【為替本日の注目点】ファウチ発言からドル円113円台半ばを回復

ドル円は112円台から大きく上昇。オミクロン株感染者の重症度がそれほど高くないとの報道から長期金利が上昇。ドル円も引っ張られる形で113円55銭まで買われた。ドル高が進み、ユーロが売られたものの、ユーロドルは1.1266と、前日と同水準をキープ。株式市場は3指数が揃って大幅に反発。オミクロン株への過度の不安が後退したことでダウは646ドル上昇。債券は大幅に下落。長期金利は大きく上昇し1.43%台を回復する。金は反落。原油はオミクロン株への懸念が後退したことで需要が高まるとの見方から3ドルを超える上昇。
ドル/円 113.09 ~ 113.55
ユーロ/ドル 1.1266 ~ 1.1307
ユーロ/円 127.65 ~ 128.08
NYダウ +646.95 → 35,227.03
GOLD -4.40 → 1,779.50ドル
WTI +3.23 → 69.49ドル
米10年国債 +0.091 → 1.434%
【本日の注目イベント】
豪 第3四半期住宅価格指数
豪 RBA、キャッシュターゲット
日 10月景気先行指数(CI)(速報値)
日 10月景気一致指数
中 11月外貨準備高
中 11月貿易収支
独 12月ZEW景気期待指数
独 10月鉱工業生産
欧 ユーロ圏7-9月期GDP(確定値)
米 10月貿易収支
米 10月消費者信用残高
米 米ロ首脳会談(オンライン)
加 10月貿易収支
ドル円は再び113円台半ばまで反発してきました。米疾病対策センター(CDC)のファウチ所長が、「明確な見解を示すには時期尚早だが、感染者の重症化の度合いはそれほど高くないようだ」と述べたことで、オミクロン株へ警戒感が後退し、NY株式市場では3指数が揃って大きく上昇。債券市場では債券が売られ、先週末には1.31%台まで低下した長期金利が1.43%台まで上昇。これがドル円を押し上げ、一時は113円55銭までドルが買い戻されています。
日足チャートを見れば一目瞭然ですが、ここ5日間、ドル円は下値を試してきましたが、全て112円50-80銭で下落が止められ反転していることが確認できます。オミクロン株への不透明さからドルの上値が重い展開が続いているのも事実ですが、一方でドルが思いのほか底堅い動きを見せているのも事実です。昨日のファウチ所長の発言は、まだ免疫学的あるいは医学的な信頼できるデータによる裏付けはないとは思いますが、「米国を代表する専門家」の意見として強い味方になったようです。ドル円はこの先、115円台を回復するのか、あるいは10月8日以来となる112円割れを示現するのか判断が難しいところですが、ドル上昇の材料となるのは、テーパリングの加速とその後の利上げ観測の前倒しがあります。一方、112円割れへの材料とすれば、オミクロン株の感染拡大が最も大きな材料でしょう。感染が拡大すれば、ロックダウンなど行動制限がひかれ、景気下振れの可能性が高まります。景気減速から株価が下げ債券が買われ金利が低下することに伴って、ドルが下落するといった構図です。従って、オミクロン株の感染が抑制されるか、有効性の高いワクチンの開発あるいは既存ワクチンの有効性が確認されれば、全く逆の動きが想定されることになります。もっとも、それによって利上げ観測がさら高まることになれば、株価の上昇にブレイキが掛かることも予想され、「リスク回避の円買い」につながるシナリオも否定できません。この辺りが足元のボラティリティーの高さにつながっており、例年クリスマスから年末にかけて見られる静かな動きとは異なっています。
ホワイトハウスのサキ報道官は、来年2月に行われる北京冬季オリンピック・パラリンピックに政府使節団を派遣しない「外交的ボイコット」を行うと発表しました。その理由として、人道に対する罪など人権侵害に関する懸念を挙げ、「バイデン政権は新疆ウイグル自治区で中国が続けるジェノサイド(民族大量虐殺)や人道に対する罪など人権侵害を考慮し、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックに外交や公式の代表を派遣しない」と記者団に語りました。「外交的ボイコット」では選手団は派遣するようですが、今回のボイコットが米中間の新たな「火種」になりそうです。中国外務省は直ちに、米国がボイコットすれば報復措置に踏み切ることを発表しています。
中国人民銀行は6日、景気減速に対応するため大半の銀行を対象に今月15日から預金準備率を0.5%引き下げると発表しました。今年2度目の引き下げになりますが、中国恒大集団など、大手不動産開発会社の経営危機が表面化し、さらなる景気の下振れを防ぐ狙いがあるようです。預金準備率は、市中の銀行が中央銀行に強制的に預金を預けなければならない割合のことで、これを引き下げることは市中に資金を供給することと同じ効果が期待できます。人民銀行は引き下げについて、「定期的な金融政策行動」だとして、今回の決定が緩和局面の始まりだとの見方を牽制しています。(ブルームバーグ)先週3日には李克強首相が、預金準備率を適切な時期に引き下げると述べていました。
本日のドル円は堅調な動きを予想しますが、これまで上値を抑えられてきた113円60-90銭の水準を抜けるかどうかがポイントでしょう。オミクロン株に関する情報次第で一気にセンチメントが変わってしまう地合いが続いていますが、一方的な相場観を持つのもややリスクがあります。
ドル円は113円~113円90銭程度を予想しています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は112円台から大きく上昇。オミクロン株感染者の重症度がそれほど高くないとの報道から長期金利が上昇。ドル円も引っ張られる形で113円55銭まで買われた。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-12-07 10:15