【為替本日の注目点】トルコ中銀3カ月連続で利下げを断行

ドル円は小刻みに買戻しが入り、NYでは114円48銭まで上昇。失業保険申請件数など、経済指標が好調だったことも支えに再び114円台半ばを回復。ユーロドルも買い戻され終始1.13台で推移し、1.1374まで上昇。株式市場はまちまち。ダウは60ドル下げたもののハイテク株は上昇し、ナスダックとS&P500は上昇。S&P500はわずかに最高値を更新し、これで今年に入って66回目の更新となる。債券相場はほぼ横ばい。長期金利は1.58%台で推移。金は反落し、原油は上昇。 新規失業保険申請件数         →  26.8万件 11月フィラデルフィア連銀景況指数  →  39.0 10月景気先行指標総合指数      →  0.9% ドル/円     114.16 ~ 114.48 ユーロ/ドル   1.1327 ~ 1.1374 ユーロ/円    129.46 ~ 129.94 NYダウ    -60.10 → 35,870.95 GOLD     -8.80 → 1,861.40ドル WTI      +0.63 → 79.01ドル 米10年国債  -0.003 → 1.585% 【本日の注目イベント】 日   10月消費者物価指数 独   独10月生産者物価指数 英   英10月小売売上高 欧   ユーロ圏9月経常収支 米   ウォラー・FRB理事講演 米   エバンス・シカゴ連銀総裁、イベントで講演 米   クラリダ・FRB副議長講演(オンライン) 加   カナダ9月小売売上高  トルコ中銀は予想通り政策金利を「1.0%」引き下げ、「15.0%」にしました。これで3カ月連続の利下げとなり、この間の下げ幅は「4.0%」に達しています。また市場は12月会合でも引き下げることを見込んでいます。世界中で急激にインフレが高まっていることに対応するため政策金利の引き上げが続く中、トルコ中銀だけはエルドアン大統領の利下げ圧力に屈した形で政策金利の引き下げを続けています。エルドアン氏は前日の議会での演説でも「金利引き下げの闘いを、自分が大統領である限り続けていく」と明言しており、今後も利下げ圧力は続くと見られます。利下げを受けて、通貨リラの下落が止まらず、リラ円は一時初めてとなる10円を割り込む場面もありました。一方で、国内のインフレは20%に迫る水準まで進んでおり、国民は輸入物価の上昇に厳しい生活を余儀なくされているようです。リラは対米ドルでの下げが一段と進み、街の両替店では持っているリラを米ドルに交換する国民も多く見られるとの報告もあります。  また「リラ売りドル買い」を最も活発化させているのは投機筋ではなく、トルコ国民だといった笑えない事実もあるようです。トルコ中銀の政策委員会は声明で、「金融政策の統制が及ばない供給サイドの要因による物価上昇への一時的影響は来年前半いっぱい続くと見込んでいる」とし、「そのため利下げ打ち切りを来月検討することになるだろう」と説明しています。  バイデン大統領は18日、カナダのトルドー首相と会談するにあたって記者団の質問に応じ、来年2月に開催される北京冬季オリンピックを外交的にボイコットすることを「検討中」であることを認めました。米国の一部議員が、最近の中国の経済的および軍事的な行動のほか、香港や新疆ウイグル自治区における人権侵害に対する非難を示す手段として、オリンピックボイコットを求めていたことに応じたものです。(ブルームバーグ)先週には中国側が、バイデン大統領を開会式に招待するのではといった報道もありましたが、仮にボイコットが決まれば、1980年の「モスクワ五輪」以来の不参加ということになるのでしょうか。  ウイリアムズNY連銀総裁は18日の講演で、「米国の長期インフレ期待はかなり上昇した」との認識を示し、「長期インフレ期待のさらなる上昇は望ましくない」と述べています。同総裁は足元の物価上昇は一過性であり、来年半ばまでには鎮静化するとの考えを示していましたが、10月のCPIが年率で「6.2%」上昇した現実を受け止め、やや認識を変えて来たような感があります。またシカゴ連銀のエバンス総裁は依然としてハト派姿勢を崩しておらず、利上げ時期について、「資産購入プログラム終了後の来年に始まるか、2023年にずれ込む可能性がある」と述べ、最近の物価上昇については、「こうした大幅上昇は剥落し始めるだろう。インフレ率を2%に近づける可能性のある多くの要因があると考える」と語っています。  113円台後半まで売られたドル円は、1日で114円台半ばまで反発してきました。焦点は再び115円をテストする動きになれるのかどうかです。言い換えると、115円手前から一気に114円割れまで落とされたドル円が、再び115円を試すような動きを見せるということは、「ドルは上昇したがっている」と見ることもできます。一方最近の動きの中で、一気に1円を超える程のドル売りに押された事実は「重い」と言うこともでき、ここからの動きに注目です。FRB議長人事を巡って、バイデン大統領は今日にも次期議長名を発表するかもしれません。個人的にはパウエル氏を支持していますが、何の根拠もなく漠然と、ブレイナード氏が指名されるのではないかと予想しています。ハリス副大統領、イエレン財務長官、さらには来日中のキャサリン・タイUSTR代表。全て、米国史上初の女性登用であり、しかもかなり重要な職位です。女性に優しいバイデン大統領であれば、ブレイナードFRB議長の誕生もあるのでは、と勝手に思い巡らせています。ブレイナード氏が「ハト派寄り」な点には注意です。  本日のドル円は113円80銭~114円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小刻みに買戻しが入り、NYでは114円48銭まで上昇。失業保険申請件数など、経済指標が好調だったことも支えに再び114円台半ばを回復。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-19 10:30