【為替本日の注目点】NYダウ大幅に続落

ドル円はリスク回避の流れから朝方は売られたものの、その後反発。米金利の上昇と、株価が下げ幅を縮小したことで113円77銭まで上昇。ユーロドルは1.13台から下げ、1.1269前後まで売られる。株式市場は続落。バイデン政権の税制・支出法案を巡る不透明感や、オミクロン株に対する懸念からダウは433ドル下げ、3万5000ドルの大台を割り込む。債券は反落。長期金利は小幅に上昇し1.42%台に。金は反落し、原油は大幅に続落。 11月景気先行指標総合指数      →  1.1% ドル/円  113.33 ~ 113.73 ユーロ/ドル 1.1269 ~ 1.1304 ユーロ/円  127.92 ~ 128.31 NYダウ  ―433.28 → 34,932.86 GOLD -10.30 →  1,794.60ドル WTI  -2.63  →  68.23ドル   米10年国債 +0.022 → 1.424% 本日の注目イベント 豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表 独 1月GFK消費者信頼感 米 12月消費者信頼感指数 米  経常収支(7-9月) 加 10月小売売上高  日米の株式市場でこの時期にしては珍しく、株価が大きく下げています。昨日の日経平均株価は600円を超える大幅な下げでした。NY株の大幅安を受けて下げ幅が拡大し、ドル円も「リスクオフ」から円が買われる場面もありましたが、来年には3度の利上げが見込まれることが「支え」となり、円買いドル売りは限定的でした。昨日のNYではさらに株が売られ、ダウは節目の3万5000ドルの大台を割り込んでいます。  オミクロン株への警戒感に加え、バイデン政権の税制・支出法案成立を巡る不透明感が広がり、主要3指数が揃って大幅に下落しています。民主党中道派のマンチン上院議員が、バイデン大統領の経済施策に盛り込まれた2兆ドル(約227兆円)規模の税制・支出法案について反対し、自身が望む変更内容を具体的に説明しました。同議員はバイデン大統領が交渉すると約束したにもかかわらず、数カ月前から反対している法案の条項を強硬に成立させようとしたことに強く反発しています。マンチン議員は、「税制をより公正なものに改正し、現行の法案よりも幅広く処方薬価格を引き下げるほか、規模を1兆7500億ドルに縮小する場合に限り支持する」と述べています。(ブルームバーグ)  イギリスでは新型コロナウイルスの新規感染者数が9万人を超え、オミクロン株がまん延しているようです。特にロンドンでは感染状況が深刻化しており、ジョンソン首相はロックダウンなどの行動制限を強化すべきかどうかの判断を迫られています。一方オミクロン株に対するワクチン開発や既存ワクチンの有効性に関する報告も相次いでいます。モデルナは、同社の新型コロナウイルスワクチンは3回目の投与によりオミクロン変異株に対する抗体レベルが上昇したと発表しています。発表によると、認可された量である50マイクログラムのブースター接種によって中和抗体が37倍増加し、100マイクログラムの場合、抗体レベルは2回接種の83倍に増加したと述べています。また同社はオミクロン株に特化したワクチンの開発も進めており、来年初めに臨床試験を開始する計画だと発表しています。  ドル円は昨日の午後、日本株が大きく下げたことに伴い113円34銭前後まで売られる場面がありましたが、来年にはFRBによる3回の利上げが見込まれていることが支えとなり、ドル売りの勢いも限定的でした。欧州市場に入ると、オミクロン株の感染拡大が続いていることでユーロやポンドがドルに対して軟調に推移したこともあり、ドル円も113円67銭まで上昇しましたが、上値も限られ小幅な値動きになっています。  そんな中、大きく動いたのはトルコリラです。トルコ政府が、為替変動からリラ建て預金を保護する新たな政策を導入すると発表したことで、ドル・リラは「18」近辺から「14.27」リラまで、12%ほど急反発する場面がありました。エルドアン大統領は「これからは誰も、為替レートに対する懸念を理由に預金をトルコ・リラから外貨に切り替える必要はなくなる」と主張しています。この発表後、リラ円も6円15銭近辺から8円台半ばまで大きく値を戻す場面がありました。トルコ政府が、「ハードカレンシーに対するリラの下げが、銀行が約束する金利を上回る場合、リラ建て預金者が被る損出を政府が保障する」というもののようです。この政策により、投機的なリラ売りは一旦縮小する可能性はありますが、高インフレが続き、実質金利がマイナス幅を拡大している状況を改善しない限り、根本的に通貨安を止めることはできないはずです。エルドアン大統領は前日、金融政策を正当化するために宗教を持ち出し、金利引き下げを、「私はイスラム教徒として実行し続ける」と述べ、イスラム教が高利貸を禁じていることを挙げていました。中銀による「市場介入」でも通貨安が止まらないリラに、異例とも言える政策がどこまで効果を発揮できるのか、注目したいと思います。 本日のドル円は113円20銭~113円90銭程度と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円はリスク回避の流れから朝方は売られたものの、その後反発。米金利の上昇と、株価が下げ幅を縮小したことで113円77銭まで上昇。ユーロドルは1.13台から下げ、1.1269前後まで売られる。(イメージ写真提供:123RF)
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2021-12-21 10:15