【為替本日の注目点】BOE2会合連続の利上げを決定

ドル円は小動きの中、円売りが優勢となり114円99銭まで上昇。株価の大幅安で円が買われる場面もあったが、米金利上昇の影響がより強まった。ユーロドルは大幅に続伸。ECBのラガルド総裁が年内の利上げを排除しない姿勢を見せたことで買いが膨らみ、1.1451まで上昇。株式市場は5日ぶりに大幅下落。ダウは500ドルを超える下げとなりナスダックは3.7%の大幅下落。経済指標の下振れや、欧州での中銀が利上げを加速させる動きに警戒感が強まった。債券は大幅安。長期金利は1.83%台へと上昇。金は反落。原油は大きく買われ、2014年以来となる90ドル台乗せを示現。 1月ISM非製造業景況指数           → 59.9 59.912月製造業受注            → -0.4% 1月マクイットサービス業PMI(改定値)    → 51.2 1月マークイットコンポジットPMI(改定値)  → 51.1 新規失業保険申請件数              → 23.8万件 ドル/円     114.74 ~ 114.99 ユーロ/ドル   1.1280 ~ 1.1451 NYダウ   -518.17 → 35,111、16 GOLD     -6.20 →  1,804.10ドル WTI      +2.01 →  90.27ドル 米10年国債  +0.056 → 1.831% 【本日の注目イベント】 豪  豪12月住宅建設許可件数 豪  RBA四半期金融政策報告 中  北京オリンピック開幕、ロシア大統領開会式参加 独  独12月製造業新規受注 欧  ユーロ圏12月小売売上高 米  1月雇用統計 加  カナダ1月就業者数 加  カナダ1月失業率 市場予想通り、BOEは政策金利を0.25%引き上げ、0.5%とすることを決定しました。これで2会合連続の利上げとなり、約18年ぶりのこととなります。また7%を超えるインフレ率を視野に、金融政策委員会メンバー9のうち、4人が0.5%の利上げを主張したことも明らかになっています。BOEのベイリー総裁は、「輸入インフレの一部が国内経済に定着し、高インフレが長期にわたって続くリスクに直面している」と語っています。世界的に進む急激なインフレに各国中銀は「インフレ阻止」を迫られていますが、これまでの「超低金利時代」は終焉を迎え、今後数年は「インフレとの闘いの時代」に突入したとみられます。 「2022年度の利上げない」と再三コメントしてきたECBのラガルド総裁も、押し寄せるインフレの波には抗しきれず、年内の利上げを排除しない姿勢に切り替えたようです。ラガルド総裁は政策金利の据え置きを決めた後の記者会見で、「昨年12月のわれわれの予想に比べ、インフレ見通しに対するリスクは特に短期的に上振れ方向に傾いている。現状および今後の起こりそうな事態について非常に注意を払っている」と述べ、これまで繰り返してきた「年内の利上げの可能性は低い」といった言葉を封印していました。その上でラガルド氏は、「3月の会合とその後の6月の会合が、ECBのフォワードガイダンスの3条件が完全に満たされたかどうかを判断するにおいて、極めて重要になる」と語っています。市場では、BOEの2会合連続の利上げの影響もあり、ECBも第3四半期には利上げに踏み切るとの観測が急速に高まってきました。ユーロドルはこの会見をきっかけに買われ、1.14台半ばまで上昇し、対円でも131円50銭台まで急騰しました。 ユーロやポンドなどが対ドルで上昇したことから、ドル円も円高圧力が強まる局面もありしたが、米金利の上昇が円の「強ぶくむ」流れを抑制しています。ドル円は「リスク回避の円買い」と「日米金利差による円売り」が引っ張り合う格好となりましたが、クロス円の買いもあり、やや円売りが優勢となり115円手前の水準までドル高が進んだものの、依然として大きな動きにはなっていません。ただユーロ円だけではなく、クロス円全般で円売りが強まってきたこともあり、再び「円独歩安」の展開になるのか注視したいところです。 「インフレの先進国」と言ったら、やや言い過ぎかもしれませんが、トルコの1月の消費者物価指数は何と、「48.69%」でした昨年12月が「36.08%」でしたが、それを大きく上回っていました。さらに大学教授らでつくる「ENAグループ」は、独自調査による1月のCPIは「115%」だったと発表しています。トルコでは原油高など資源高に加え、通貨安による物価上昇が追い打ちをかけている状況が続いています。本来なら「金利を引き上げて」投機的なリラ売りをくい止めなければなりませんが、トルコ中銀は昨年9月-12月に連続「利下げ」を行い、この間の下げ幅は5%に及んでいます。言うまでもなくエルドアン大統領の意向が強く働いているからですが、トルコのネバーティ財務相は日経新聞とのインタビューで、「利上げはあり得ない」と答え、「低金利で生産や輸出を拡大し、中長期的な為替相場と物価の安定を図るのが、新たなトルコ型成長モデルだ」と説明しています。また市場で「ドル売り・リラ買い」の為替介入を行ったことについても、否定はしませんでした。 イエレン財務長官は、約40年ぶりの物価高騰をあおったとして多くの批判を浴びているバイデン政権主導の包括的な景気刺激策について、「2021年3月に成立した1兆9000億ドル(約217兆円)規模の米国救済計画(ARP)はそのために必要な規模であり、使命を果たした」と擁護する一方、「物価上昇を『一過性』と表現したのは誤りだった」と認めています。(ブルームバーグ) ドル円は、引き続き株価の下落に伴う「円買い」と、米金利上昇に伴う「円売り」との綱引きが続きそうです。 本日のドル円予想は雇用統計が発表されることもあり、114円50銭~115円50銭とややワイドにみています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小動きの中、円売りが優勢となり114円99銭まで上昇。株価の大幅安で円が買われる場面もあったが、米金利上昇の影響がより強まった。ユーロドルは大幅に続伸。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-04 10:00