【為替本日の注目点】中国恒大集団一部デフォルトに

ドル円は売られ113円27銭まで下落。長期金利の低下やコロナ感染に伴う英国での規制強化を受けて円を買う動きが強まった。ユーロドルは1.13を挟みもみ合う。株式市場は反落。変異株に対する制限措置が経済に及ぼす影響が意識され、ダウはほぼ横ばいながらナスダックは269ポイント下げる。債券は反発。長期金利は低下し、1.5%台を割り込む。金は3日ぶりに反落。原油価格も4日ぶりに下落。
新規失業保険申請件数 → 18.4万件
家計純資産(3Q) → 2326b
ドル/円 113.27 ~ 113.65
ユーロ/ドル 1.1279 ~ 1.1320
ユーロ/円 127.93 ~ 128.39
NYダウ -0.06 → 35,754.69
GOLD -8.80 → 1,776.70ドル
WTI -1.42 → 70.94ドル
米10年国債 -0.022 → 1.499%
【本日の注目イベント】
独 11月消費者物価指数(改定値)
英 10月鉱工業生産
英 10月貿易収支
米 11月消費者物価指数
米 12月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 11月財政収支
中国恒大集団が流動性危機の中で初めて、デフォルトに陥りました。6日に猶予期間が終了したドル建て債の利払いが確認できなかったことにより、格付け会社フィッチ・トレーティングは同社の格付けを「一部債務不履行(RD)」に引き下げました。フィッチはまた、同業の佳兆業集団の格付けも「RD」に引き下げています。
中国人民銀行の易綱総裁は9日、「不動産開発大手の中国恒大集団が債務を履行出来ないのは市場の問題であり、市場に基づくやり方で扱われることになる」と述べ、中国当局は3000億ドル(約34兆円)の負債を抱える中国恒大を救済するつもりはないことを、あらためて示唆したものと、ブルームバーグは伝えています。これまで何度か流動性危機が伝えられてきましたが、何とかしのいできたものの、今回デフォルトに認定されたことで、中国の不動産バブルに対する警戒感が高まりそうです。現時点では、「中国の国内問題」に留まっているようですが、今後どのように金融市場に伝播して来るのか注意が必要かと思います。
米ファイザーが暫定結果としながらも、ワクチンのブースター(追加免疫)接種の有効性を発表したことや、南アフリカの最大民間病院ネットワークを運営する「ネットケア」の「患者にみられる症状は、これまでのものに比べはるかに軽い」との報告により、オミクロン株への警戒感がやや後退していましたが、昨日の海外市場では再びリスクオンの流れに傾き、NYでは株価が下げ長期金利の低下に伴い、ドル円は113円27銭近辺まで押し戻される局面もありました。前日には113円96銭まで上昇したものの114円台乗せには至っていません。来週のFOMCまでは、112円台半ばから114円程度のレンジ内で推移しそうな気配も漂ってきました。
バイデン大統領は9日、2日間の日程で「民主主義サミット」を開催しました。約110の国や地域が参加しましたが、権威主義国家とみなされている中国とロシアを念頭に置いたもので、両国はこのサミットに招待されていません。バイデン大統領はオンライン形式の中で、「われわれが見ているデータはおおむね間違った方向を示している」と指摘し、「民主主義的な価値観の後退がかつてなく複雑化している世界的な課題によって深刻化しつつある。こうした懸念に対応するには協調した取り組みが求められる」と述べています。
バイデン政権はこれに先立ち、2022年北京冬季オリンピック・パラリンピックに「外交的ボイコット」を行うことも発表し、これにイギリスやオーストラリア、ニュージーランドが同調する決定を行っており、中国の人権問題やロシアのウクライナ侵攻リスクに対して強い姿勢を見せています。こうした地政学的リスクや外交問題が折に触れて市場を揺るがす場面も、今後は予想されそうです。
今夜は米11月の消費者物価指数が発表されます。10月は「6.2%」と、1990年以来31年ぶりのインフレ率でしたが、今回はさらにこれを上回る物価上昇率が予想されています。市場予想は「6.8%」と見込まれており、この予想通りであれば、1982年以来の高い伸びとなります。その結果を踏まえて来週14-15日には今年最後のFOMCが開かれ、結果次第ではテーパリング加速の議論に大きな影響を与えるとみています。仮に予想を上回るようだと、利上げ観測が前倒しとなり、ドル円が上昇する公算が高いと思われますが、一方で株価が下げリスク回避の流れにつながる可能性もあり、注意したいところです。
本日のドル円は113円~113円90銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は売られ113円27銭まで下落。長期金利の低下やコロナ感染に伴う英国での規制強化を受けて円を買う動きが強まった。ユーロドルは1.13を挟みもみ合う。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-12-10 10:00