【為替本日の注目点】オミクロン株への不安、一旦和らぐ

ドル円は反発し上昇したものの、114円には届かず。米長期利が上昇し、変異株に対する不安がやや和らいだことで円が売られた。ユーロドルは1.12台半ばから後半でもみ合い。株式市場は反発。バイデン大統領の「パニックになる必要はない」とのコメントも支えとなり、3指数とも大幅に上昇。ナスダックは先週末の下げを8割程埋める291ポイント高。債券は反落。長期金利は1.56%近辺まで上昇し、1.5%台で取引を終える。金は小幅に反落し、原油は反発。 10月中古住宅販売成約件数    → 7.5% ドル/円  113.53 ~ 113.96 ユーロ/ドル 1.1259 ~ 1.1293 ユーロ/円  127.94 ~ 128.37 NYダウ  +236.60 → 35,135.94 GOLD -2.90  →  1,785.20ドル WTI  +1.80  →  69.95ドル   米10年国債 +0.026 → 1.499% 本日の注目イベント 豪 7-9月期経常収支 豪 10月住宅建設許可件数 日 10月失業率 日 10月鉱工業生産 中 11月中国製造業PMI 中 11月中国サービス業PMI 独 11月雇用統計 欧 ユーロ圏11月消費者物価指数(速報値) 米 11月ミシガン大学消費者マインド(速報値) 米 11月消費者信頼感指数 米 9月FHFA住宅価格指数 米 9月ケース・シラ-住宅価格指数 米 パウエル議長とイエレン・財務長官、上院で証言 米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶 米 クラリダ・FRB副議長とメスター・クリーブランド連銀総裁、FRBの独立性巡り討論  新型コロナウイルス「オミクロン株」への不安は一旦和らいだようです。先週末大きく下げたNY株式市場は、朝方から大幅に反発し、引け値でも主要3指数が揃って大幅高でした。バイデン大統領は29日ホワイトハウスで、新型コロナウイルスの新たな変異株への対応で必要とあれば新しいワクチンやブースター(追加免疫)接種の開発を急がせるが、そういった追加の措置は必要ないというのが現時点での当局者らの考えだと述べ、「この変異株は懸念すべきだが、パニックの必要はない」と発言しています。  週明けの動きが注目されていた昨日の朝方の東京市場でしたが、ドル円は早朝から113円70銭台近辺で推移しており、落ち着いた動きを見せていました。東京株式市場の方も、朝方には売られましたが、昼前にはプラスに転じる場面もあり、こちらも先週末のような混乱には至らなかったようでしたが、引けにかけて下げ幅を拡大し、結局467円安で取引きを終えました。ちょうどこのタイミングでドル円も下げ足を速め、瞬間でしたが、113円を割り込む局面もありました。NYでは長期金利が一時1.56%台まで上昇したこともあり、ドルは反発し、114円台回復には至っていませんが、113円96銭までドルが買い戻されています。  ただ、今回の「オミクロン株」の出現はまだ始まったばかりです。専門家の間でも「データが少なく、今後の予想も難しい」といった声が多く、まだまだ予断は許しません。一方で今回の新たな変異株に対する各国の対応は素早く、日本でも30日の零時から全ての国からの新規入国を停止する措置を決めるなど、迅速な水際対策を講じています。またファイザーやモデルナだけではなく、日本でも第一三共や塩野義といった製薬会社が「オミクロン型」へのワクチン開発に着手しています。変異株「オミクロン」の存在を最初に指摘した南アフリカの科学者らは、「オミクロンは他の変異株に比べて感染力が強い様子だが、既存のワクチンに重症化や死亡を防ぐ効果は十分にある可能性が高い」との見解を示しています。さらに「G7」は緊急保健相会合を開き、「オミクロン型」への対応で連携を強める方針を確認しています。ゲノム解析など、「オミクロン型」への免疫学的データや検証結果は、今後1~2週間たてば、ある程度集まるとの見方もあるようです。  パウエルFRB議長は上院銀行委員会で本日(30日)証言を行うことになっていますが、公聴会に先立ち証言テキストが発表されています。パウエル議長はその中で、「このところの新型コロナ新規感染の増加とオミクロン株の発生は、雇用と経済活動に下振れリスクとなるとともに、インフレ動向を巡る不確実性の高まりをもたらした」と指摘し、「ウイルスに関する懸念が強まれば、対面での勤務の意欲がそがれ、労働市場の前進を遅らせてサプライチェーンの混乱を深めることになる」と説明するようです。議長が新たな変異株について発言するのはこれが初めてです。(ブルームバーグ)公聴会では、さらに足元の物価上昇に対する見方やテーパリングの終了時期、あるいは利上げのタイミングに関する質問なども予想され、市場への影響が強まることも予想されます。  115円台半ばから113円割れまで、わずか3営業日で2円50銭を超える下げとなったドル円ですが、やはり下落スピードの早さは相変わらずです。ここから再び115円台乗せがあるのか、あるいはもう一段下げて112円割れを試すのか、現時点では不透明感が強く、何とも言えません。上でも触れたように、「オミクロン株」の猛威に翻弄され再び世界的に警戒感が強まり、ロックダウンなどの厳しい措置が取られるかどうにかかっていますが、最大の朗報は「既存のワクチンでも有効」だというデータです。ここしばらくは神経質で値幅も大きな動きが予想されます。いよいよ12月に入ることもあり、ポジション管理には注意してください。 本日のドル円は113円40銭~114円30銭程度を想定します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は反発し上昇したものの、114円には届かず。米長期利が上昇し、変異株に対する不安がやや和らいだことで円が売られた。ユーロドルは1.12台半ばから後半でもみ合い。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-11-30 09:45