【為替本日の注目点】米11月のCPIは前年比で6.8%の上昇

ドル円は米CPIの発表を受け下落。113円22銭まで売られたがその後は小幅に反発して越週。ユーロドルは引き続き1.13を挟んでもみ合う展開。株式市場は3指数が揃って上昇。CPIは高水準だったものの、S&P500は44ポイント上昇し、3週間ぶりに最高値を更新。債券は小幅に続伸。長期金利は1.48%台へと低下。金と原油はともに上昇。
11月消費者物価指数 → 0.8%
12月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 70.4
11月財政収支 → -191.3b
ドル/円 113.22 ~ 113.77
ユーロ/ドル 1.1267 ~ 1.1324
ユーロ/円 127.81 ~ 128.40
NYダウ +216.30 → 35,970.40
GOLD +8.10 → 1,784.80ドル
WTI +0.73 → 71.67ドル
米10年国債 -0.015 → 1.484%
【本日の注目イベント】
日 10-12月期月日銀短観
欧 OPEC月報
注目された米11月の消費者物価指数は前月比で「0.8%」の上昇。前年同月比では「6.8%」と、10月の「6.2%」よりもさらに上昇し、39年ぶりの高水準でした。ただ、この数値は市場予想と合致し、「FRBの利上げをさらに前倒しするものではない」と、市場は受け止め株価が上昇。債券も買われ金利が低下したことで、ドル円は113円台前半まで下落しています。それでも、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数も「4.9%」と、30年ぶりの伸びを示し、FRBに対して金融引き締め圧力が強まり続ける可能性はありそうです。項目別では前月と同様に大半の分野で上昇が見られましたが、中でもガソリン、住居費、食品、自動車などの上昇が目立っています。今週火曜日からは今年最後のFOMCが開催されますが、先の議会証言でパウエル議長が証言したように、「テーパリングの加速について議論される」ことは間違いないようです。
11月のCPI発表を受けて、バイデン大統領はホワイトハウスで記者団に、「今が危機のピークだ。この状況は大半の人が考えているよりも早期に、かつ早いペースで終わるだろう」と語り、雇用や生産の伸びを挙げ「米経済におけるその他の側面はどれも急進展している」と指摘するなど、インフレは近いうちに鈍化するとの考えを示しています。一方専門家の間では、足元のインフレは来年1-3月まで続く可能性があるとの見方が優勢のようです。物価上昇の最大の要因は、コロナ禍から回復する過程で生じた深刻なサプライチェーンの問題であり、それがトラックのドライバー不足と相まって物流の混乱を通して著しい物価上昇を引き起こしていると見られます。懸念されるのは10日夜から複数の州で発生した竜巻の影響で、さらにサプライチェーンが混乱することです。ケンタッキー州では70人余りが死亡し、イリノイ州ではアマゾンの倉庫の一部が被害を受けています。ケンタッキー州では、「州の歴史で最も壊滅的な竜巻被害」だったと見られ、非常事態宣言が発令され、死者の数も100人を超える可能性があるようです。
オミクロン株による感染は日本でも4例が確認されていますが、英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院が11日に発表したリポートによると、英政府が追加的な予防措置を取らなければ、新型コロナウイルスのオミクロン変異株がイングランドで相次ぐ感染を引き起こし、今冬のコロナ死者が7万5000人近くに達する恐れがあると警告しています。同大学院のバーナード教授は、「マスク着用や社会的距離の確保、ブースター(追加免疫)接種は不可欠だが、それだけでは十分ではない可能性がある」と述べています。(ブルームバーグ)またイギリス保険安全局は、オミクロン株はデルタ株に比べ、再感染や家庭内感染のリスクが高いと報告しています。同局は初期段階の分析結果だとしながらも、オミクロン株の再感染リスクはデルタ株の5.2倍(3.4倍~7.6倍)となったことを発表しました。イギリスでは12日に確認されたオミクロン株の新規感染者数は1239人と、前日のほぼ2倍になっています。
イギリスのリバプールで開催された「G7外相会議」では共同声明で、「ロシアの軍備増強およびウクライナに対する攻撃的な発言を非難することで一致した」と表明しました。会合の主催国であるイギリスのトラス外相は、「緊張の段階的緩和や外交手段の模索、軍事活動の透明性に関する国際公約の順守をロシアに求める」と会合後の会見で語っています。バイデン大統領は主催した「民主主義サミット」に合わせ、米国に加えてオーストラリア、デンマーク、ノルウェーの4カ国が「監視技術の輸出を管理する多国間の枠組み」を正式に立ち上げ、中国の監視カメラ大手「ハイクビジョン」を念頭に、事実上輸出を禁止する措置を課しました。カナダ、フランス、オランダ、イギリスも支持を表明し、いずれ同枠組みに参加する見込みです。
S&P500が再び最高値を更新するなど、市場ではリスクを取る流れが徐々に高まってきました。利上げ観測が高まる一方で、利上げに踏み切ってもそのペースが緩やかになるといった見方や、大量の待機資金が相場を支えているとみていますが、ドル円の上昇は一服です。14-15日のFOMCまでは、112円50銭~114円前後での推移が続くと思われます。実際にはさらに値幅が限定されるとみています。
本日のドル円は113円10銭~113円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米CPIの発表を受け下落。113円22銭まで売られたがその後は小幅に反発して越週。ユーロドルは引き続き1.13を挟んでもみ合う展開。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-12-13 10:15