【為替本日の注目点】ドル116円近辺から115円手前まで急落

ドル円は急落。前日116円34銭まで上昇したものの、この日はウクライナ情勢のさらなる緊張や、株価の大幅安から円が買われた。一時は115円04銭まで売られ、元の水準に戻る。ユーロドルも水準を切り下げ1.133近辺まで下落。株式市場は大幅続落。FRBによる利上げが加速するとの見方やウクライナ情勢の緊迫から、ダウは連日500ドルを超える下げに。債券は横ばい。長期金利は1.93%台で推移。金は6日続伸。原油も大幅に買われ一時は94ドル台に。 2月ミシガン大学消費者マインド(速報値)→  61.7 ドル/円    115.04 ~ 115.99 ユーロ/ドル  1.1330 ~ 1.1418 ユーロ/円   130.38 ~ 132.29 NYダウ  -503.53 → 34,738.06 GOLD    +4.70 →  1,842.10ドル WTI     +3.22 →  93.10ドル  米10年国債     ±0 → 1.937% 【本日の注目イベント】 欧  ユーロ圏12月鉱工業生産 欧  ラガルド総裁、欧州議会に出席 先週10日に発表された米1月の消費者物価指数は、先月の「7.0%」を超え、市場予想の「7.2%」をも超える「7.5%」でした。エネルギーと食品を除いたコア指数も「6.0%」と、あらゆる分野で一段と物価上昇が進んでいることが浮き彫りになりました。この発表を受け、3月のFOMCで「0.5%の利上げ」の可能性がさらに高まり、「FRBは利上げ加速を余儀なくされる」といった観測も高まりました。ドル円はCPI発表を受け116円34銭までドル高が進み、昨年10月以来、およそ3カ月半ぶりのドル高水準を付けました。一方NY株式市場では再び株価の大幅下落が進み、10日(木)と11日(金)の2日間でダウは1000ドルを超える下げを演じ、ナスダック指数もそれを上回る下落になっています。116円台半ばまで買われたドル円は、株価の大幅な下げとウクライナ情勢の緊迫から円を買う動きが強まり、先週末には115円割れ目前の水準まで押し戻され、株価ほどではないものの、大きな値動きになっています。米金利上昇によるドル買いと、ウクライナ問題や株安などによる円買いが交錯している状況が続き、一方方向には行きにくい展開が続いていることは、この欄で何度も指摘している通りです。当面は小まめに利益を確定しながら、チャートに沿ったオペレーションをすることが肝要です。 ウクライナ情勢は「一触即発」と言ってもいい状況のようです。ロシアは10日、ベラルーシで大規模な共同軍事演習を始め、ウクライナだけではなく、隣接するポーランドにも警戒感が高まっています。そのため、米国防総省はポーランドに3000人の兵を派遣することを決めています。バイデン政権も手をこまねいているだけではなく、ウクライナ国境でのロシアの活動拡大を阻止するため、米日韓外相会議をハワイで行い、共同声明も発表しています。またバイデン氏自身も12日に、プーチン大統領と直接電話会談を行いましたが、事態の進展はほぼなかったようです。バイデン氏はプーチン氏に対し、「ウクライナに侵攻すれば、ロシアは『深刻な代償』を払うことになる」と再度警告したと、ホワイトハウスは発表しました。一方ロシアは「NATOの東方拡大停止といった安全保障に関するロシアの要求は 米国に無視されている」とし、米国の警告を「前例のないヒステリー」と一蹴しており、両国の批判合戦が続いている状況です。ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官は「脅威は差し迫っている」として、ウクライナに滞在する米国人に48時間以内に撤退するよう促したと語っています。 11日に発表された2月のミシガン大学消費者マインド速報値は前月に続いて低下しており、約10年ぶりの低水準になりました。速報値は「61.7」と、2011年10月以来となり、特に期待指数は「57.4」と、ここ10年余りで最低となっています。家計状況の悪化を見込むとの回答比率が26%と、1980年以来の最高水準に達し、インフレ高進が家計のバランスシートに悪影響を与えていることを示唆している(ブルームバーグ)と見られます。米調査機関の調べでは、CPIの上昇率が7%の経済環境では、2%だった2019年に比べ平均的な家計で年間3000ドル(約34万円)の追加負担になる(日経ラウンドアップ)との試算もあります。 この様な状況の中1月のCPIが一段と加速しており、FRBは非常に厳しい政策運営に直面していると言えます。高進するインフレを阻止するため、かなり強力な利上げを行えば、景気をオーバーキルする可能性もあり、景気後退の中物価だけが上昇してしまう「デフレ」に陥る危険性があります。一方で、手ぬるい利上げでは、インフレがさらに進み国民の生活を圧迫するだけではなく、バイデン政権の支持率にも悪影響が出て来る可能性があります。加えて、ウクライナ情勢など読めない要素もあり、救いは、まん延していたオミクロン変異株の感染拡大がどうやらピークを超えた可能性が高いことくらいです。サンフランシスコ連銀のデーリー総裁はCBSの番組で、「急激でアグレッシブな行動は、われわれが目指す経済成長や物価安定そのものへの不安定要因になりかねない」と指摘し、「私が支持するのは3月に行動を起こし、その後は状況を注視、評価し、この先に何が起きるかについて非常に慎重に構え、最適と見える時点で次の利上げを行うことだ。それがすぐ次の会合になることも、次の次の会合になることも考えられる」と述べ、保守的ながら、個人的にはFRBが取るべき道筋を示したとものと受け止めています。 本日は日本株の下げも厳しいものになりそうです。 ドル円は115円~115円85銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は急落。前日116円34銭まで上昇したものの、この日はウクライナ情勢のさらなる緊張や、株価の大幅安から円が買われた。一時は115円04銭まで売られ、元の水準に戻る。ユーロドルも水準を切り下げ1.133近辺まで下落。(イメージ写真提供:123RF)
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2022-02-14 10:15