【為替本日の注目点】オミクロン株への過度の懸念やや後退

東京市場で113円台を回復したドル円はNYの朝方には売られ、112円74銭を付ける。その後FOMCメンバーのタカ派的な発言がドル買いを促し、113円24銭近辺まで買われる。ユーロドルも朝方は1.13台半ばまで上昇したが、その後1.13を割りこむ水準まで下落。株式市場は大幅に反発。連日の下げから押し目買いが入りダウは617ドル高。他の主要指数も大幅に上昇。債券は反落。長期金利は1.44%台と前日の水準まで上昇。金は大幅に反落。原油は反発。 新規失業保険申請件数      → 22.2万件 ドル/円     112.74 ~ 113.24 ユーロ/ドル   1.1295 ~ 1.1347 ユーロ/円    127.74 ~ 128.12 NYダウ   +617.75 → 34,639.79 GOLD    -21.60 → 1,762.70ドル WTI      +0.93 → 66.50ドル 米10年国債  +0.041 → 1.444% 【本日の注目イベント】 中   11月財新サービス業PMI 中   11月財新コンポジットPMI トルコ 11月消費者物価指数 独   11月製造業PMI(改定値) 欧   ユーロ圏10月小売売上高 欧   ユーロ圏11月コンポジットPMI(改定値) 欧   ユーロ圏11月サービス業PMI(改定値) 米   11月雇用統計 米   11月ISM製造業景況指数 米   10月製造業受注 米   11月マークイットサービス業PMI(改定値) 米   11月マークイットコンポジットPMI(改定値) 米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演 加   11月就業者数 加   11月失業率  新型コロナウイルス「オミクロン株」を巡る見方はまだ定まっておらず、ある程度各種のデータに基づいた分析結果が出て来るには、まだ1~2週間はかかりそうです。日本も含め、これまでに同変異株に感染した人の症状は概ね軽いということが分かっており、感染力は当初言われたほど強くはないのではないかといった見方がある一方、南アフリカの科学者は、変異株の症状が、軽症のケースだけかどうか判断するのは時期尚早だと警告しています。米国では2例目と3例目となる変異株の感染が確認されています。  2例目はミネソタ州在住の成人男性で、ワクチンは接種済みで、11月22日に軽い症状が現れて24日に検査を受けたようです。すでに症状はないと報告されています。また3例目はコロラド州に住む女性と報告され、詳しい状況ははっきりしていません。  「オミクロン株」を巡る過度のリスクオフの流れは一旦落ち着き取り戻した兆候もあります。昨日のNYでは主要3指数が揃って反発を見せ、大幅高で取引を終えています。ドル円は昨日の東京時間では底堅く推移し、午後には113円台を回復しました。NYでは朝方ドル売りで始まりましたが、その後再び113円台に押し返されています。米金融当局が今月のFOMCでテーパリングを加速させる議論を行うと見られることもドルの支援材料になっています。FOMCメンバーから発せられる言葉からも、「タカ派的」に変わってきたことがうかがえます。アトランタ連銀のポスティック総裁は2日、資産購入を来年1-3月期に向けて終わらせることは「われわれの利益にかなう」と述べています。  同総裁は講演後の質疑応答で、「利上げ前倒しが適切となるかもしれない」と発言し、「そうだとすれば、その選択肢がなくてはならない」と語り、新型コロナウイルスの新たな変異株が与える影響については、「まだ結論を導き出すには早すぎる」と答えています。またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁も、「テーパリングのペースをこれまでの想定よりも加速させることには賛成だ」と述べ、クオールズFRB理事も同様な見方を示しています。  OPECと非OPEC主要産油国で構成される「OPECプラス」は2日、生産引き上げ計画の継続で合意しました。1月も原油供給を日量40万バレル増やす計画で合意しましたが、オミクロン変異株が需要に及ぼすリスクが明確になれば、供給拡大を見直し、必要に応じて調整を行うと、コミュニケに記してあります。原油の専門家は今回の会合では供給拡大が見送られると予想していました。この結果を受けWTI原油先物価格は1ドル近く上昇して取引を終えています。85ドル台まで上昇したWTI原油価格は、米国の備蓄放出宣言や、オミクロン変異株の発生で64ドル台まで急落しました。米国のインフレ率の上昇にもややブレイキがかかるかもしれません。  ドル円は113円を挟んで一進一退の動きになっています。今週に入り、それまでの115円台から一気に112円台半ばまで売られましたが、その水準では底堅い印象も徐々に形成されつつあります。もっとも、今後の「オミクロン株」の感染次第では再度下値を探る動きもあろうかと思いますが、特徴的なのは値動きが早く、値幅も結構出て来たということです。もう1~2週間はこのような神経質な展開が予想されます。10日後には今年最後のFOMCが開催され、「オミクロン株」の感染状況次第では、タカ派的な発言も再度静まる可能性もありますが、その確率は低いと言えます。既に2022年には3回の利上げを予想する機関も出ています。  本日の雇用統計の結果がそれを正当化することも考えられ、ドル円が再び115円を目指す可能性も当然残っているとみて います。  本日のドル円は112円50銭~113円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
東京市場で113円台を回復したドル円はNYの朝方には売られ、112円74銭を付ける。その後FOMCメンバーのタカ派的な発言がドル買いを促し、113円24銭近辺まで買われる。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2021-12-03 10:00