静電気防護・医療機器の蘇州天華超浄科技、リチウム電池材料業界参入で21年12月期は大幅な増収増益に

深セン証券取引所創業板に上場している静電気防護製品メーカー、蘇州天華超浄科技(300390/深セン)が8日に2021年の年間報告を発表し、21年12月期が前期比で大幅な増収増益となったことを明らかにした。
同社は1997年設立の民間企業で2014年に深セン創業板に上場。静電気防護スーパークリーン製品や各種注射器、防護服、防護マスクなど医療機器の研究開発、生産、販売を行なっており、最近は新エネルギー車向けのリチウムイオン電池産業にも参入している。年間報告によれば、21年12月期の売上高は33億9755万元で前期比158.73%増、純利益は9億1069万元で同218.44%増だった。
21年12月期の業績が大幅な増収増益となった要因について同社は、バイオ医療、半導体分野の顧客開拓、新エネルギー材料、新エネルギー自動車マイクロエレクトロニクス産業チェーンにおける潜在的なニーズの深堀、静電気および微小汚染の全体的な防護ソリューションプランの推進などを挙げた。また、医療機器分野では子会社の宇寿医療が米国、カナダ、ブラジル、オーストラリア、日本からなる医療機器単一調査プログラム(MDSAP)の審査認証を通り、複数の製品が新たな販売認可登録を受けたほか、自動化による生産効率の向上を実現したことなどを説明した。
そして、新エネルギー車向けリチウム電池材料分野では、業界最大手の寧徳時代(300750/深セン)などと共同出資した天宜リチウム業による年産2万トン水酸化リチウム第1期プロジェクトが稼働を開始、製品価格の上昇も伴って会社の業績の大幅増を牽引したと紹介。第2期の年産2.5万トンプロジェクトもすでに竣工して試験生産段階に入っており、第1期の改良による増産分と含めてまもなく年産5万トンの水酸化リチウム生産体制が完成するとした。
同社はさらに四川省宜賓市江安県でも年産11万トンの水酸化リチウム生産拠点建設を進めており、こちらも完成すれば合計年産16万トンの水酸化リチウム生産体制が構築され、世界的に重要な水酸化リチウム供給業者になる見込みだ。
各事業の売上構成比を見ると、20年は医療機器部門が58%、静電気防護スーパークリーン部門が42%だったのに対し、21年は新規のリチウム電池材料部門が68.17%で過半数を占め、静電気防護スーパークリーン部門は18.36%、医療機器部門は13.47%と比率を大きく下げており、1年で収益構造に大きな変化が生じたことがうかがえる。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)
深セン証券取引所創業板に上場している静電気防護製品メーカー、蘇州天華超浄科技(300390/深セン)が8日に2021年の年間報告を発表し、21年12月期が前期比で大幅な増収増益となったことを明らかにした。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-09 22:45