル氏が再任されると予想しているようですが、もし交代するようなら、現FRB理事のブレイナード氏が最有力のようです。ブレイナード氏は9日にホワイトハウスでバイデン大統領と1時間半にわたって面談を行っており、「バイデン政権は次期FRB議長にブレイナード氏を真剣に検討していることをうかがわせた」とブルームバーグは伝えています。ブレイナード氏がFRB議長に就任すれば、初の女性議長の誕生となり、同時にイエレン財務長官とともに、金融行政初の女性ツートップとなります。ブレイナード氏はパウエル氏と比べるとハト派的であることから、利上げのタイミングが後ずれになるとの見方から債券が買われ、金利が上昇する場面もありました。イエレン財務長官だけではなく、副大統領にハリス氏を抜擢するなど、女性の登用に積極的なバイデン大統領だけに、ひょっとしたら「ブレイナード議長誕生」もあるかもしれません。 本日のドル円は113円40銭~114円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京時間には112円台後半で推移していたドル円は米CPIの発表を受け急騰。金利上昇から114円台に乗せる場面もあり、再び元の鞘に。ドル高の流れからユーロドルも大幅に続落。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-11 10:15