【為替本日の注目点】ドル円4年8カ月ぶりに114円後半へ

東京タイムから欧州にかけては114円台前半で推移していたドル円は、NYでは114円台半ばを抜け、114円85銭まで上昇。2017年4月以来となるドル高を示現。 ユーロドルも続落。1.1309前後まで売られ、こちらは1年4カ月ぶりの安値を記録。 株式市場は3指数が揃って上昇。小売売上高が市場予想を上回ったことを好感して上昇したが、引き際には伸び悩みダウは54ドル高。 債券は3日続落。長期金利は1.63%台に上昇。 金は続落し、原油も売られる。 10月小売売上高        →  1.7% 10月輸入物価指数        →  1.2% 10月鉱工業生産        →  1.6% 10月設備稼働率        →  76.4% 11月NAHB住宅市場指数   →  83 ドル/円  114.23 ~ 114.85 ユーロ/ドル 1.1309 ~ 1.1375 ユーロ/円  129.73 ~ 130.11 NYダウ  +54.77 → 36,142.22ドル GOLD -12.50  →  1,854.10ドル WTI  -0.12  →  80.76ドル 米10年国債 +0.019 → 1.634% 本日の注目イベント 日 10月貿易統計 欧 ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値) 欧 ECB金融安定報告 英 10月消費者物価指数 米 10月住宅着工件数 米 10月建設許可件数 米 ボウマン・FRB理事講演 米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演 米 ウォラー・FRB理事講演 米 エバンス・シカゴ連銀総裁、Q&Aに参加 加 10月消費者物価指数 10月の米小売り売上は好調でした。市場予想の「1.4%増」を上回る「1.7%」の伸びでした。数十年ぶりのインフレが高進する中でも、個人消費は堅調だったこととなり、株高による資産効果の影響に加え、今後物価がさらに上昇するとの思惑もあり、消費を早めている可能性もありそうです。また賃金が上昇している上に、比較的楽に仕事に就けることも個人消費の増加を促しているようですが、先週末に発表された11月のミシガン大学消費者マインド速報値では予想外の落ち込みが確認され、今後インフレを主因とした消費マインドの落ち込みが消費需要を抑制するリスクはあるのかもしれません。 昨日NYで発表された経済指標を見ると、小売売上高だけではなく、他の全ての指標が予想を上回っていました。鉱工業生産も、前月の「0.9%」から大幅に伸び「1.6%」でした。また設備稼働率も「76.4%」と、今年の最高水準です。コロナ禍からの経済再開や、ハリケーン「アイダ」の被害からも立ち直り、企業経営者が生産を増やす意識を高めていることが窺える結果かと思います。 ドル円は長期金利の上昇と相まって、この欄でも何度も触れている114円台半ばから115円の重要なレジスタンス・ゾーンを果敢に攻めており、114円85銭までドルが買われました。まだ完全に抜け切れてはいないものの、115円を明確に超えるようだと、「これで上昇に弾みが付く」といった観測も高まり、ストップロスのドル買いも巻き込んで上昇する可能性もあります。114円台半ば近辺ではドルショートで何度も「おいしい思い」をして来た市場参加者も115円を超えたら「上値の蓋が外れた」と、これまでの予想レンジを上方修正してくることが考えられるからです。 ユーロドルでも1.13割れを試す水準まで売られ、昨日のNY市場は急速にドル高へ傾いた印象でしたが、「超タカ派」のブラード・セントルイス連銀総裁の発言もドル高に拍車をかけたようです。ブラード総裁は16日、インフレ率の急上昇に対応して金融当局は刺激策の縮小を加速すべきだとの見方を示しました。同総裁は「インフレのリスクを適切に管理するためには、FOMCは次の会合でよりタカ派的な方向に進むべきだ」と述べています。さらに、「これまでも提案してきたが、議論したいもう一つの案は、テーパリングが終わった時点で決定を待たずにバランスシートのランオフ(償還に伴う保有資産の減少)を認めることだ」とし、「これを行えば、若干ながらよりタカ派的な政策となると思う」と語っています。(ブルームバーグ) 昨日の米中首脳会談は「旧友に会えたようで、嬉しい」などと、なごやかに始まったものの、結局人権問題や台湾問題など重要な部分では双方の主張が並行線をたどり、これといった成果はなく終わった印象です。特に台湾問題について習主席は、「レッドラインを突破すれば、われわれは断固とした措置をとらざるを得ないだろう」と述べ、台湾独立を支持するバイデン政権には一歩も譲る意志のないことを鮮明にしていました。お互いに「軍事衝突は避けたい」という考えがあることは確認できたものの、今後の米中関係改善の兆しは見えてきませんでした。来年2月の冬季北京オリンピックでは、中国側がバイデン大統を招待するとの報道もありましたが、先行きは極めて不透明です。 バイデン大統領はFRB議長人事について、指名発表は「あと4日後になる見込みだ」と記者団に述べています。そうなると、今週末あたりに発表される公算が高いと見られますが、候補者としては、パウエル氏の続投か、ブレイナード理事を指名するかどうかの選択とみて間違いないと思われます。注意したいのが、仮にブレイナード氏が次期FRB議長に指名された場合、同氏はややハト派寄りと見られていることから、長期金利が低下しドルが売られる可能性がある点です。もっともその場合、株式市場が好感して株高となり、リスクオンが強まることになり、その面から円が売られることも考えられなくはありません。 本日は114円40銭~115円20銭程度を予想しますが、115円の攻防が見られるのかどうか、注目です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京タイムから欧州にかけては114円台前半で推移していたドル円は、NYでは114円台半ばを抜け、114円85銭まで上昇。2017年4月以来となるドル高を示現。ユーロドルも続落。1.1309前後まで売られ、こちらは1年4カ月ぶりの安値を記録。
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2021-11-17 10:15