【為替本日の注目点】米1月のCPIを見極める姿勢強まる

ドル円は小動き。米長期金利がやや低下したことで115円38銭まで売られたが、その後元の水準に。今夜のCPI発表を前に動きにくい展開。ユーロドルはドイツ連銀総裁の発言などもありやや反発。1.1448までユーロが買われる。株式市場は3指数が揃って続伸。大型株やハイテク株に買いが入り、ダウは300ドルを超える上昇。S&P500も65ポイントの上昇。債券は反発。債券の売り圧力はやや低下。長期金利は1.94%台へと低下。金は3日続伸。原油は3日ぶりに小幅に反発。
ドル/円 115.38 ~ 115.56
ユーロ/ドル 1.1420 ~ 1.1448
ユーロ/円 131.90 ~ 132.16
NYダウ +305.28 → 35,768.06
GOLD +8.70 → 1,836.60ドル
WTI +0.30 → 89.66ドル
米10年国債 -0.022 → 1.942%
【本日の注目イベント】
欧 欧州委員会、経済見通し発表
英 ベイリー・BOE総裁講演
米 1月消費者物価指数
米 新規失業保険申請件数
米 1月財政収支
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁講演(オンライン)
ウクライナ情勢の緊迫が続いているにもかかわらず、米株式市場では株価の上昇が続き、これで今年の大幅な下げの半分程度を取り戻しています。ダウは305ドル買われ、1月27日の引け値からは1500ドル程上昇しています。また、さらに下げのきつかったナスダックも安値から1140ポイントほど反発しています。このまま上昇を続けるかどうかは分かりませんが、少なくとも足元のボラティリティの高さは当分続きそうです。1月26日には「31.96」まで上昇し、市場の恐怖感が急速に高まった「VIX指数」も、昨日は約4週間ぶりに危険水域とされる「20」を下回り、「19.96」で取引を終えています。市場の恐怖感が大きく後退したことを表しています。ドル円は115円台半ばまで上昇したものの、そこから116円台をテストする動きには至っていません。1.97%近辺まで上昇した長期金利も上げ一服といった状況で、いずれも本日の米1月の消費者物価指数の発表を待っているところです。
クリーブランド連銀のメスター総裁は欧州経済・金融センター主催のオンラインセミナーで、3月の会合で0.5ポイントの利上げは適正かとの質問に、「どの選択肢も検討から外したくない」と答えながらも、「50ベーシスポイントで始めるべきだとする説得力のある主張はないと思う」と、0.5%の利上げには消極的な考えを示しました。アトランタ連銀のポスティック総裁も9日CNBCとのインタビューで、今年は25ベーシスポイントの利上げが3回あるとの予想を示した上で、「経済の反応次第では、4回利上げに若干傾斜しつつある」と述べています。(ブルームバーグ)いずれも、ややハト派的なニュアンスを示し、市場の予想に比べるとかなり保守的だと言えます。市場ではすでに4回の利上げは織り込んでおり、5回の利上げも正当化されそうな勢いです。ただ、今夜の1月のCPIが予想を上回るようだと、0.5%利上げへの圧力が増し、FOMCメンバーもその方向に引き寄せられる可能性もありそうです。現時点では3月の会合で0.5%の利上げの可能性は低いものの、サマーズ元財務長官などから「FRBの対応は後手にまわっている」と批判されていることもあり、仮に今夜のCPIが予想を上回り、3月会合で0.5%の引き上げを行えば、FRBが政策の遅れを認めたことになるため、パウエル議長も難しい判断を迫られることになります。
一方インフレの伸びが米国ほどではないものの、ECB政策委員会ではECBが発表済みの現在のインフレ予側に疑問を示す委員が増えているとの報告もあります。ユーロ圏の1月のインフレ率は「5.1%」でしたが、委員会の今年平均の予測は「3.2%」で、その予測の中心にいるレーン理事は、域内のインフレは年後半に向けて緩やかに低下するとみています。これに対してドイツ連銀のナーゲル総裁は、「金融政策の正常化を長く待ち過ぎた場合、リスクを抱えることになるのは極めて明らかだ」と述べ、ドイツ連銀の専門家チームはドイツのインフレ率が今年4%を優に上回る公算が高いと予測していることを明らかにしています。ECB内部ではドイツ連銀総裁を筆頭に、オーストリア連銀総裁などが早期の利上げに傾いています。こちらも今後のインフレ指標が多いに注目されるところです。
新型コロナウイルスの感染者数が世界で4億人を超えました。パンデミックが始まって2年余りで4億人を超えたことになり、死者数も576万人を上回りました。日本でも感染者数が高止まりしており、死者数が急激に増えていることが気になります。オミクロン変異株は、感染力は強いが重症化のリスクは低いとみられていましたが、やはり高齢者や基礎疾患を持った人が罹患すると危険なことは変わらないようで、軽度の感染者が爆発的に増大していることが医療逼迫を引き起こし、助かる人も亡くなっているのが現状のようです。海外に目を向けると、NY州では屋外でのマスク着用義務を9日に解除することを決め、香港では感染が急拡大していると報告されています。コロナとの闘いはまだまだ続くと考えざるを得ません。
本日のドル円は115円10銭~116円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小動き。米長期金利がやや低下したことで115円38銭まで売られたが、その後元の水準に。今夜のCPI発表を前に動きにくい展開。ユーロドルはドイツ連銀総裁の発言などもありやや反発。1.1448までユーロが買われる。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-10 10:30