財務体質が強固な高収益力の銘柄に長期投資、「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド」のゆるぎなき投資戦略

大和アセットマネジメントが設定・運用する「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド(資産成長型)」は、2021年5月18日の設定来、11月末までに基準価額は10%超の上昇を実現し、類似ファンド(国際株式・グローバル・含む日本・為替ヘッジなし=カテゴリー平均)を上回り、好調なスタートを切った。同ファンドの運用について、実質的な運用を担っているウォルター・スコット・アンド・パートナーズ・リミテッドのクライアント・サービス部 日本ビジネス推進役の多次貴志氏(写真)に聞いた。
◆「持続的な成長力を有する企業」に厳選投資
「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド(資産成長型)」は設定来のパフォーマンスで、類似ファンド分類(モーニングスターインデックス国際株式・グローバル・含む日本・為替ヘッジなし/類似)をアウトパフォームし、参考指標である「MSCIワールド・インデックス(配当込み、円ベース)」も上回る成績を残している。この背景について、多次氏は、「多様な経済環境でも適応することが出来る優良企業のポートフォリオを維持することで好調なスタートをきったものと考えられます」と語っている。
同ファンドは、日本を含む世界の株式を投資対象とし、「持続的な成長力を有する企業」に厳選投資している。投資先企業の選定にあたっては、(1)成長力があること、(2)収益力があること、(3)財務体質が強固であること、(4)ESG(環境・社会・企業統治)の観点――を重視している。
ESGに関しては、「社会に貢献しない企業やガバナンスに問題がある企業が永続的に利益を出し続けることは難しいと考えます。当社は長期投資を志向していますから、ガバナンスの弱い企業などは投資対象とはなりえません」としている。また、ROEの高い企業が投資対象になるが、同ファンドでは借入金が過大な企業は排除している。財務体質が強固で、かつ、自らの事業成長を、銀行借り入れ等に頼らず、事業で獲得したキャッシュフローの再投資で実現する、持続的成長が可能な企業を評価している。
このようなポートフォリオの特性から、投資環境の変化に強く、新型コロナウイルスの変異株の流行で先行きの不透明感が高まる中にあっても、しっかりした競争優位性を確保できたものと考えられる。
◆長期の運用実績では市場下落時に強い下値抵抗力
同ファンドと同様の運用戦略「Walter Scott Global Equity」は、1986年3月から35年あまりの運用実績がある。2021年11月末時点での設定来の年率リターン(米ドルベース)は11.7%で、この間のMSCIワールドの9.1%を2.6%上回っている。また、リスク(標準偏差)も年率で13.2%と、MSCIワールドの14.6%を下回り、非常に効率の良い運用を実現している。
類似戦略のパフォーマンスは、「ITバブル崩壊(2000年)」や「リーマンショック(2008年)」などの市場の大きな下落時において、下落率が比較的小さく、かつ、下落からの回復スピードが速いという特徴がある。たとえば、「リーマンショック」時には2007年10月の高値から最大下落率はMSCIワールドでマイナス54%だったが、類似戦略の下落率は約38%にとどまった。このため、高値を回復するまでに要した期間も類似戦略は38カ月とMSCIワールドの66カ月より約2年半程度短い期間だった。この下落時の強い特性によって、類似戦略を5年間保有した場合、過去20年以上の全ての期間でプラスのリターンを確保している。
◆厳選銘柄を長期保有して長期的に優れたパフォーマンスを実現
ウォルター・スコット社は、1983年にスコットランドのエジンバラでウォルター・スコット氏によって設立された。「お客様の資産を守りながら、増やす」というシンプルな目標をかかげ、「企業が生み出す価値が株式のリターンに反映される」という信念を持って運用している。持続的に富を創出できる優れた企業を世界中から探しだし、分析を行い、投資をして、長く保有することで良好なパフォーマンスを実現してきた。類似戦略の過去5年間(2016年1月~2020年12月)の銘柄回転率は平均6.5%であり、保有銘柄の平均保有期間は12.5年と長期保有している。
ウォルター・スコットでは新たな投資銘柄を決める際には、リサーチチーム全員の合意というルールで運営している。約20人のチーム全員の合意を得るのは容易なことではないが、「お客様の大切な資金ですから、簡単なプロセスであるべきではないと考えます。新しい投資アイデアは経験も豊かで、様々な強みを持ったチームで徹底的に議論されます。そのチャレンジに耐えうるような企業でなければ、素晴らしい長期投資とはならない」(多次氏)との考えで、徹底している。
実際に、投資先企業に収益性や財務体質などで非常に高いハードルを設けているため、投資ユニバースは世界中の数万とある上場企業のうち約2000社程度になる。そのうち約500社について綿密なリサーチを行っており、そこからさらに厳選した約50社でポートフォリオを構築している。
多次氏は、「リサーチチームは『長年の運用哲学とプロセスをひたすら貫く』という確固たる信念で結ばれています。チームで意思決定をするというのはユニークですが、実に規律正しく運営されているのです」と、一貫した運用姿勢が優れたパフォーマンスにつながっていると胸を張る。
当面の運用環境について、新型コロナウイルスの変異株の影響が読めない不透明な環境にあるが、「外部環境が不安定な局面においては、通常のインデックス投資に比較して、追い風と言えるのかもしれません」という。同ファンドは、類似戦略の運用成績でもわかるように、「ITバブル崩壊」、「リーマンショック」などの外部環境が不安定な局面を克服してきた。このことは保有している企業の財務体質が強固で、収益力も高く、また、事業基盤もライバル企業より優位性があるので、経済が危機的な状況の時にも成功を続けて行くことが可能になるためといえる。これは単に企業が生き残るというだけでなく、弱い企業のビジネスを獲得する形でより高い成長につなげることが可能であるということを意味する。
また、世界的なインフレ懸念で利上げが進みそうな環境では、財務体質が強固で借金の少ない会社で高いROEを実現できている企業は、一般的なグロース株投資でよく言われる「借り入れが大きく金利上昇時に弱い」という事はあてはまらない。「ウォルター・スコットの運用哲学は、実際に効果を発揮しています。時間と辛抱を要する局面はあるかもしれませんが、現実に有効なのです」と語っている。(情報提供:モーニングスター社)
大和アセットマネジメントが設定・運用する「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド(資産成長型)」の運用について、実質的な運用を担っているウォルター・スコット・アンド・パートナーズ・リミテッドのクライアント・サービス部 日本ビジネス推進役の多次貴志氏(写真)に聞いた。
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2022-01-13 15:00