【為替本日の注目点】RBA今月で量的緩和を終了

ドル円は小幅に売られ、114円64銭まで下落。FOMCメンバーによる発言が、急速な利上げ観測を予想する市場の見方を牽制したことが背景。ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.12台半ばを中心に推移。株式市場では3指数が揃って3日続伸。エネルギー関連株などが買われ、ダウは273ドル高。債券は小幅に続落。長期金利は1.78%台へと上昇。金と原油は続伸。
1月ISM製造業景況指数 → 57.6
1月マークイット製造業PMI(改定値) → 55.5
1月自動車販売台数 → 1504万台
ドル/円 114.64 ~ 114.89
ユーロ/ドル 1.1234 ~ 1.1274
ユーロ/円 128.86 ~ 129.38
NYダウ +273.86 → 35,405.24
GOLD +5.10 → 1,801.50ドル
WTI +0.05 → 88.20ドル
米10年国債 +0.011 → 1.787%
【本日の注目イベント】
日 1月マネタリーベース
欧 ユーロ圏12月生産者物価指数
欧 ユーロ圏1月消費者物価指数(速報値)
米 1月ADP雇用者数
加 カナダ12月住宅建設許可件数
昨日の午後にオーストラリア中銀(RBA)の政策金利発表がありました。政策金利の据え置きと、毎週40億豪ドル(約3240億円)ペースで実施してきた債券購入プログラムを今月で終了すると発表しています。市場予想通りの内容でしたが、市場ではその後7-9月にかけて利上げを行うとのフォワードガイダンスも予想していましたが、RBAのロウ総裁は、「債券購入プログラムに基づく購入の終了は近い将来の利上げの可能性を示唆しない」と述べ、「インフレ率は上昇しているものの、目標レンジ内に持続的に収まると結論付けるには時期尚早だ。供給面の問題解消に伴い、インフレ上昇がどの程度続くかについては不確実性がある」と指摘し、市場の利上げ期待を打ち消す発言を行っています。この結果を受け、豪ドル円は81円台前半から80円台後半まで売られる場面もありました。ただ、それでもRBAは今年の第3四半期には利上げに踏み切るとの観測は根強くあるようです。
昨日のNYでは株価が3日続伸し、思った以上に買い戻しが進んでいます。アップルの好決算に続き、昨日はアルファベットが好決算を発表し、好決算銘柄が市場のセンチメントを好転させているようです。日中は115円台に乗せる場面があったドル円はじり安の展開となり、NYでは114円64銭まで売られ、なかなか115円台を固める動きにはならない状況です。この日はFRBの利上げが加速するといった見方に水を差すような発言が相次ぎ、これが重石になりました。113円台半ば~115円台半ばでの推移が続き、今週末の雇用統計を見極める展開のようです。
カンザスシティー連銀のジョージ総裁はインディアナ州のエコノミック・クラブが主催したイベントで講演を行い、「バランスシートについて一段と積極的な措置を講じれば政策金利の道筋を浅めにすることができるかもしれない」と指摘し、「その一方で、比較的急勾配な利上げの道筋と比較的緩やかなバランスシート圧縮を組み合わせた場合、イールドカーブはフラット化し、特にコミュニティバンクなどの民間部門の金融仲介のインセンティブをゆがめる恐れがある」と述べました。タカ派的な発言が目立つ最近のFOMCメンバーの中では、やや異なった意見で、ハト派的と言えます。FRBがバランスシート圧縮を一段と強めれば、それほど積極的に利上げをせずに済ますことができるかもしれず、金融不均衡を回避することにもつながる可能性があると主張しています。
またフィラデルフィア連銀のハーカー総裁もブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、今年4回の「0.25%」の引き上げを支持するとしていますが、「0.5%」の引き上げが望ましいとは考えていないとの発言を行っています。ハーカー総裁は、「私としては3月の25bpを支持する。50bpもあり得るだろうが、そうするべきだろうか。現時点でそこまでは確信が持てない。今後約2週間にどのようなデータが示されるか見守る必要があるだろう」と述べています。さらにタカ派の代表格でもあるセントルイス連銀のブラード総裁もロイター通信とのインタビューで、3月と5月のFOMCでの利上げ決定が望ましいと述べる一方で、「50bpはわれわれの助けにならないと思う。少なくとも現時点で考える限り助けにならない。われわれは政策金利引き上げに規律あるアプローチを取ることができ、その予想は既に市場に織り込まれている」と説明しています。
緊張が続いているウクライナ問題を巡り、ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相が電話会談を行いました。ブリンケン氏は、ロシアに対して即時の緊張緩和とウクライナ国境からの軍撤収を求め、ウクライナの主権および領土保全に対する米国のコミットメントを改めて表明しました。両者は協議の継続では合意したものの、事態の打開には至らなかった模様です。イギリスのジョンソン首相は「深く憂慮すべき状態だ」と述べています。
日本でも3回目のワクチン接種が急速に進められていますが、米厚生省は米国の34州およびワシントンでは新型コロナウイルス感染による入院患者が減少していると発表しています。ニュージャージー州とメリーランド州では過去1週間で新規感染者数はそれぞれ31%減少し、首都ワシントン、コネティカット州ではそれぞれ26%減ったと報告されています。またNY州が公表したデータでは、数週間前のピーク時には約9万人に達していた新規感染者が1月31日には7119人と、92%減少したと、ホークルNY州知事が会見で述べています。オミクロン株が世界に先駆けて流行した南アフリカやイギリス、アメリカでは感染拡大がピークを超えた可能性がありますが、今しばらくはデータを慎重に分析する必要がありそうです。
本日のドル円は114円40銭~115円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に売られ、114円64銭まで下落。FOMCメンバーによる発言が、急速な利上げ観測を予想する市場の見方を牽制したことが背景。ユーロドルはやや水準を切り上げ、1.12台半ばを中心に推移。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-02 10:15