【為替本日の注目点】パウエル議長の公聴会を受け米国株反発

朝方115円68銭まで買われたドル円は、パウエル議長の公聴会での発言を契機に下落。長期金利が低下したことで115円28銭まで売られる。ユーロドルは上昇。1.13台に乗せ、1.1375まで買われ10日ぶりのユーロ高に。パウエル議長の公聴会の発言後株式市場は大幅に反発。議長がインフレ抑制に強い姿勢を示したことで主要3指数が揃って上昇。このところ軟調だったナスダックは1.4%の上昇を見せる。債券価格は上昇。長期金利は1.73%台に低下。金と原油は大幅高。原油は前日比3ドル近い上昇を見せ81ドル台に乗せる。
ドル/円 115.28 ~ 115.68
ユーロ/ドル 1.1313 ~ 1.1375
ユーロ/円 130.80 ~ 131.28
NYダウ +183.15 → 36,252.02
GOLD +19.70 → 1,818.50ドル
WTI +2.99 → 81.22ドル
米10年国債 -0.025 → 1.736%
【本日の注目イベント】
日 11月国際収支
日 12月景気ウオッチャー調査
中 12月消費者物価指数
中 12月生産者物価指数
欧 ユーロ圏11月鉱工業生産
米 12月消費者物価指数
米 12月財政収支
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
注目されたパウエル議長の公聴会での発言は、予想通りモデレートなもので、思ったほどタカ派的な印象を示さなかったことから株式市場は急反発しています。軟調な動きが続いていた株式市場の動きに配慮したわけではないとは思いますが、発言内容はインフレ抑制に強い姿勢を見せたことが好感されたようです。
議長は、「時間をかけて利上げを追加で実施する必要があれば、そうする」と述べ、「インフレを元に戻すために金融当局のツールを活用する」と語っています。また、「われわれが望むような参加率が高い非常に力強い労働市場を得るには、長期の景気拡大が必要になる」と指摘し、その上で、「長期の景気拡大を実現するには、物価安定が必要になる。高インフレは最大雇用達成への深刻な脅威になると言える」と述べています。バランスシート縮小について問われると議長は、「今年のある時点で自然減少させ始める」と答え、「バランスシートの規模がかなり大きくなっているため、自然減少も速いペースで可能になる。早く開始し、速いペースで実行するだろう。そこまでははっきりしている」と述べるにとどまり、時期については言及しませんでした。
この日は他のFOMCメンバーの発言も多く、カンザスシティー連銀のジョージ総裁は、「当局が金融緩和解除への道筋を描く中で、早めにバランスシートを自然減少させることが望ましいと、私自身は考えている」と述べ、「インフレ率が40年ぶりの高水準付近にあり、需要の伸びにも相当な勢いが見られる。また労働市場の引き締まりを示す兆候とリポートの数も多い。そうした状況を踏まえると、現在の極めて緩和的な金融政策スタンスは経済見通しと一致していない」と指摘しています。またアトランタ連銀のポスティック総裁もブルームバーグとのインタビューで、「インフレが制御不可能とならぬようにするため、当局には行動の用意がある。それが私や同僚の発言で人々に伝えるべき最も重要なメッセージだ」と述べ、3月にも利上げを開始し、その「かなりすぐ」後にバランスシートの削減に着手する必要があるかもしれないとの考えを示しています。(ブルームバーグ)この他にも、クリーブランド連銀のメスター総裁も、3月の経済状況が現在と同様であれば、同月のFOMCの会合で利上げを支持する意向を示していました。
こうしてみると、多くのFOMCメンバーが3月利上げ開始を支持し、バランスシート縮小に関しても早期に行うことが適切だといった認識を示しており、ある意味、この日のパウエル議長の発言内容が最も「ハト派的」だった印象です。
発言後、115円半ばまで反発していたドル円は長期金利が低下したこともあり、115円台半ば超えから40銭程下げています。全体的に見れば、今回の公聴会での発言は、これまでと同様、そつがなく、「及第点」だったと言えます。次の市場の関心は、本日の米12月のCPIに移ります。
ドイツ連銀の総裁に就任したナーゲル新総裁は11日のスピーチで、「信頼のためには金融政策が物価安定目標に焦点を絞ることが特に重要だ」とし、「従って、中央銀行は独立性を維持し、責務を狭義に解釈すべきだ」と語っています。ユーロ圏のインフレ率が昨年12月には5%に達したことに関しては、現在の物価圧力には一過性の要因があると認め、不確実性があると指摘する一方で、「不確実性にもかかわらず、一つだけ明確なことがある。物価安定のために必要であれば、ECB政策委員会は行動し、金融政策の道筋を調整しなければならない」と強調しています。
本日は日本株も反発すると見られますが、ドル円はひとまず115円割れは避けられた印象です。ただ、今夜の米CPIの数字次第では再び株価が軟調となり、リスクオフの円買いに傾く可能性はあります。予想レンジは、114円80銭~115円70銭程度とみます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
朝方115円68銭まで買われたドル円は、パウエル議長の公聴会での発言を契機に下落。長期金利が低下したことで115円28銭まで売られる。ユーロドルは上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-01-12 10:00