資産形成の時代に最適なETFを徹底活用、モーニングスター代表の朝倉智也氏が『ETFはこの7本を買いなさい』の改訂新版

「さらに低コスト化が進み多様性も増したETF(上場投資信託)を資産形成に活用してほしい」――かねてからETFを活用した資産運用の有用性を提唱してきたモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏が、2017年に上梓した『ETFはこの7本を買いなさい』の改訂新版を出す。初版の発行から5年を経過し、ETF市場の規模は大きく拡大した。改訂新版では、5年間で見違えるように成長したETF市場の変化を踏まえ、最新のデータを織り込んだ内容に全面改訂した。推奨する7本についても、銘柄選定のポイントは変えていないものの、取り上げている銘柄は現在の市場実勢に合わせてブラッシュアップしている。
2017年から2022年までの間に起こった資産運用に関する変化として、2018年1月にスタートした「つみたてNISA」は、エポックメイキングな出来事といえる。運用収益非課税の「NISA(少額投資非課税制度)」において、“積立投資”を行うことを条件として20年間にわたって運用収益非課税という特典が得られる制度だが、この対象商品の中心が、「低コストのインデックス・ファンド」になった。国を挙げて「長期・分散・積立投資」の重要性を訴え、その実現のために「低コストのインデックス・ファンドを使いましょう」と勧めたことで、インデックス・ファンド運用の浸透が進んだ。
さらに、追い打ちをかけるように、2019年6月に金融審議会の市場ワーキング・グループが公表した報告書で、「(公的年金だけでは)老後の生活費が2000万円不足する」という「年金2000万円問題」が取り上げられて大きな話題になり、老後に備えた資産形成の必要性が強調された。加えて、2020年から「新型コロナ・パンデミック」によって、「緊急事態宣言」などによって予期せぬ就労不能が起こり得ることを実感させられた。働きたくても働けないことにも備えて、資産を残しておくことの重要性が切実に意識させられた。2020年以降に、若い層を中心に、積立投資で資産形成することがブームのように広がっている。
朝倉氏は、このような時代の変化も踏まえて、「インデックス・ファンド」を使った国際分散投資の重要性、そして、長期の資産形成に欠かせない運用コストの低廉化を同時に実現する手段としてETFの活用を改めて勧めている。資産形成手段としてのETFの活用は、米国でも進展し、ETF残高は2011年に116兆円規模だったものが、2016年には278兆円、2021年に683兆円と、毎年2ケタの大きな成長を遂げた。国内のETF市場は2011年に2.7兆円規模だったものが、21年には59.6兆円と伸び率は大きいのだが、そのほとんどは金融機関の利用で、個人のシェアは3%程度に過ぎない。ここに、朝倉氏は国内におけるETF活用の伸びしろをみるという。
また、市場が大きく発展した米国では、「スマートベータ(賢いインデックス)」といわれる従来のインデックスにプラスアルファの価値を付加するインデックスが登場し、それらに連動するETFも数多く組成され上場している。「高配当」や「高ROE(自己資本利益率)」に着目したETF、あるいは、「ESG(環境・社会・企業統治)」に配慮したETFなど、様々なタイプのETFが登場している。改訂新版では、このようなETF市場の変化もしっかりとらえて、基本の7本に加えて、こだわりの13本を合わせた20本のETFを選定。さらに、それらの組み合わせ方法についても提案している。
このように時代や市場の変化をとらえて全面的な見直しを行った新書は、「改訂新版」と言いながらも、現時点で考えられるETFの入門書として決定版といえる他、インデックス・ファンドを使った積立投資の入門書のような書籍にもなっている。資産形成を始めようと考えている人、また、投資を始めているものの次のステージに進みたいと考えている人たちに最適な書籍といえる。(ダイヤモンド社・1500円+税)
「さらに低コスト化が進み多様性も増したETF(上場投資信託)を資産形成に活用してほしい」――かねてからETFを活用した資産運用の有用性を提唱してきたモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏が、2017年に上梓した『ETFはこの7本を買いなさい』の改訂新版を出す。
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2022-02-14 17:45