【為替本日の注目点】米長期金利1.96%台に上昇

ドル円は米長期金利の上昇もあり大幅に続伸。東京市場から欧州市場にかけても堅調な動きとなり、NYでは115円63銭まで買われた。ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、依然1.14台を維持。株式市場は3指数が揃って上昇。ダウは371ドル上昇し、金利上昇にもかかわらずナスダックも178ポイント買われる。債券は続落。長期金利は1.96%台まで上昇し、2%も視野に。金は続伸。原油は需給の緩和もあり続落。90ドル台を割りこむ。
12月貿易収支 → 80.7b
ドル/円 115.39 ~ 115.63
ユーロ/ドル 1.1401 ~ 1.1424
ユーロ/円 131.62 ~ 132.02
NYダウ +371.65 → 35,462.78
GOLD +6.10 → 1,827.90ドル
WTI -1.96 → 89.36ドル
米10年国債 +0.047 → 1.963%
【本日の注目イベント】
豪 豪2月ウエストパック消費者信頼感指数
独 独12月貿易収支
独 独12経常収支
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演(オンライン)
米 ボウマン・FRB理事講演
米長期金利が一段と上昇し、昨日のNYでは1.96%台を記録しました。先月末が1.77%台であったことを考えると、金利上昇が急ピッチで進んでいることが分かります。3月の会合での利上げ開始は完全に織り込まれており、今や関心の的は、年内の利上げ回数が5回なのか、6回なのかという点に移っています。そういった事情もあり、債券が売られ金利が上昇しています。大きく売りこまれた米株市場でもジリジリと反発する動きもあり、資金が再び債券から株へ流れつつあるのもしれません。米シティーグループは、長期金利は2%まで上昇すると予想しており、JPモルガン・アセットは年内に3%を試す可能性もあるとみています。(ブルームバーグ)
一方、株式についてはJPモルガン・チェースがリポートで、「株式は依然として上向きで、サイクルはまだ到底終わったとは思えない」と発表しています。上昇が見込まれ、絶好の買い場との見立てですが、モルガン・スタンレーは全く逆の見立てをしており、「株式はまだ下げる余地がある」との見解を示しています。どちらかが正しく、どちらかが間違っていることになりますが、春先にはその結果が示され、興味深いところです。米長期金利が3%に向うようだと、株式には「相当な逆風」となることは間違いないと思われますが、それを跳ねのけるほどの企業業績の上積みが見込めるかどうかです。ドル円にとっては追い風となりそうです。米金利の上昇に伴い、より魅力的な金利水準を求めた本邦からの投資も活発になろうかと思います。昨日時点では、日本の長期金利は一段と上昇したとはいえ、「0.205%」で、米国のそれは「1.963%」です。金利差を背景に米国への投資は続くと予想され、基本的は「ドル買い・円売り」の需要が発生することになります。
数日中にもロシアのウクライナ侵攻があり得るとの観測も出ているほど緊張が増しているウクライナ情勢ですが、ロシアのプーチン大統領との会談を終え、ウクライナのキエフに向う途中、マクロン仏大統領は「ロシアのプーチン大統領から、ウクライナを巡る情勢をこれ以上悪化させることはないとの保障を得た」と記者団に述べています。具体的な内容には触れていないようですが、6時間にわたるプーチン大統領との会談の中で得たものとのことです。これに対してロシア大統領府は、マクロン氏の主張についてはコメントを控え、「プーチン大統領はマクロン大統領の考えには合理的な要素があり、それを基に今後作業を継続できると指摘した」と説明しています。
状況からするとマクロン氏の「フライング」の印象は否めませんが、仮にロシアが実際にウクライナに侵攻した場合、為替市場ではどのような反応が予想されるのかといったアンケートが、筆者が毎月投稿している「QUICK社」からも依頼がありました。先ず、最も売られるのは「ユーロ」かと思います。他には「ポンド」も売られると思いますが、ウクライナ周辺に兵を派遣している米国の「ドル」も売られる可能性があります。そして、買われる通貨がスイスフランと円ということになりそうです。そう考えるとドルストレートよりもユーロ円などのクロス円の方がより下落する可能性が高いと見ていますが、足元の動きではその気配は全くなく、むしろ円全面安の展開になっています。ただ、これはあくまでも個人的な予想で、実際にどのような展開になるのかは不透明です。アンケートの最後に、「ロシアは実際にウクライナに侵攻すると思いますか」といった質問もあり、それには希望も込めて「ない」と答えておきました。
明日は1月のCPIが発表されます。総合CPIは「7.3%」(前月は7.0%)、CPIコアは「5.9%」(前月は5.5%)と、いずれも12月より一段と上昇していると予想されています。予想を上回るようだと、長期金利がさらに上昇し、ドル円も116円方向を試すことになりそうですが、株価の下落が「どの程度円買に」直結するのか、注意が必要です。
予想レンジは115円20銭~116円10銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は米長期金利の上昇もあり大幅に続伸。東京市場から欧州市場にかけても堅調な動きとなり、NYでは115円63銭まで買われた。ユーロドルはやや水準を切り下げたものの、依然1.14台を維持。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-09 10:30