【為替本日の注目点】ロシア軍の一部撤収にも欧米は警戒感を崩さず

ドル円は小幅に下落。欧州通貨が対ドルで買われたこともあり、115円36銭まで下落。ユーロドルは反発。ECBの政策メンバーが年内の利上げに言及したことで1.1395までユーロ高に。株式市場は大きく下げる場面はあったが、小幅安で終える。S&P500は下げを埋めプラス圏で引ける。債券は小動き。長期金利はほぼ横ばい。金と原油は共に反発。
1月小売売上高 → 3.8%
1月輸入物価指数 → 2.0%
1月鉱工業生産 → 1.4%
1月設備稼働率 → 77.6
2月NAHB住宅市場指数 → 82
ドル/円 115.36 ~ 115.78
ユーロ/ドル 1.1354 ~ 1.1395
ユーロ/円 131.11 ~ 131.58
NYダウ -54.57 → 34,934.27
GOLD +15.30 → 1,871.50ドル
WTI +1.59 → 93.66ドル
米10年国債 -0.005 → 2.038%
【本日の注目イベント】
日 1月貿易統計
豪 豪1月雇用統計
トルコ トルコ中銀政策金利発表
欧 ECB経済報告
米 新規失業保険申請件数
米 1月住宅着工件数
米 1月建設許可件数
米 2月フィラデルフィア連銀景況指数
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演
ロシアがウクライナ国境から軍の一部を撤収したことを発表したものの、欧米各国は慎重な姿勢を崩していません。ブリンケン国務長官は16日、「ロシア軍の撤収は確認していない」と指摘し、「ウクライナ国境沿いには今なお非常に脅威的な形で結集している。有言実行になれば良いが、今のところそれは見られない」と述べています。このような見方はNATOのストルテンベルグ事務総長も同様で、「今のところロシアでの緊張緩和は見られない」と話し、ブリュッセルではNATO国防相会議が開催されています。また19日には緊急のG7外相会合がドイツで開催され、ウクライナ情勢について話し合うことになりました。コロナの影響もあり、オンライン会合になる可能性もあるようです。さらに「G7首脳会合」開催の可能性も浮上しています。これに対してロシア側はウクライナ侵攻の計画を繰り返し否定し、軍事行動が迫っているとの米国の警告をヒステリーだと一蹴しています。実際、ロシアのウクライナ侵攻の可能性はこれで終わったわけではなく、まだ緊張は続くと考えた方が良さそうです。
1月会合のFOMC議事録が公開されました。議事要旨では、「インフレが予想通りに鈍化しない場合、FOMCが現在の想定より早いペースで政策緩和を解除することが適切になると、大半の参加者は指摘した」とありましたが、概ね想定内の内容でした。またバランスシート縮小の議論もあり、議事要旨では、「幾人かの参加者は現状から判断して、いずれ年内にバランスシートの規模縮小を開始することが正当化される可能性が高いとコメントした」とありました。この点も含めて全体的にはそれほど「タカ派的」ではなかったことから、市場には安心感が広がり、大きく下げていた株価も反発しプラス圏に浮上する場面もありました。米長期金利は2%台で推移し、ドル円はやや下値を切り下げましたが、これも想定内の動きでした。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はオンラインイベントでの講演で、「もし非常に積極的に金利を引き上げれば、経済に急ブレーキがかかり、経済をリセッション入りさせるリスクを冒すことになる」と述べ、「同僚や自分自身への戒めは、やりすぎないようにということだ」と語っています。またインフレ率については、「年内に目標の2%に下がる可能性は低いが、着実に落ち着く方向で進み、年末までに3%に近づく」との予想を示しました。今週もこれまでに多くのFOMCメンバーによる発言がありましたが、セントルイス連銀総裁のブラード総裁を除けば、概ね急激な利上げには慎重な姿勢を示していると思われます。ゴールドマンなどは既に2回も年内の利上げ回数予想を上方修正し、バンク・オブ・アメリカは7回の会合全てでの利上げを予想するなど、「FOMC当局者と市場との認識の違いが、かなり乖離している」と感じます。先走る市場を牽制する意味合いもあるのでしょうが、ここでも「中央銀行とけんかはするな」という言い伝えは生きてくるのでしょうか?
新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染危機が身近に迫っている印象ですが、米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は16日の会見で、米国内の新型コロナウイルスの感染状況を示す指標が急激に減少を示していると指摘していました。欧州でもドイツやギリシャでは新型コロナ対策で導入していた制限措置を解除する動きが進んでおり、スイスとオーストリア、オランダでも制限解除を計画しています。日本でも昨日、厚生労働省の専門家組織の脇田座長は「2月上旬にピークを越えたと考えている」と述べています。確かにピークを付けたようには見えますが、新規感染者数は高止まりしており、死亡者数がかなり高水準なのが懸念されます。幼稚園や小学校での感染の広がりが家庭内でも広がり、親や高齢者が感染するケースが多いと聞いています。
オミクロンのリスクはやや後退し、市場は引き続き米国でのインフレの高進状況とウクライナ情勢に左右される展開です。WTI原油価格は依然上昇傾向を維持し、どうやら「100ドル」に達しないと済まない雰囲気です。ドル円も底値は堅いものの、116円台定着には至っていません。ただ考えようによっては、「113円台半ばから116円台半ばのレンジ相場」だと割り切り、その中でのトレーディングであれば勝機は何度もあります。ただし、上記レンジを明確に突破した時には注意が必要です。抜けた方向に大きく動く可能性があるからです。
本日のドル円は115円~115円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)
ドル円は小幅に下落。欧州通貨が対ドルで買われたこともあり、115円36銭まで下落。ユーロドルは反発。ECBの政策メンバーが年内の利上げに言及したことで1.1395までユーロ高に。(イメージ写真提供:123RF)
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2022-02-17 09:45