【為替本日の注目点】米1月の雇用者数46.7万人

雇用統計の上振れを受け、ドル円は115円43銭まで上昇。長期金利が上昇したこともあり、FRBの利上げスタンスが加速されるとの見方が支えに。ユーロドルは続伸。年内の利上げ期待が高まり1.1468まで上昇。株式市場は金利高にも拘わらず、S&P500とナスダックが上昇。ダウは21ドル安と小幅に続落。好調な雇用統計を受け債券は大幅安。長期金利は一時1.93%台まで上昇し、1.90%台で越週。金は続伸。原油は6日続伸し、一時は93ドル台まで買われる。ウクライナ情勢の緊張に加え、米南部などに寒波が押し寄せたことも材料に。
8月失業率 → 4.0%
8月非農業部門雇用者数 → 46.7万人
8月平均時給 (前月比) → 0.7%
8月平均時給 (前年比) → 5.7%
8月労働参加率 → 62.2%
ドル/円 114.87 ~ 115.43
ユーロ/ドル 1.1411 ~ 1.1468
ユーロ/円 131.37 ~ 130.09
NYダウ -21.42 → 35,089.74
GOLD +3.70 → 1,807.80ドル
WTI +2.04 → 92.31ドル
米10年国債 +0.077 → 1.908%
【本日の注目イベント】
日 12月景気先行指数(CI)(速報値)
中 1月財新サービスPMI
中 1月財新コンポジットPMI
中 1月外貨準備高
独 12月貿易収支
独 12月鉱工業生産
欧 フランス大統領ロシアを訪問
米 12月消費者信用残高
米 米独首脳会談(ワシントン)
1月の雇用統計では非農業部門雇用者数が市場予想の「15.0万人」に対して大きく上振れ「46.7万人」でした。さらに12月分も「50.3万人」と、大幅に上方修正され、失業率は0.1ポイント悪化したものの、平均時給も前年比で「5.7%」と、「どこから見ても良好な」雇用統計でした。この欄でも指摘したように、3日に発表されたADP雇用者数は市場予想を大きく下回る「30.1万人の減少」でしたが、本番の雇用統計とはかならずしも趨勢が一致しないことも多く、注意を促しました。好調な労働市場のデータを受け、3月のFOMCでの利上げ開始はもとより、利上げ回数も「6回」といった観測が高まり長期金利を押し上げました。
サマーズ元財務長官はブルームバーグテレビジョンで、「市場は毎会合での利上げに備えなくてはならない。インフレのプロセスが続く中、0.25ポイントより大きく引き上げる会合が必要となる可能性にも備えなくてはならない」と語り、FRBが後手に回っていることを指摘しています。それまで、利上げが加速するといったムードに支配されていた市場でしたが、FOMCメンバーのややハト派的な発言や、発表された経済指標などから、利上げに対する市場のバイアスはやや解消されたと感じていましたが、今回の雇用統計の結果を受け、上記サマーズ氏の発言にあったように、再び利上げ加速ムードが台頭し、それが長期金利を押し上げたといった状況です。
3月のFOMCまでには、もう1回雇用統計があり、さらにCPIやPCEデフレータもあります。3月の会合で利上げが開始されることはほぼ間違いないとしても、その後の利上げ回数を6回以上と想定するのは、まだ時期尚早かと思います。オミクロン変異株の感染状況や、ウクライナ情勢次第では大きく状況が変わる可能性があるからです。また3月の利上げ幅についても、金利先物市場の値動きから金融政策を予測する「fedウオッチャ-」では、「0.5%」の利上げを決める確率は30%を超えてきましたが、まだ「0.25%」引き上げが大勢を占めています。
10年債利回りは2年ぶりとなる「1.93%」まで上昇し、ドル円は115円43銭までドル高が進みました。ドル円はもみ合いながらも「日足の雲の下限」にサポートされる展開が続いていましたが、今回再び115円台半ばまで上昇したことで、「雲を上っ放れた」格好になっています。目先は1月下旬に記録した115円69銭近辺を抜け切る必要があります。米長期金利の大幅上昇の割にはドル円の上昇力は弱いと感じますが、これは米株式市場からのリスク回避の流れや、ウクライナ情勢などが影響していると見られますが、加えて、ユーロドルでドル安が進んでいることも気になるところです。日銀とECBとの金融政策の差を考えればユーロ円が買われるのは理解できますが、ユーロは対ドルでも上昇していることには注意が必要かもしれません。ECBの政策委員会メンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は6日、オランダのテレビ番組で、「早ければ第4四半期(10―12月)中に利上げを見込んでいる」と述べ、さらに、「2回目の利上げは2023年春に実施することが可能だ」と、タカ派的な発言を行いました。1.11台前半まで売られたユーロドルが急速に値を戻しているのは、域内のインフレが加速し、市場が「ECBはFRBの後に続く」とみていることも影響している可能性があります。
本日のドル円のレンジは、114円80銭~115円60銭といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
雇用統計の上振れを受け、ドル円は115円43銭まで上昇。長期金利が上昇したこともあり、FRBの利上げスタンスが加速されるとの見方が支えに。ユーロドルは続伸。年内の利上げ期待が高まり1.1468まで上昇。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-07 10:00