【為替本日の注目点】ウクライナ情勢の緊張やや緩和

ドル円は欧州時間朝方から上昇に転じ、NYでは115円88銭までドル高に。ウクライナ情勢の緊張がやや後退したことで円売りが進む。ユーロドルは買い戻しが入り、1.1368まで反発。株式市場では3指数が揃って大幅に反発。ウクライナ情勢の緊張がやや緩和されたことからダウは422ドル上昇。ナスダックも2.5%買われ、1万4000ポイント台を回復。債券は続落。1月のPPIが予想を上回ったことや、リスクがやや後退したことが背景。長期金利は一時2.05%台まで上昇。金と原油はリスクオフの流れが後退したことで共に下落。
1月生産者物価指数 → 1.0%
2月NY連銀製造景況業指数 → 3.1
ドル/円 115.58 ~ 115.88
ユーロ/ドル 1.1320 ~ 1.1368
ユーロ/円 131.10 ~ 131.53
NYダウ +422.67 → 34,988.84
GOLD -13.20 → 1,856.20ドル
WTI -3.39 → 92.07ドル
米10年国債 +0.056 → 2.043%
【本日の注目イベント】
中 中国1月消費者物価指数
中 中国1月生産者物価指数
欧 ユーロ圏12月鉱工業生産
欧 NATO国防相会合(ブリュッセル、17日まで)
英 英1月消費者物価指数
英 英1月生産者物価指数
米 1月小売売上高
米 1月輸入物価指数
米 1月鉱工業生産
米 1月設備稼働率
米 2月NAHB住宅市場指数
米 FOMC議事録(1月15-16日分)
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁講演
ウクライナ情勢を巡る緊張がやや緩和したことで、金と原油が大きく売られ、下落基調だったNY株が大幅に反発しました。債券市場では1月の米PPIが市場予想を超えたことや、リスクオフがやや後退したことで債券が売られ長期金利は2.04%台で取引を終え、これがドル円を押し上げ、NYでは115円88銭までドルが買い戻されています。
ロシアのプーチン大統領は、米国およびその同盟国との間の緊張状態について、外交による解決を望んでいると述べました。ウクライナ国境付近に集結させている部隊については、一部撤収を明らかにしています。その上で、ウクライナのNATO加盟を認めないようにというロシアの要求を巡る西側の対応を、ロシアが永遠に待ち続けることはないとも警告しました。プーチン氏は会見で、「この問題についてわれわれは、交渉と平和的手段を通じて今すぐ、ないし近い将来の解決を望んでいる」と述べ、「戦争については、ノーだ」と言明しました。ただ、「ロシア側は一貫して侵攻の意図を否定しているが、プーチン氏はロシアの安全保障に関する要求が対処されない場合に、緊張を一段と高める可能性も排除していない」(ブルームバーグ)との見方が一般的のようです。バイデン大統領もホワイトハウスで演説し、「われわれは外交努力による解決の可能性を最後まで追求すべきであり、それぞれの安全保障上の懸念に対処する現実的な方法が存在すると私は考える」と語り、さらに「ロシアの市民に呼び掛けたい。あなた方は米国の敵ではない。そしてあなた方はウクライナを破壊する残酷な戦争を望んでいないと私は信じる」と語りかけています。同時に、一部部隊をウクライナ国境付近から撤収させたとするロシアの主張については、米国はまだ確認していないとして、ウクライナ侵攻はなお起こり得るとする考えを見せています。
1月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る「1.0%」でした。前年同月比でも「9.7%」の上昇で、生産過程でのインフレ圧力がなお強いことが示され、これは、消費者物価の最終コストに引き続き波及する可能性が高いことになります。NYのエコノミストは、「根強い供給混乱にエネルギー価格の高騰が重なっているため、生産者物価が正常なパターンに戻るのは年内のもっと先になるだろう」と話しています。PPIの上振れを受け、米債券市場では債券が一段と売られ、長期金利は2019年7月以来となる2.04%台で引けています。一方日本の長期金利も徐々に上昇傾向を見せていますが、14日には日銀が「0.25%」で無制限に債券を買いとる「指し値オペ」を通知しましたが、結局応札はなかったようです。現行の金融政策における長期金利の上限にあたるため、市場に介入したことになります。日米中銀の金融政策の差から今後も金利差が拡大すると見られますが、金利面だけに限って言えば、円はさらに売られ易い状況にあります。
本日は1月のFOMC議事録(1月15-16日分)が公開されます。会合では「3月会合での利上げが適切だ」との意見が多くあったかと思われ、1月のCPIとPPIの上振れもあり、「0.5%利上げ」への圧力がさらに高まってきそうです。ドル円は引き続き「深押ししたところを拾う」スタンスが有効かと思いますが、上述のように、ウクライナ問題はまだ終わったわけではありません。引き続き、「米金利高による円売りと、リスク回避の円買い」に振られる展開です。
本日のドル円は115円20銭~116円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は欧州時間朝方から上昇に転じ、NYでは115円88銭までドル高に。ウクライナ情勢の緊張がやや後退したことで円売りが進む。ユーロドルは買い戻しが入り、1.1368まで反発。株式市場では3指数が揃って大幅に反発。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-16 09:30